主体的な学びのすすめ(學而時習之。不亦説乎。)

 現在、新型コロナウィルスにより、全世界は未曾有の危機に直面しています。

 そのために5月末まで学校は臨時休業が続きます。分散しての登校が可能になったとは言え、危機は去ったのではありません。様々な制限や制約を課すことになりますが、命と安全を守るためなので、しっかりと守って行動して下さい。

 このコロナ危機は、感染者はもとより、仕事、介護、育児、教育など、社会の多くの分野で、命の危機にさらされたり、生きづらさがより深刻になり、助けを必要とする人たちを多く生じさせました。そうした人たちに対し、医師や看護師などの医療従事者は自らの危険を顧みず、治療に当たっています。また、他にも介護や保育の現場で働く人たち、人々の暮らしを支えるためのもの作り出したりそれを商う人たち、そのためのものや人を運び流通させる人たちなど、この危機に当たって、それぞれの現場でその専門性を発揮し、人や社会のために懸命に働いている人たちが多くいます。まずは、そうした人々の地道で懸命な働きで、私たちの社会生活が成り立っていることに感謝の気持ちを持ちましょう。

 その上で、自分は何をなすべきかを考えてみてください。あなた方学生が第一になすべきこと、それは学びです。この学びは、あなた方の将来の進路実現、自己実現のためですが、この社会で、何をもって、人のために貢献するかを、見つけるためのものでもあります。

感謝の気持ちを深く持つからこそ、学ぶのです。

ここで、みなさんに、先人の言葉を贈ります。

子曰く、「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。」

 これは今から2500年前に生きた孔子の言葉を集めた『論語』の言葉です。

訳は「学んで適当な時に、おさらいをする。なんとうれしいことか。」です。

 学ぶはまねることが語源です。学ぶとは手本となるものが身につくように何度もまねてみることです。次に習ふは慣れることを意味します。ですから習ふは学んだことが頭や体になじんで自然にできるようになったか、確かめてみることです。それがおさらいすることです。こうしてお手本となるものを何度もまねて、それが身についたかどうか確かめることは、とてもうれしいことだと孔子は言うのです。

 知らなかったことが分かる、できなかったことができるようになる、学習は人間の成長にとって本質的に非常に重要で、しかも、よろこばしいことなのです。

 もちろん、何度も何度もまねて、自然にできるようになるには、根気や努力が必要で、決して楽なことばかりではありません。しかし、苦労し努力して身に付けたからこそ、分かったり、できた時は、自分自身の実感として喜びも大きいのです。

 今、学校での一斉の授業ができません。だからこそ、主体的な学習が大切なのです。具体的には、自分で教科書を繰り返し読んだり、書き写してみたりすること。そして教科書の内容が理解でき、身についたかどうか、練習問題などを解いて確かめることです。これが主体的な学習です。その上でどうしても分からなかったり、うまくいかなかったりした場合に、適切に助言してくれる存在が必要なのです。私たち教師は、そのための専門職です。

繰り返します。学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。です。

 学びは自分自身のためでもありますが、社会で人のために役立つためのものでもあります。この未曾有の危機に際し、学生として学びを通じて、一人ひとりの持ち味を生かして、人のため、社会のために役立つ人間として成長しようとして下さい。

 私たち金剛高校の教職員は、あなた方一人ひとりの豊かな学びの実現のため、教え、導き、援助する専門家として、チーム一丸となって、関わり続けます。

令和2年5月8日    

金剛高等学校 校長    上本 雅也

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