• トップ
  • 2020年
  • 5月
  • 令和二年度 進路指導部冊子『進路』より「したたかに、しなやかに生きる力を」

令和二年度 進路指導部冊子『進路』より「したたかに、しなやかに生きる力を」

 新型コロナウィルスにより、世界全体が大きく揺らいでいる今日、これからの社会を生き抜くには、どんな力が必要かを、改めて考えざるを得ません。

 現在は「VUCA」の時代と言われます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べて「VUCA」と言います。地震などの天変地異、今回の新型コロナウィルスのような疫病の流行など、安全で安定していると思っていた日常生活が、いつ何時、崩壊するかもしれない、それが今の時代です。

 また、今後、働くことにおいても、AI(artificial intelligence)人工知能、IoT(Internet of Things)などテクノロジーの発展により、様々な分野で、単純な仕事、マニュアル化できる仕事はAIやロボットにとって代わられます。たとえば自動運転技術が発展すれば、高齢者による運転事故問題は解消されますが、タクシーやバスなどの運転手の仕事はなくなります。また、通訳の仕事も、言葉の単純置換なら、今やAIが同時通訳をやり、この仕事はなくなります。

 「進路とは、生き方を考えることである」を思う時、大きな時代状況は決して見過ごすことのできない大きな問題です。

 端的に言います。今後、生きる上で、必要な力は、「専門性」と「協働性」です。予測不能などんな困難な状況にあっても、「専門性」は、現実を切り開く自信と原動力となります。それが「したたかに生きる力」です。「協働性」は、他者に共感し、想像を働かせ、何が共にできるかを考え実行する力のことです。これが「しなやかに生きる力」です。両方ともAIにはできません。

 この2つはどちらも必要です。「専門性」は人間の尊厳と自由にかかわって、その人がその人らしい人生を生きるために。「協働性」は、社会的存在である人間が、孤立ではなく自立して生きるために。どちらに重点があっても構いませんが、どちらも必要です。しかも、この2つは、全く別々のものではありません。自分らしく生きるために「専門性」を身に付けようと、ひたむきに努力する姿は、人の共感を呼びます。たとえ、素朴に共に何かをなすことがなくても、その共感は、周りに元気と勇気を与えます。それが「協働性」であり、世に言う「絆」です。

 先行き不透明な困難な時代状況であるからこそ、「したたかに、しなやかに生きる力」を身に付けることを願います。

 金剛高校は、みなさん一人ひとりの進路実現のために、教え、導き、援助する専門家集団として、みなさん関わり続けます。

令和2年5月

校長 上本 雅也

カレンダー

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30