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平成29年度入学式式辞   

学校長 村田 徹 

学校長 村田 徹

 >穏やかな春の温かさとともに、万物に生気がみなぎるこの佳き日に、ただいま入学を許可しました新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。高津高校を代表し、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 

保護者の皆様、お子様のご入学、本当におめでとうございます。皆様が手塩にかけて育ててこられたお子様が、3年後にはさらに逞しく成長していただけますよう、高津高校では教職員が一丸となって支えていくことを、まず、お約束させていただきます。

また、本日は、公私とも何かとご多忙な中、多くのご来賓の皆様にご臨席を賜りました。

日頃から本校の教育にご理解とご支援を賜りますとともに、新入生の門出に花を添え、ご祝福いただき、誠にありがとうございます。高いところからではございますが、心より御礼申しあげます。

 

さて、新入生の皆さん。あらためて、おめでとう。

本校は、大正7年(1918年)に、大阪府立の旧制第十一中学校として創立され、以来、大阪を代表する進学校として、今年度、創立99年を迎え、数多くの有為な人材を世に送り出しています。

この間、高津高校を「学び舎」として巣立ってゆかれた皆さんの先輩は、常に高い次元で「自由と創造」「日進日新」を体現し、現在の清新溌剌とした校風を創りあげるとともに、多くの卒業生が社会の第一線で活躍しておられますが、皆さんには、これらの先輩たちをも超えていくことを期待します。

そして、そのために、3年間忘れずに、常に意識してもらいたい言葉を一つ伝えたいと思います。それは「ありがとう」です。

理由は2つあります。

まず、1つめの理由ですが、あるアンケートによると、「言われて嬉しい言葉は何ですか?」という問いに対する回答の第2位は「おはよう・こんにちは(あいさつ)」で26.4%、そして、第1位が「ありがとう」で57.2%となっています。 

気軽に「ありがとう」と伝えるようにすれば、もっともっと周りの人が喜んでくれて、自分のそばに「ありがとう」がどんどん溢れていくかも知れませんね。

2つめの理由は、「盲亀浮木の譬え」など、「ありがとう」の語源を辿ると、漢字で書く通り“有り難い”すなわち「有ることが難しい」「当たり前ではない・奇跡的」という意味が出てきます。

考えてみれば、私たちの日々の生活は、実は、この「有り難い」ことばかりです。まず、私も皆さんも生命を授かりました。これが最初の奇跡です。しかも、この地球上には約74億人もの人が生きているのに、同じ国で暮らし、今、共に高津高校の入学式に参加している。まさに、日常は奇跡の連続です。

この「有り難い」という、「ありがとう」の語源を意識していれば、「ありがとう」と口にするたびに、当たり前と思ってしまいがちな日々の営みは「有り難い」「当然ではない」と、再認識・確認することができます。

自分の生活が、多くの人々に支えられていること、「やってもらって当たり前」ではないことに思いを及ぼし、より高い次元の感謝の気持ちで、日々を過ごせば、皆さんの高校生活は、単なる「青春物語」にとどまらず、きっと栄光の未来に繋がる、最高に充実したものになると思います。

 

次に、そのために、今日から始まる高津での生活において、決して使ったり、思ったりしてほしくない2つの「NGワード」を伝えます。

1つめは「どうせ」です。

この言葉が頭に浮かんだり、言葉として出た瞬間に、人は成長を止めてしまいます。

例えば、今年の高校入試で言えば、数学。皆さんが受けたC問題は、とても難しかったですよね。多くの人、特に少し数学が得意な人は、テストが終わった時、とても不安になったと思います。でも、気を取り直して、その後も頑張ったことが、皆さんの今日の晴れの日につながっていると思います。

明日からも「どうせ、私は数学は、英語は、苦手だから…」を自分に許してしまうと、その瞬間から、もはや成長は望めませんし、皆さんと一緒に高津を受験し、願いを遂げられなかった218人の友人の思いにも応えられないでしょう。

高校での学びは、中学までとは大きく異なります。私も、実際に、高校に入って中学校までは苦手だった教科の能力が開花した生徒の例をたくさん知っていますし、逆に、得意だった教科が、あっという間に苦手になってしまう例も珍しくありません。

新しいスタートです。中学校までの得手・不得手は一度リセットして、全員が「0」からスタートしてください。潜在的なものも含めて自分の底力を信じて、大きな花を咲かせてもらいたいと思います。

2つめは、「~してくれない」です。

昨今、SNSなどのソーシャルメディアをはじめとした、急速な進化に対応しきれておらず、社会全体が幼くなっているという指摘があります。一方で、昨年、いわゆる18歳選挙権が導入され、今、高校には「大人になる学校」であることが、あらためて強く求められています。

では、「大人になる」とはどういうことでしょうか。

あるコラムに、その尺度の一つは「誰それが、何々してくれない」と言わなくなることだという趣旨のことが書かれていました。まさにその通りだと思います。つまり、他人のせいにせず、自分で責任を引き受けられるようになることです。

「してくれない」は、「これぐらい、してくれてもいいのに、してくれない」と、相手に求める言葉です。「ありがとう」の対極にある言葉ではないでしょうか。

「言わなくても、やってくれたらいいな」と勝手にあてにして、そうならないと相手を責める。頼むならはっきり頼むべきだし、頼んでもいないことを期待する方がおかしい。また、何かをしてほしいのなら、せめて、その理由と、正当性を論理的に伝えられるように、なってもらいたいと思います。

 

冒頭にも紹介しましたが、本校の校風・校是は、「自由と創造」「日進日新」であり、今も、そしてこれからも、変わらず大切にしていきたいと考えています。

来年度に迫った創立100周年事業のスローガンは、「もっと自由に、もっと創造」です。

 

本日は、皆さんが、よりスムーズに高津の変わらぬ校風・校是を体現できるよう、「ありがとう」。そして2つの「NGワード」をお伝えしました。どうぞ3年間、この簡単な3つの言葉を大切に、「自由と創造」「日進日新」のもと、今日より明日、明日より明後日。

tart Dash、Swing ByそしてVoyageへと、まっすぐ進んでもらいたいと思います。

 

さて、保護者の皆様、お子様が入学され、「ホッと一息」と感じておられることと存じます。厳しい社会状況の中、深い愛情を持ち、お子様を育んでこられましたことに、あらためて敬意を表したいと思います。本当におめでとうございます。

 お子様のご入学を心よりお祝い申しあげますとともに、早速ですが、皆様に一つお願いがあります。

保護者の皆様から、「もう高校生だから、子どもに任せます」という趣旨のご意見を伺うことがあります。しかし、少子化や、行き過ぎと言われるほど社会全体のサービス化が進んでいく中で、今の高校生は、驚くほどの幼さ、未熟さを示す事が少なくありません。

あとしばらくは大人がきっちりと見守り、しっかりと導くことが必要です。「手は離しても、目は離さない」姿勢をあらためてお願いします。

私たち教職員一同、大切なお子様の成長を、優しくそして厳しく支えていく所存ではございますが、残念ながら、学校だけでは限界があり、保護者の皆様と学校が一体となって子どもたちとの関わりを深めることが不可欠です。

PTA活動をはじめ様々な活動に積極的にご参加いただく中で、本校の教育方針にご理解を賜り、積極的な応援とご協力をいただきますとともに、お気づきの点やご意見・ご要望などがございましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。

 

最後になりましたが、本日、ご多用中にも関わりませずご臨席を賜りましたご来賓の皆様におかれましては、本校が社会的存在としてその役割を全うし、今後さらに発展充実が叶いますよう、一層のご指導、ご支援をお願い申しあげ、入学式の式辞といたします。

 

平成29年4月7日

大阪府立高津高等学校 校長 村田 徹

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