第40回卒業式を挙行しました。

2月26日土曜日、明るい春の日差しのもと無事、卒業式を終えました。。

金剛高等学校を巣立つ生徒の一人ひとりにはなむけの言葉を送ります。

大阪府立金剛高等学校

  第40回 卒業証書授与式 式辞

 厳しい寒さも和らぎ、春の訪れを感じる今日の佳き日に大阪府立金剛高等学校 第40回卒業証書授与式を 挙行できますことは、大変喜ばしく、心より感謝申し上げます。ご臨席賜った保護者のみなさまには、この3年間、本校 教育のご理解とお力添えをいただき、誠にありがとうございました。さきほど228名の生徒に卒業証書を、3名の生徒に修学証書を授与いたしました。おめでとうございます。

 さて、40期生のみなさん。みなさんは、きょう、人生の大きな節目の一つとなる高等学校卒業の日を迎えました。きょうに至るあなたの努力に拍手を送ります。社会に向けて旅立つあなたに、はなむけの言葉を贈ります。

 いま、私たちは地球規模で、一つのできごとを体験しています。2年前、2020年の初めから、すさまじい勢いで広がった新型コロナウィルス感染症です。この感染症は、地球上で多くの人の命を奪い、いまも社会・経済活動に多大な影響を与えています。

 みなさんの高校生活にもこの感染症の影響が及びましたね。つらい思いのなか、ほんとうによく頑張ってきました。さまざまな制約にもめげず、2年生のときの体育祭・文化祭、最高学年となって下級生を率いた体育祭・文化祭も見事にやり遂げました。そんな金剛高校での生活に誇りを持っていいと思います。

 金剛という名を冠した私たちの学校は、標高1125mの金剛山が大阪府の最高峰であるように、一人一人が力強い歩みによって高みをめざしてきた、素晴らしい高校です。

 金剛高校は、「地域社会とのつながりや人との出会い、多様な学びを通じて、主体的に学ぶ」ことを大切にしてきました。主体的に学ぶ力が、人生を切り拓くのです。

 40期生のスローガンは、Make Your Story でしたね。あなたはいま、自分の人生をしっかり手の中に握りつつある。この場所で自分なりの三年間をすごした経験は、あなたの中にゆるぎない何かを育んでいるに違いありません。

 私たち教職員は、一人一人に、主体的に学び自己実現する力、多様な他者と協働する力、持続可能なよりよい社会をめざす力を育もうとしてきました。

 みなさんは、さまざまな科目でSDGs(持続可能な開発目標)について学びました。SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際目標、です。17のゴール・169のターゲットが設けられています。

 「持続可能な目標」が求められたのは、この地球が、人類が、このまままでは持続できないという現実を世界が認めたからにほかなりません。私たちは厳しい現実(環境汚染、貧困、差別)などに対して、全力で取り組まなければなりません。それは、地球上の私たち人類が生き延び、人間らしく生きるためです。

しかし、そのためにある程度の犠牲はやむを得ないと考えることは間違っています。

SDGsでは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。

SDGsの取り組みの中で、私たちが絶対に手放してはならないのが「最後のひとり」という視点です。「だれ一人、取り残さない」ためには、「最後のひとり」という視点が必要です。たとえば、金剛山に登るとします。先頭と最後尾(一番後ろ)ができますね。全員が頂上に立つためには、一番後ろを見守りながら進むことが大切です。最後のひとりが頂上に立ってはじめて「誰一人取り残さな」かったと言えるのです。

 かつて、日本では、小学校に通う子どもの割合が81%でした。明治33年のことです。みんなが通えるようにと、明治政府は、小学校での費用負担を無償としました。5年後、就学率は95%まであがりました。しかし100%ではありません。5%の人たちが、無償となっても通えなかったのです。「誰一人取り残さない」ことは、難しいのです。未達成の5%は「ラスト5%」問題といわれます。施策は、95%まで達成することは、比較的直線的な努力で可能です。「無償にすること」で多くの人たちが、学校に通えました。しかし、最後の5パーセントは、実は、根本的な変革がなければ達成できないのです。残る5パーセントにその社会の構造的な課題が潜んでいるからです。その社会は5パーセントを犠牲にすることで成り立っている。どうしても通えない5パーセントは、社会が――私たちが作りだし、しかも、それを見ないふりをしているのです。

 なぜ、取り残される人がいるのか。その根本原因は何か。

 それを見抜き、そこを課題の焦点だと捉えて挑戦する――「最後のひとり」に寄り添うには、正しく見ることと勇気が必要です。逆にいえば、変革は、「最後のひとり」に寄り添うことで、はじめて可能となります。

 このことを覚えておいてください。

 これは社会の問題だけではなく、あなた自身と周りの人たちとの関係の中でも意味を持ちます。あなたの人生にとって、大きな可能性を拓く鍵となるでしょう。「最後のひとり」を救うことは、あなた自身を救うことです。

 これからも、持続可能で、すべての人間が安心して自由に生きられる社会の実現に向けて「自分は、何ができるだろうか」と考えながら、身近な人たちと共に進んでください。額を上げ、「新しい世界」との出会いへ、一歩を踏み出してください。未来は希望と共にあなたの前に開かれています。

 ご出席のみなさまの今後のご健勝とご活躍を祈念し式辞といたします。

令和4年2月26日

大阪府立金剛高等学校長 桝井 則子

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