令和2年度修了式(式辞)

 昨年は、学校休業で行えなかった修了式(3学期終業式)を行いました。卒業式でお伝えしたことと同じですが、ぜひ、覚えてくださいね!

【計画的偶発性理論 「好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心」の勧め】

 おはようございます。登美丘高校では、本来、始業式・終業式は体育館で行います。皆さんの顔を見てのお話しが楽しみだったのですが、なんとこの1年は全て放送での式でした。1年生の皆さんに至っては入学式以降、体育館での式の経験がありません。たった1年前まで、3学年が体育館にぎゅうぎゅう詰めで式を行っていたことを考えると、皆さんの顔を見られなくて残念です。というか1年前の終業式は学校休業中で行えず、まだグーグルクラスルームもなかったので、毎日一回はホームページを見てください、というしかない毎日でした。それを考えると、放送でも皆さんに話しかけられて良かったです。

 さて、この1年、苦難の一年でしたね。3月から学校休業が始まり、4月には一度目の緊急事態宣言の発出、ステイホームの3か月を過ごし、学校がフルで再開されたのは実に6月中旬でした。特に71期生は、中学校は卒業したものの、高校に入れない、クラスメイトもわからない。挙句のはては9月卒業論が巻き起こり、不安でいっぱいだったことと思います。また、楽しみの部活動は中止、大会出場はもちろん、練習もできない。6月の入学式というのも初の体験でした、すでに夏服の季節で、暑かったですね。 授業が再開されてからも、夏休みはたった一週間、土曜授業も8回もあり、そしてコロナ陽性者が確認されると学校は3日間の休業をするというルールのもと、4度、突然の学校休業を経験しました。その時に放送を良くしましたので、声は覚えてもらえたかもしれません。

 まず、誠にもって、「散々な一年間」といえる年だったかもしれません。だけど、反面、良いことや大きく成長を感じることのできた一年でもあったと思っています。学校再開後は、ハイブリッド学校祭や、部活動の大会、自主公演など、昨年までなら、計画された行事や活動は、あって当たり前、その上でどのように力を尽くすかを考えるのが、「頑張る」ということでしたが、この1年は、まず実施できるかどうかを考え抜く、そして計画しても、その前日まで、本当に開催できるのかがわからない中、それでもなお、準備に全力を尽くし、さらにその上でやり抜くという経験をしました。これは、身体的にも、特に精神的にも大変なことではあったのですが、ここに挑戦し、やり切れたことが、実は人生を切り開くためには欠かせない力の鍛錬になったと思っています。本当によく、頑張りました。

 卒業式でも話したのですが、計画的偶発性理論と言われるものがあります。「個人のキャリアの8割は、偶然の出来事によって決定される」という理論で、私自身の半生がそうなので、大好きな理論です。20年前に提唱された理論ですが、まさに今年にぴったりだと思っています。読みますね。

 「未来に何が起こるのか予想することは難しくなっています。社会や企業の状況は、個人の意思でコントロールできるものではありません。キャリアに関しても、外的な要因で計画したとおりにいかないことも珍しくないでしょう。そのような時代背景で、『何をしたいか』という目的意識に固執すると、目の前に訪れた想定外のチャンスを見逃しかねません。計画的偶発性理論では、成功するキャリアを築くために、偶発の出来事が起こるのを待つのではなく、みずから引き起こすべく行動することがポイントとなります。 具体的には以下の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすいと考えられています」というものです。

チャンスを引き寄せる5つの行動特性をお伝えします。今年度、皆さんの周りに起こったこと、自身が挑戦したことを思いだしながら聴いてください。

その1 好奇心・新しいことに興味を持ち続けること

その2 持続性・失敗してもあきらめずに努力すること

その3 楽観性・何事もポジティブに考えること

その4 柔軟性・こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとること

その5 冒険心・結果がわからなくても挑戦すること

どうでしょうか。正解がわからないとき、自分ではコントロールができない事柄があったとき、「好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心」 大切だと思いませんか。

 これが、コロナという、とんでもない歴史を生き抜いた皆さんが身に着けた力です。

これが、一年間伝え続けた、「登美高生は、強いから優しい」という力です。

 しんどい一年間でしたが、それを乗り越えた皆さん、この時代に高校生だったこと、いくつもの正解のない挑戦を続けたことを誇ってください。皆さんは、強くなりました。

 コロナとの戦いはまだまだ続きます。しかし、強くなった皆さんなら大丈夫です。変わらず注意しながら次の1年間の準備をしていきましょう。

 始業式で、元気な皆さんの顔を見られるのを楽しみにして、終業式の言葉といたします。一年間お疲れ様でした、

令和3年3月15日

校長 山本哲哉