9.節足動物
(1) サンヨウチュウ(三葉虫)類
古生代だけに生存した節足動物.多様に進化し,古生代の各時代の示準化石として有用なものが多い.
体はキチン質の膜で覆われ,背面は石灰や燐酸カルシウムで硬化して背甲をなす.体節の数は不定であるが,大きく見ると前部の頭部,中部の胸部,後部の尾部の3部に分かれ,それらを通じて各体節が軸部と左右の肋部(側葉)に分かれているので三葉虫の名がある.この場合の「葉」は,植物の葉ではなく器官の部分を表す.
すべて海生で,多くのものが海底を這っていたと思われるが,遊泳可能と思われるものや深い泥にもぐって生活していたと思われるものもある.
図-078:ペロノプシス[
Peronopsis interstrictus],カンブリア紀,アメリカ産.アグノスツス目の小型三葉虫.
aは標本全体を撮影したもの.
bは1個体を接写したもので,頭部と尾部がよく似ているが,右側が頭.
図-079:レドリキア[
Redlichia chinensis],カンブリア紀,中国産.レドリキア目の三葉虫.化石化の過程でかなり変形している.
図-080:アカドパラドキシデス[
Acadoparadoxides sp.],カンブリア紀,モロッコ産.レドリキア目の比較的大型の三葉虫.
図-081:パラレユルス[
Paralejurus sp.],デボン紀,モロッコ産.コリネキソキス目の三葉虫.
aは上(背側)から,
bは左横から撮影したもの.
aでは右が頭,
bでは左が頭.
図-082:エルラシア[
Elrathia kingi],カンブリア紀,アメリカ産.小判型の体形をしたプティコパリア目の三葉虫.
図-083:プロエツス[
Proetus rehamnanus],デボン紀,モロッコ産.プティコパリア目の三葉虫で,身体を丸めているのは腹部を守るためと考えられている.
aは右横から,
bは前方から撮影したもの.
図-084:ファコプス[
Phacops rana],デボン紀,アメリカ産.丸みを帯びて前方にふくらんだ頭と大きな複眼が特徴のファコプス目の三葉虫.暖かい浅い海に生息していたと考えられている.
aは標本全体を上(背側)から,
bは右横から撮影したもの.
cは頭部を上から,
dは頭部を右前方から接写したもので,発達した複眼の様子がよく分かる.
図-085:ファコプス[
Phacops sp.],デボン紀,モロッコ産.ファコプス目の三葉虫.
図-083の標本と同じく腹部を守る姿勢をとっている.
aはほぼ右横から,
bは上から撮影したもの.
図-086:ファコプス[
Phacops sp.]?の頭部,時代及び産地は不明.複眼がよく分かる.
aはほぼ前方から,
bは上から撮影したもの.
図-087:ディアカリメネ[
Diacalymene sp.],オルドビス紀,モロッコ産.ファコプス目の三葉虫であるが,頭部のイボ状突起はない.
図-088:ディアカリメネ[
Diacalymene sp.],オルドビス紀,モロッコ産.腹部防御の姿勢をとっている.
aは右横から,
bは前方やや上から,
cは前方から撮影したもの.
図-089:カリメネ[
Calymene sp.]?の頭部,時代及び産地は不明.ファコプス目の三葉虫で頭部のイボ状突起がなく複眼もやや小さいことから,カリメネ属のものと思われる.
aは上(背側)から,
bは前方から撮影したもの.
図-090:キファスピス[
Cyphaspis sp.],デボン紀,モロッコ産.細長い棘が特徴的である.
aは左上から,
bは前方斜め上から,
cはほぼ真上から撮影したもの.
図-091:ホラルドプス[
Hollardops sp.],デボン紀,モロッコ産.身体をほぼ直角に折り曲げている.
aは上から,
bは右上から撮影したもの.
図-092:モロカニテス[
Morocanites sp.],デボン紀,モロッコ産.
aは標本全体を上から,
bは右横から撮影したもの.
cは頭部を真上から接写したもので,先端に棘状突起(吻?)があるのが分かる.
図-093:サンヨウチュウ[属種名不明]の尾部,オルドビス紀,カナダ産.
(2) 甲殻類
図-094:エビ[属種名不明],ジュラ紀,ドイツ産.母岩はゾルンホーフェン石灰岩.右端に見えているのは
図-114の硬骨魚化石.
図-095:エビ[属種名不明],第四紀,広島県.新しい時代のものなので,外骨格の赤い色が残っている.
aは標本の左横から,
bは上(背側)から,
cは下(腹側)から撮影したもので、図の左側が頭部(残っていない).
(3) 昆虫類
図-096:昆虫[属種名不明],第三紀,ドミニカ産.“虫入り琥珀”で,ハチに似た昆虫が閉じこめられており,羽根などの細部まで見ることができる.
aは標本全体を,
bはその一部を接写したもの.
図-097〜-104:堆積岩から化石を取り出す実習を行った時に産出した昆虫化石,第四紀,栃木県産.いずれも同定はできてないが,
図-097と
図-098はトンボ類で,
図-099はトンボ類の幼虫かと思われる.また,
図-100はイトアメンボ,
図-101と
図-102はハエ・アブのようなものかと思われる.

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