式辞です。
2年前の本日、当時の首相が全国すべての学校休業を宣言しました。
高校1年生だった皆さんの苦労の始まりでした。1年で終わるかと思ったコロナ、最終学年の昨年度はさらに何度も波が来て、歌合戦は2年連続の中止。芸術鑑賞もできませんでした。部活動公式戦の中止や練習時間の制限、禁止。最後まで粘って粘ったのですが、修学旅行も実施できませんでした。9月の文化祭、第5波が来て、3年生だけ別に実施、そして学年別の体育祭。なかなか苦しい日々が続きました。その中で10月19日、学年別に行われた体育祭初日の昼休み、この校内放送が流れました。
~生徒会長・校内放送~
「思い出の良し悪しはいつだって私たちの気持ちと行動次第、今、この瞬間からのベストを尽くすことで、最高の青春・最高の思い出の1ページを全力で作りましょう」
本日、この校内放送以上の話はありません。
これは、体育祭だけの話ではなく、これからの皆さんの人生の話でもあります。
今日の卒業式も、「このまま卒業するのはもっと悔しい」と言っているにも関わらず、みんなで歌うと決めた「卒業の歌」は式当日に歌わない、と通知が来ました。だけど皆で考えて、前週に体育館いっぱいに広がって歌い、収録しました。後程披露があると聞いています。そして、「来賓はなし、保護者は最小限に」とも言われました。陽性・濃厚接触で出席停止になる可能性もありましたので、生徒の皆さん、保護者の皆様に、LIVE配信ができるようにYouTubeのチャネル登録をお願いしました。
たった一週間で1,000名を超える登録をしていただけました、嬉しかったです、ありがとうございます。幸い出席停止の生徒はいませんでしたが、お越しいただけない保護者の皆さんに、現在LIVE配信をさせていただいています。前向きな気持ちと行動で、この瞬間からのベストを尽くすことができれば、最高の思い出はいつだって作れます。
もう一つ提案があります。よく「他人と過去は変えられない、でも自分と未来は変えられる」と言われます、実は、気持ちと行動次第で、過去さえも変えられるのはご存じでしょうか。
皆さんから、修学旅行に行けず残念だったという話をよく聞きました。将来、お友達に「修学旅行はどうやったん?」「行かれへんかってん」という会話が想像できます。だけど、聞かれたら、こう言ってみてはいかがでしょうか。「うん、まだ行ってないねん」
毎年1万づつ貯金すれば、10年後にはゴージャスに宮古島に3泊4日で行くことができます。例えば予定していた神戸オリエンタルホテル。ここなら3年後、大阪万博の年に、「大阪万博と神戸オリエンタルホテルで過ごす修学旅行」が実現します。もちろん全員でなくても、結果、10人くらいだって失敗ではありません、究極一人ででも立派な修学旅行です。生徒会長さん、どうでしょうか。
「行けなかった」と「まだ行ってない。これから行ける」では、過去の思い出も変わるのではないでしょうか。気持ちだけでもご検討下さい。
保護者の皆様、本日はお忙しい中、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。ここにめでたく、お子様が栄えある卒業をお迎えになりましたこと、心よりお祝い申し上げます。この栄誉は、保護者の皆様が、お子様を励まし、温かく育んでこられた賜物であり、ご覧のとおり、お子様は大変頼もしい若者に成長しました。この間に寄せられました本校へのご支援に対しまして、また、このたび卒業記念品として朝礼台を寄贈していただき、重ねてお礼を申し上げます。より素敵な学校祭や、体育の授業ができるように、大切に使わせていただきます。ありがとうございました。
私も、3年前にここ登美丘高校に参りました。授業参観をして、熱心に授業を受ける生徒の皆さんを拝見して、PTAさんの集まりの時に「この学校は、生徒がいいから、先生たちも元気でいられます」とお話をしたことがありますが、その年のPTA会長さんは「違う違う。親がいいから生徒がいいんですやん」とおっしゃっていました。本当にそうだと思います。3年間助けていただき、ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。
最後に皆さん、登美丘高校は来年100周年を迎えます。その100周年式典も、そして今年の6月に計画しているプレイベントの様子も、今日のために皆さんや皆さんの保護者さんが登録下さったYouTubeでLIVE配信する予定ですので、どうぞご覧くださいね。
さあ、この瞬間からのベストを尽くす『強いから優しい』皆さん。皆さんとどこかでお会いできること、活躍を耳にすることを楽しみにして、卒業式の式辞といたします。お幸せに。
令和4年2月28日
大阪府立登美丘高等学校
校長 山本 哲哉
保護者の皆様 ありがとうございました。