大阪府立天王寺高等学校

「天高アカデメイア」宣言   (抜粋) 

大阪府から進学指導特色校に指定され、また文部科学省からスーパー・サイエンス・ハイスクールに選ばれている天王寺高校では、これまで「先端科学ゼミナール」や「集中セミナー」、公開研究授業、ブリティッシュ・カウンシル連携事業、文系高大連携講座など、大学の先生方・留学生・企業研究員の方々による年間30回にも及ぶ講演会が開かれてきました。
 生徒たちは最新の科学技術や研究活動、それぞれの研究者の意欲や使命感に身近に触れることができ、勉学意欲の向上や進路実現にも大きな成果を上げてきたところです。
           (中略)
 これまで受講対象は理数科の生徒と理数分野が中心でしたが、今後は広く普通科・文系志望者にも呼びかけ「アカデメイア」が真にダイナミックな知の殿堂たるべく、「本物に接し、学ぶ」という天高教育のモットーの実践を企図しています。向学心に燃える生徒たちが知的体験を共有できる空間、そして教育目標である「日本や国際社会で活躍するリーダーの育成」に寄与する試み、それが「天高アカデメイア」だと考えています。

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 ■第5回 天高アカデメイア
   「餌がなくても大丈夫、心臓をなくしても大丈夫、驚くべき光合成ウミウシの能力」

                         奈良女子大学    遊佐 陽一 教授
   

 令和3年6月21日(月) 16:00~  :視聴覚教室
 ウミウシは藻類の細胞壁に穴をあけて食べ、その際に取り込んだ葉緑体を光合成に利用している。そのウミウシはエサがあるとよく成長し、さらに光が加わると産卵をよくするようになる。また、寄生者がいるとウミウシの生存率は上がるが、産卵数は減少し、強光をウミウシに当てると、寄生者の体積・産卵量は増える。自切は寄生者排除のためだと考えられる。心臓や側足から切り離されても、また頭部から再生する。この自切は大規模なものであるそうだ。

【生徒感想抜粋】
・ウミウシが食べた藻類の葉緑体を消化せず残すことで光合成能力を手に入れるなんてとても面白いと思いました。葉緑体を体内に入れたら人間でも光合成ができるのだろうか、生き物は消化するものとしないものを選択できるのか、などたくさんの疑問がわきました。
・大学は研究を行うところだと知っていたが、実際にどのような研究をどのように行っているのかを知れて、良い勉強になった。実験の結果から、考察までの思考過程を知ることができ、論理的な思考の流れとはこういうことか、と気づくことができた。
・ウミウシといえば、(あるゲーム)でとれる派手な青色の生き物のイメージしかなくて、魚なのかそうでないのかすら知らなかったので、ウミウシがどういった生き物なのか、どんな見た目をしているのか詳しく知ることができた。もとから葉緑体を持っているのではなく、葉緑体を自らの体内に取り込んで光合成するなんて斬新な方法だし、そんなことができる、常識を超えた動物がいるということに興味を持ちました。



 ■第4回 天高アカデメイア
   「音声・歌声情報処理の現在と未来」

                         明治大学    森勢 将雅 准教授
   

 令和3年6月16日(水) 16:00~  :視聴覚教室
 音声の合成は1939年にはじめて実現され、はじめは音声圧縮していたが、現在では精密に分離することが可能になった。高さ・音色によって錯聴の効果や人からの印象も変わる。また、ボーカロイドのような音声の編集も統計的合成では個性の表現は困難であるが深さ・高さなどで作り手の個性を出すことも可能である。

【生徒感想抜粋】
・普段から聞いている声の中にもたくさんの情報があって、それを調べることで学習や健康に有効活用できることがわかった。今回の講義を聞いて、普段から聞いていたり見ていたりするものやことには無限の可能性があって、それを詳しく調べることで人間の生活がより良くなるかもしれないということがわかった。
・音高錯覚については自分自身半分ほどしか正解できなかったため詳しいことを調べてみたいと思いました。理系が苦手ですが、勇気を出して今回参加し、たくさんの知識と意欲を得ることができてとてもよかったと思う。
・仮説と結果が異なることが多々あることがとても印象に残った。そこに人間の計算でははかりしれない行動の謎の深さを感じた。改めて研究することの面白さや楽しさ、すばらしさを知ることができた。一見、役に立たなさそうな研究結果もそのメカニズムを解明することで、他分野にうまく応用できるかもしれないという、そのドキドキ感がたまらない。



 ■第3回 天高アカデメイア
   「コーヒーカップの向こう側~グローバル化する世界と格差~」

                         明治大学     島田 剛准 教授
   

 令和3年6月16日(水) 16:00~  :総合演習室
 コーヒーは途上国で生産され先進国で消費されている。国の経済成長は経済制度がフェアであるかどうかが影響している。コーヒー生産国が貧しいのは過去の収奪的な植民地制度や現在も残る植民地制度、コーヒーの質が価格に反映されずコーヒー生産者の収入が少ないことなどが原因としてあげられる。フェアな経済にするために「フェアトレード」をしたり、国連などの国際協力に関心を向けたりと、私たち一人ひとりがフェアな取引の実現に向けて取り組むことが必要である。

【生徒感想抜粋】
・救急車があれば人を救うことができるという考えは、道路が整備されていて、免許をもった医師がいる日本に私たちが住んでいるから出る考えであって、私たちにとって当たり前な環境は実は当たり前ではないのだと思った。
・良くも悪くも今の世界では私の行動1つ1つが世界に何らかの形で関係しているし、それをせっかく自覚できたのなら、ちょっとだけ良い選択を意識的に取り続けたい。それに加えて、私の周りの人が自覚できるきっかけを作れる人になりたいと思った。
・世界の壁をなくし、協力していけるような社会をつくることが夢でしたが、今回のお話を聞いて、知識や理論をもっているだけではだめで、実際に現地の人がどう感じているか、実際に生きている人々を思いやることがとても大切なのだと気づかされました。会議で話すだけではなく、実際に根本的な問題を解決するには、その国や地域のことを深く知ることが第一歩なのだと思った。



 ■第2回 天高アカデメイア
   「大阪の都市計画とその未来」

                        大阪市立大学     嘉名 光市 教授
   

 令和3年5月31日(月) 16:00~  :視聴覚教室
 都市計画の基本は、「どこに何をつくるか、それをつくった時の人との関係をどう調整するか」を考えることである。理想の都市計画を実現するためには、社会との対話が必要となる。パンデミックや人口減少などでこれまでの社会のあり方が変わっている今、社会との対話を軸とする都市計画のあり方も変わっていくと考えられる。

【生徒感想抜粋】
・私は都市計画とその都市の防災について興味があります。パンデミック後には郊外で暮らすという人々の考えが生まれると聞いて、現在のICTの進歩や在宅ワークの増加から郊外で暮らしたい人、住居を転々としたい人が増えていると思っていたので、驚きました。おそらく、前述の2点はともに人々の居住のしかたの考え方にあてはまると思うので、今までより一層郊外化が進むのではないかと思った。
・都市計画と一言で言っても、その時代に求められるものによって、様々な考え方、取り組みがあること、都市計画には様々な分野の多くの人が関わっていることを知ることができました。実際に昔の計画や、世界の計画を見て、色々な気づきがありました。各土地の地形や文化にあわせて魅力を引き出す考え方だったり、ただ便利なものを、いいものを思いつきで構想化するのではなく、実現に至るまで多くの課題を解決しなければならず、思考力や観察力、想像力、表現力など、色々なスキルを身につける必要性を感じました。
・ICTの発達により人々が都市に集まる必要がなくなり、過疎化が軽減され、地方も活性化されることは喜ばしいことだが、これ以上人と人の関わりが減ってしまうと怖いと思った。しかし、ビルがたくさん必要でなくなった分、オープンスペースなど自由な場所が増えることでコミュニケーションが生まれるのであればそれは良いと感じた。「援助」という形だけでなく、根本的に仕事の在り方を変えて、みんながはたらきやすく、かつ自由な生活がおくれることは良いアイデアだと思う。



 ■第1回 天高アカデメイア
   「塗って作れる太陽電池~ペロブスカイト太陽電池の開発研究の最前線~」

                        京都大学化学研究所    若宮 敦志 教授
   

 令和3年4月23日(金) 16:00~  :視聴覚教室
 現在の地球の石油埋蔵量は約1兆バレル,46年で使い切ってしまう量といわれている。ペロブスカイト太陽電池は非常に薄く,持ち運びが容易で弱い光でも発電が可能である。研究に必要なものは,妄想力と積極的視点であるとのことだ。

【生徒感想抜粋】
・めざしていたものとは違う現象や間違いから新たな発見がうまれることもあり、間違いと失敗と考えずにそこから新たな発見を見出すことが大切だというお話に感銘を受けました。化学だけでなく日常の生活にも言えることだと思うので、失敗を恐れずに努力したい。
・たったあれだけの厚みで従来の太陽電池以上に電気を手軽に発電できるなんて驚きました。形を自由に変えられる点は、たくさんの場所で効率よく発電するために大きな利点になると思います。広い土地の少ない都市や、発展途上国などでも使われたら本当にエネルギー問題も解決に向かうかもしれないと思いました。また災害時の発電も考えていなかったことなのでなるほどと思いました。
・ペロブスカイト太陽電池のすばらしさ、将来性、作ることの大変さ、すべての話が私の想像を超えていて感動しました。まだ高校に入学して間もない、ちっぽけな「私の世界」の扉が開かれたように感じました。もっと勉強して自分のしたい研究を見つけて突き進んでいきたいと心の底から思いました。

サテライト会場:地学教室