平成26年度入学式「校長式辞」

人生にハプニングは付きものです。ハプニングを楽しんでください。
(注:新入生入場時に発生したアクシデントを受けてのひとこと)

 新入生の皆さん、そしてご列席の保護者の皆さん、ご入学おめでとうございます。金高(カナコー)へようこそ。皆さんは今日から、チーム金岡のメンバーです。教職員を代表して、心より、歓迎の意を表したいと思います。また、ご来賓の皆さまには、お忙しい中をご臨席賜りまして、高いところからではありますが、厚く御礼申し上げます。

 申し遅れましたが、私は「テレビの国」からやってきた、新しい校長です。皆さんと一緒に、この金岡で3年を過ごします。どうぞよろしくお願いします。

 さて、さっそくですが、皆さんに、一つお願いがあります。そして、そのあとに一つプレゼントがあります。

 まず、お願いです。

 金高にいるあいだに、とにかく本を読んでください。どんなジャンルでもかまいません。高校生の仕事は本を読むことだと思って、手当たり次第に、貪欲に読んでください。
 テレビ屋の私が言うのもあれですが、テレビを止めて、スマホや携帯を仕舞って、騙されたと思って、本を手にとってください。
 そして、面白い本を見つけたら、「こんな本があったぞ!」と得意げに、誰かにそれを伝えてみてください。

 もし、このお願いを聞いてもらえるなら、3年後に、皆さんに奇跡が起きるでしょう。本を読むことで、生きる力の源でもある「言葉のチカラ」を身につけることができます。高校時代は、どれだけ多くの言葉を身につけるかの勝負です。金岡高校では、学園生活のあらゆるシーンにおいて、皆さんの言葉を耕すサポートを惜しみません。騙されたと思って、本を読んでください。

 これがまずお願いです。

 さあ、続いて、お約束のプレゼントです。

 実は、この演台の前に掲げた横断幕。「いったい、なんだろう?」と思っている人も随分いるかもしれません。何を隠そう、これこそが、とっておきのスペシャルなプレゼントです。

 ゼロ・プラス・ワン!

 この記号、このフレーズは、金岡高校での3年間、およそ1,000日に及ぶ学園生活、その一日一日を、より充実したものにするための魔法の呪文です。そしてまた、この先、皆さんがどんな道に進もうとも、生涯にわたって自分自身の人生を切り開いていく武器にもなるマジックワードです。

「ゼロ・プラス・ワン」には、いろいろな意味が込められています。きょうは、中でも一番大切なことをお伝えしましょう。

 ゼロ・プラス・ワン!
「失敗を恐れずに、まず一歩を踏み出す勇気」

 いや、失敗を恐れずにというよりも、失敗をするために、失敗という貴重な経験をするために、まず、一歩を踏み出す。
 成功よりも、失敗から学ぶことの方がはるかに大きい。失敗したら、ラッキーと思えばいい。どんどんチャレンジして、どんどん失敗しよう。できるか、できないかを考えるのではなく、やるか、やらないか。やると決めたら、我を忘れて没頭する。
 どれだけチャレンジして、どれだけ失敗を経験したか、どれだけ没頭したか、その積み重ねこそが、皆さんを大きく成長させるはずです。

 自分自身で、限界を作ってはいけない。
「ムリ」とか「どうせ」なんていう言葉とは、もうサヨナラです。限界は乗り越えるもの。壁にぶち当たって失敗したら、ゼロに戻ればいい。そしてまた、初心に戻って、くじけず、辛抱強く、ゼロにプラス・ワンを、コツコツと積み重ねていく。
 勉強でも、部活でも、文化祭や体育祭でも、恋をする時でも、毎日のあらゆるシーンにおいて、まずはとにかく勇気を持って一歩を踏み出そう。

 ゼロ・プラス・ワン!
 それは、きのうと違う自分に出会える魔法の呪文。

 金岡での3年間、およそ1,000日、日々、絶え間なく、プラス・ワンを積み重ね、3年後には、今この瞬間には想像もできないような自分自身と出会ってください。

 ある調査によると、スマホや携帯の一日の平均使用時間が、高校生男子で4.3時間、女子に至っては6時間以上が4割を超え、驚いたことにそのうち1割以上が、一日12時間を超えているといいます。

 スマホに青春を捧げるのか。
 それとも、自分の未来のために、大切な時間をゼロ・プラス・ワンの投資に使うのか。賢明な皆さんであれば、答えは自ずと明らかでしょう。

 一日一日を大切に、今を生きる。そうすれば、きっと、うまくいく。

 チーム金岡の全スタッフが、責任を持って、皆さんの挑戦をサポートします。

 実は、今、私は、二度目の大学生をやっています。現役の学生です。今度の土日には科目試験もあります。校長の仕事が山積みで、ちょっとピンチです。でも、皆さんに負けるわけにはいきません。3年間、この金岡の地で、共に学び、共に成長しようではありませんか。

 きのうと違う自分に出会える、金高、金岡高校。
 合い言葉は、そう、「ゼロ・プラス・ワン!」

 平成26年4月8日
 大阪府立金岡高等学校  校長 和栗隆史