大阪府立勝山高等学校72期生、卒業証書を授与された九十名のみなさん、あらためて、卒業おめでとうございます。3月6日(金)の卒業証書授与式、本来なら多くの来賓の方に臨席いただく予定でした。また、式の後も、もっとゆっくりと勝山高校で過ごしてほしかったところですが、せわしく学校を後にしてもらうことになり、みなさんに寂しい思いをさせてしまったかと思います。その後も、新型コロナウイルス感染者は増え続けている状況です。この状況を考えると、3月6日、お天気にも恵まれた日に卒業証書授与式を行うことができたこと、本当によかったと思います。
卒業生のみなさん、3年間、本当によく頑張りました。この3年間には、それぞれのみなさんにそれぞれの思い出ができたことでしょう。楽しかったことばかりでなく、しんどかったこと、嫌だったこと、投げ出したいこともいくつもあったことでしょう。今、振り返ると、どうでしょうか。その時にはわからなかったかもしれないけれど、支えてくれた人たちの顔が浮かびませんか。
家族、友人、先生。あのときの友達の言葉、先生の言葉、家族の励まし。
それぞれへの感謝の気持ちを思い出とともに忘れないでいてほしいと思います。
今、時代は大きく変化し続けています。「グローバル化」「情報化」「多様化」という言葉が飛び交い、それらはかつてない速度で進み、予測が困難な時代です。このような時代にあって、様々な変化、複雑な状況変化の中を生き抜いていくためには、どうしたらよいでしょうか。
物事を一方から見るのではなく、いろいろな方向から見てみましょう。
こっちからみるとこうだけれど、あっちから見るとどうだろう?
自分はこう考えるけど、違う考えの人もいるのかな?
「こうでなければならない」という思い込みを持たないことです。決めつけないことです。
答えはひとつとは限らないことが多くあります。そして、世の中には、見ようとしなければ見えないもの、知ろうとしなければわからないことがいっぱいあります。自分と違う見方をする人、自分と違う考えを持つ人、いろんな人がいます。その中で「主体的に」自ら考える力、自ら判断する力、そしてそれを表現する力を養っていってほしいと思います。美しいもの、すてきなものをたくさん見て、たくさん知ってください。
そして、「夢」を持ち続けてほしいと思います。
「夢」は簡単に叶えることができないからこそ「夢」。だからこそ、「夢」は人を動かす原動力になります。「夢」を持ち、「夢」に向かって努力をする。困難なことにぶつかったとき、できない理由をあげるのはとても簡単です。「でも・・・だって・・・」。けれど、大切なのは、すぐに諦めずに他にまだできることはないかと考えることです。失敗することもある。失敗のない人はいません。失敗を恐れず、自分の可能性を信じてチャレンジしてください。どんな「夢」も、努力なしに叶うことはありません。小さなことの積み重ねがいつの日か「夢」を叶えるのです。自分を信じて、諦めずに、前を向いて。「あせらず」「あわてず」「あきらめず」。目の前の一歩を大切に。
勝山高校に入学してくれて、ありがとう。勝山高校を卒業してくれて、ありがとう。
勝山高校の教職員はみんな、みなさんが健康であること、夢に向かって挑戦し続けることを心から願っています。みなさんの笑顔を思い浮かべ前途に幸多かれと願っています。また元気な笑顔を見せてくれることを楽しみにしています。
令和二年三月十九日
大阪府立勝山高等学校長 幸川 由美子