5.巻貝類(腹足類)

 多くは螺旋状の外形をした石灰質の殻を持つ軟体動物.軟体部は頭部・足・内臓に分化し,口には歯舌と呼ばれる特殊な歯を持つ.現生種は65,000種を越し,動物界では昆虫に次いで大きなグループ.
 化石は古生代カンブリア紀以降のすべての地質時代に知られ,古生代のベレロフォン,新生代のビカリアなど示準化石として重要なものがある.

(1) ベレロフォン

 ここに挙げている腹足類の中で,これだけが原始腹足目(古腹足目)に属し,最も原始的な腹足類の一つと見なされている.殻は頭足類のように左右対称に巻く.カンブリア紀に出現して古生代末にほとんどが絶滅した.
図-030ベレロフォン[Bellerophon sp.],ペルム紀,岐阜県産.殻の断面が示されている.
図-031ベレロフォン[Bellerophon sp.],ペルム紀,マレーシア産.

(2) ビカリア

 ウミニナ科に属する巻貝類.殻はかなり大きく,塔状で,多くの螺層を数える.彫刻が著しく,大小の棘状突起がある.
 フィリピンを中心とした東南アジア地域に古第三紀暁新世〜新第三紀中新世に繁栄したが,日本での化石産出はほとんどが新第三紀中新世に限られる.熱帯のマングローブ湿地のような汽水の混じる環境を好んだと思われ,示準化石であるとともに示相化石としても重視される.
図-032ビカリア[Vicarya japonica],新第三紀,岡山県産.

(3) その他の巻貝類

図-033ビカリエラ[Vicaryella sp.],新第三紀,岡山県産.
図-034キリガイダマシ(ツリテラ)[Turritella sp.],新第三紀,岐阜県産.

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