令和3年度一学期始業式 式辞

令和3年度一学期が始まりました。新型コロナウイルス感染症対策として、グラウンドでの始業式です。(中学校以来でしょうか)厳しいスタートですが、頑張りましょう!

【大丈夫 いつか終わる】

 おはようございます。新型コロナウイルス感染症の対策として、グラウンドでの始業式です。私は、大阪市の中学校の校長を5年しましたが、その時は、毎週月曜日はグラウンドで全校集会でした。懐かしい感じです。

 さて、昨年度は一学期の始業式はありませんでした。今日は始業式ですが、まず現状をお話しします。一年前の4月7日に、一回目の緊急事態宣言が発出されました。それから約2カ月半、学校休業の措置が取られました。ステイホームと盛んに言われましたが、その1年前の4月7日の大阪府の新規感染者数は53名でした。一年たって今はどうか。昨日は878名。これから学校は1学期を迎えますが、この変異株と言われるもの、非常に感染力が高いと言われているので、もう一段、感染症対策を、大変だけどお願いします。テーマは、「マスクを外すと危険」です。お昼ご飯、部活動、着替え時間。黙々とお願いします。

 そして、新3年生の修学旅行のお話をします。新3年生の修学旅行については、昨年の12月に宮古島に行く予定でした。しかし、コロナウイルス感染症の広がりとともに、安全性が見込めないと、一旦長崎を検討、その後、関西満喫・修学旅行と銘打って、関西方面修学旅行を、2月に行う予定にしました。しかし2度目の緊急事態宣言で修学旅行は禁止。そこでも負けるものかと、この4月22日~24日に短縮・延期して行こうとしていました。一旦感染者数も減って、あったかくもなるし大丈夫じゃないかと思っていましたが、変異株と言われるウィルスが出てきて、あっという間に感染者数がうなぎのぼり、マンボウが発令されました。その中で修学旅行をどうするか。実はまだ決定していません。大阪府教育委員会からの通知では、昨日時点では修学旅行を禁止していません。そのうえでどうするか。決めたことは2つ。最後の最後、何を大切にするかという事と、その決定をいつするかということです。何を大切にするかという事では、これは明快。命です。皆さんの命、そして皆さんのお母さん、お父さん、お爺ちゃん、おばあちゃんの命。もう一つはいつ決めるか。これは今週いっぱいの感染者数を持って、前週より増えていれば、新しい決定を月曜日に行う事にしました。ただ、登美丘らしく、最後の瞬間まで、セカンドベスト、その瞬間からのベストを考えて決めたいと思いますので、お待ちください。

 これは実は新2年生も「他人事」ではありません。こういう時にどういう決定があって、先輩たちはどのように受けとめて動くのか。半年後には皆さんも同じ行事が待っています。良く見守って下さい。

 さて、新学期そうそう、緊迫した話になりました、そこで一つ、お話をしたいと思います。

最近は、振り返りの話がコロナの始まった、この1年に集中していますので、2年前の出来事のお話をします。2年前の一学期の終業式に話した内容です。対象は池江璃花子さん。池江さんは、アジア選手権で6冠をとった、18歳の時、2年前の2月に白血病を発症します。

そして2年前の5月8日にホームページを開設し、こう書きます。

「正直、心が折れそうな時もあります。

ですが、たくさんの言葉にはげまされ、最後まで頑張りたい、負けたくないという気持ちがこみ上がってきます。アスリートはもちろん、同じ病気の方達の気持ちは多少分かったつもりではあります。どんな時でも1人ではない事を忘れません。そして忘れないでほしいです。一緒に頑張りましょう!そして待ってくれている皆様に1日でも早く良い報告ができるようにしたいと思います。引き続き温かく見守っていただけたら嬉しいです。 池江璃花子」

とはいうものの、はらはらして見ていました。皆さんもご存じのように、あんなに細くなって、だいじょうぶやろかと思ったと思います。私も思いました。だけど多分間違いなく、想像を絶する努力をして、池江さんは、この4日の大会に優勝して、コロナで延期されなかったら、絶対に間に合わなかったオリンピックの舞台に戻ってくることになりました。

本当に驚いて感動しました。これが人に勇気を与えるという事なんやなと思いました。

 池江さんファンなのでホームページをたまに見ていました。そこで惹かれた言葉があります。池江さんは、闘病中に、抗がん剤による治療で、吐き気や、倦怠感が強く襲ってくる時に、「そんな時はとにかく『大丈夫、大丈夫、いつか終わる』と自分を励まし続けました」そうです。

「大丈夫 いつか終わる」

この言葉好きです。この言葉を知ってから、私も自分を励ますときによく言っていました。

蔓延防止措置法の発令などで行動が制限されて、辛い日が続きますが、これもいつかきっと終わります。耐えていきましょう。

 そして最後の最後に、報告です。昨年末の終業式と今年お正月の始業式にお伝えしたんですが、登美丘の先生達の挑戦です。登美丘では、LGBTQの生徒の可能性を考えて、生徒の呼称を「君ではなくさんにしよう」とすることにしました。そして、まずは教職員の先生たちが「〇〇さん」と話すことに挑戦します。これ、簡単には浸透しないと思いますが、毎回話すことで、前進していきたいのでどうぞよろしくお願いします。午後からの入学式、一年生の生徒にしても、主任の仲村先生から話していただく予定です。これも登美丘の「強いから優しい」ということで、よろしくお願い致します。

 さて、次の一学期終業式は、暑くてグラウンドではできないですので、次回はまた違う方法でお会いしたいと思います。辛いことは「大丈夫、いつか終わります」、この言葉を胸に始業式の言葉といたします。

令和3年4月8日

大阪府立登美丘高等学校長 山本哲哉