38期生入学式式辞

 校門の満開の桜が惜しみなく花びらを降り注いで言祝ぐ今日、金剛高校第38回入学式を挙行いたしましたところ、ご多用の中、臨席を賜りました、大阪府教育庁支援教育課をはじめ、PTA役員のみなさまには、高いところからではございますが、厚くお礼申し上げます。

 ただいま入学を許可しました、普通科240名、共生推進室生徒3名、合計243名のみなさん、ご入学おめでとうございます。

 今日からみなさんは大阪府立金剛高等学校第38期生です。教職員、在校生一同、みなさんのご入学を心より歓迎いたします。 

本校は、「みんなが仲間と共に通える学校を」という地元の熱い思いを受けて、昭和55年(1980)に誕生しました。平成16年(2005年)には、それまでの特色ある学校づくりを発展させる中で普通科総合選択制に改編し、地域社会に貢献する自立した人づくりをその使命として、今日まで着実にその教育実践を積み重ねてきました。

おかげさまで、面倒見のよい学校、地域とともにある学校として、各方面より高い評価をいただいています。この創造と活力に溢れる学び舎に、38期生のみなさんを迎えることができることを本当にうれしく思っています。

平成27年(2015年)からは、本校にたまがわ高等支援学校の共生推進室が設置され、知的障がいのある生徒の受け入れをスタートしました。今年度で3学年がそろうことになります。大阪府では「ともに学び、ともに育つ」というスローガンのもと、知的障がいのある生徒の高等学校への受け入れに積極的に取り組んでいます。

共生推進室の生徒は、週一回東大阪市にある本校に通って就労に関わる授業を受けたり、本校でも一部個別の授業を受けるなど、普通科の生徒とは少し異なる教育課程で学びますが、普通科の生徒と同じ教室で学ぶ時間が多数あります。クラスに所属し、学校行事やクラス活動、部活動にも参加します。

障がいのある生徒もない生徒も互いにその個性を尊重し合い、発揮しながら「自分らしく」生きることを学ぶことが「ともに学び、ともに育つ」意義です。先ほど入学を許可した243名の生徒一人一人が、かけがえのない存在として、この金剛高校で自分らしさを輝かせ、学び、育つことを願っています。

ここで新入生のみなさんに私から入学に当たっての言葉を贈ります。フランスの哲学者ルネ・デカルトの「我思う。ゆえに我あり」(コギト エルゴ スム)です。この言葉は私が高校大学時代、「いかに生きるべきか」に思い悩んでいた時、最終的に卒業論文のテーマに選んだ言葉です。

デカルトは、よりよい人生を生きるために、間違いにだまされることなく、確実に正しい真理を手に入れようと願いました。彼はそのため、あらゆるものを一旦、方法的に疑い、確実に正しいものがないか、考えに考えたのです。考えに考えた果てに何も確実に正しいものはないとの結論に至った時、そこで彼は、はたと気づいたのです。こうして真理に到達しようと、あらゆるものを疑い、考え続け願い続けている私は確実に存在している。これは疑いようのない確実な真理である。これが「我思う。ゆえに我あり」です。

この時の「思う」とは考えることだけを意味しません。彼が正しい人生を生きたいと願い続けた「思い」のことです。そして「我あり」は、そうして願い続けた経験の全てを意味するのです。

これが彼が手に入れた確実な答えなのです。

みなさんは、自分はこれからどう生きたらいいのか、一人ひとりが答えをつかみ取っていかなければなりません。誰も答えを与えたり、教えたりはしてくれません。

疑い、考えることは必要ですが、それだけでは不十分です。

自分自身の答えをつかみ取るために、「思い」「行動」することが必要なのです。「思い」「行動」することが疑いようのない確実なものを実在させるのです。

具体的には、学ぶことです。教科の学習に全力で取り組んでください。また先生方や周りの人たちから、人生をよりよく生きるための知識や技術、知恵を学んでください。

次に、つながり関わってください。クラスの仲間に心を開いて信頼関係を結んでください。そして苦しい時にこそ助け合い支え合うことができる関係を作ってください。

3つめに、「本気」になって、クラス活動、体育祭や文化祭などの学校行事や部活動などに取り組んでください。

こうした学びやつながり、取り組みの一つ一つがあなた方自身の確かな答えとして、あなた方の進みたい進路を指し示してくれます。

もう一度言います「我思う。ゆえに我あり」です。あなた方一人一人の「思い」による「経験」が、あなたの存在を形作るのです。

私の掴み取った答えの一つを紹介します。私はこの金剛高校に新任教師として12年間過ごしました。

そんな中で関わった生徒、支えてくれた先生方の姿が、いくつもの忘れられないシーンとして今も鮮明に思い出されます。中でも最も苦しかったときに、私の願いに応えてくれた生徒の姿、私を励まし、大丈夫、私が側にいるよと、声をかけ支えてくれた先輩の先生、地域の方々の姿は、一生忘れません。

金剛高校は、私を人間として成長させてくれたと確信を持って言えます。

金剛高校は人を成長させる力を持った学校だ。これが私の掴み取った確実な答えです。

この金剛学校に戻ってきて、今ここにいる先生方と接していて、この答えに間違いがないことを、再度確認しました。

繰り返します。金剛高校は、あなた方一人ひとりを成長させる力のある学校です。

私たち金剛高校の教職員は、あなた方一人ひとりの人間的成長を願い、「本気」になってあなた方に向き合い、関わります。

 最後になりましたが、保護者の皆様には、今日まで、ご苦労を重ねつつ、慈しんでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。私たちが大切に考えるのは、かけがえのないお子様の人間的成長です。教職員一同、保護者のみなさまと心をあわせ、真の愛情を持って、きびしく取り組んでまいりたいと思います。このことにつきまして、何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。また、お子様について少しでもご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談下さい。

金剛高校教職員は、教え、導き、援助する専門家として、チーム一丸となって、お子様に向き合い関わり続けます。

新入生の皆さんには、今日の気持ちを忘れず、どうか、仲間を信じ、先生方を信じ、思い続け願い続け、「本気」でものごとにぶつかり、未来を切り開いてください。

「強い金剛」「楽しい金剛」「夢のある金剛」はあなたたちが作りあげるのです。

これを私からの式辞といたします。

平成29年4月10日    

金剛高等学校校長    上本 雅也

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