40期生入学式式辞

校門の満開の桜が惜しみなく花びらを降り注いで言祝ぐ今日、金剛高校第40回入学式を挙行いたしましたところ、ご多用の中、臨席を賜りました、大阪府教育庁支援教育課 加納範昭様をはじめ、PTA役員のみなさまには、高いところからではございますが、厚くお礼申し上げます。

 ただいま入学を許可しました、普通科240名、共生推進室生徒3名、合計243名のみなさん、ご入学おめでとうございます。

 今日からみなさんは大阪府立金剛高等学校第40期生です。教職員、在校生一同、みなさんのご入学を心より歓迎いたします。 

本校は、「みんなが仲間と共に通える学校を」という地元の熱い思いを受けて、昭和55年(1980年)に誕生しました。平成16年(2005年)には、それまでの特色ある学校づくりを発展させる中で普通科総合選択制に改編し、今日まで着実にその教育実践を積み重ね、昨年度平成30年度(2018年)からは普通科専門コース制として、新たな一歩を踏み出しました。

平成27年(2015年)からは、本校にたまがわ高等支援学校の共生推進教室が本校に設置され、今年度が5年目になります。障がいのある生徒もない生徒も互いにその個性を尊重し合い、発揮しながら「自分らしく」生きることが「ともに学び、ともに育つ」意義です。先ほど入学を許可した243名の生徒一人一人が、かけがえのない存在として、この金剛高校で自分らしさを輝かせ、学び、育つことを願っています。

金剛高校の特長は「地域性」と「多様性」です。金剛高校は地域の願いで設立され、地域により支えられ、地域に貢献する人材づくりを使命とする学校です。現に金剛高校の卒業生の多くが富田林をはじめとする南河内地域の中で生活し、看護・医療、福祉などの職業や様々な活動で地域社会に貢献しています。本校の教育活動も、地域の方々や学校園、施設と関わったものが多いです。たとえば、近隣の金剛東保育園の園児たちとの交流、津々山台幼稚園の園児や地域の障がいのある方々一歩の会を招いての体育祭。また、高齢者の施設での演奏や、すこやかネットでのクリーン活動など、授業や行事、部活動で地域の方々と交流し、多くの貴重な「学び」と「経験」をさせていただいています。

次に「多様性」です。先ほど述べたように、本校には共生推進教室があり、障がいのある生徒と共に学んでいます。また、外国にルーツを持つ生徒や社会的な立場のある生徒、心や体に配慮が必要な生徒など、様々な違いのある生徒が本校で学んでいます。金剛高校は、この違いを個性として尊重し、違いを豊かさにして、自分らしさを輝かせることを大切にする学校です。詩人の金子みすずの言葉にあるように「みんな違って、みんないい」のです。みんなが同じになるのではなく、違いを認め合い、尊重しつつ、つながり、関わる、これが「多様性」の尊重です。よって金剛高校では、「違い」を笑いの対象にしたり、排除する「いじめ」は決して許しません。

みなさんにまず確認して欲しいのは、金剛高校が「地域性」と「多様性」を特長とする学校だということです。

このことを踏まえて、みなさんは、本校のアドミッションポリシー、求める生徒像をしっかりと心に刻んでください。金剛高校が求める生徒は

①本校の特徴や特色を理解し、目標を持ち、主体的に学ぶことができる生徒

②日々の学校生活を大切にし、粘り強く地道に学ぶことができる生徒

③互いの違いを尊重し、ともに学びともに育とうとする姿勢を持つ生徒

④学校行事、 部活動等に積極的に参加し、地域や社会に貢献できる生徒

⑤規律正しい生活ができ、進路実現に向け、果敢にチャレンジする姿勢を持つ生徒

金剛高校は、「地域性」と「多様性」を特長とする学校として、今述べた5つができる生徒に、みなさん一人ひとりが育つことを目標として、授業、行事、部活動など、あらゆる教育活動を行っています。

みなさんは、金剛高校の教職員が、自分たちにどんな生徒になって欲しいと望んでいるかをしっかりと理解して、これからの高校生活を送ってください。

次に、合格者説明会で学年主任が言った学年のスローガン「make your story」。あなた方一人ひとりの物語を作りなさい、を思い出して下さい。先ほど紹介した本校のアドミッションポリシーは、全ての生徒たちが等しくあって欲しい姿や力です。謂わば最大公約数です。

その上で、あなた方一人ひとりは、いかに生きるべきかの大きな問いに答えるため、あなた方一人ひとりの固有の物語を作ることが、求められています。

では、どうすれば固有の物語が作れるのでしょう。

ここで、みなさんに、先人の言葉を贈ります。

子曰く、「之を知るはこれを好むに如かず。之を好むは之を楽しむに如かず」と。

これは『論語』の言葉です。

現代語訳は、孔子先生がおっしゃった、「物事を理解し知っていることは、それを好んでいることには及ばない。物事を好んでいることは、それを心から楽しんでいることには及ばない」と。です。

学校では、様々な教科・科目で知識の理解や技術の習得を課します。「学び」はまねることから始まります。同じことができるように何度も繰り返しまねて、頭や身体に知識や技術を取り入れます。これは決して楽なものではありません。しかし、幅広い知識や技術を習得することは、人間の幅を広げる上でとても大切なことです。これが「知る」ことの段階です。

しかし、それでは苦しいだけです。孔子は言います。「知る」ことは大事だが、そのことが好きになることにはかなわないのだと。具体的に言うと、授業で習う、たとえば国語では、『平家物語』、歴史では、明治維新、数学では、微分・積分、理科では天体、など「へぇー。これはおもしろい!もっと知りたい、もっとやってみたい!」とその教科・科目をもっと自分で学びたいとなることです。これが「好き」になる段階です。みなさんには、教科科目やその他の分野、部活動等で、是非とも「知る」段階を超えた「好き」になるものを見つけて欲しいと願っています。

 孔子の洞察にはさらにその先があります。「好き」になる関わり方以上のものがあるのだと孔子は言います。それが「楽しむ」です。「好き」は謂わば私からの片思いです。「楽しむ」は、片思いではありません。その物事との関わりから力をもらい、自分自身が元気が出る関わり方です。こうなるとこの関わりは自分が生きて行く上で切っても切り離せなくなります。

「知る」ことは、教養として人間の幅を広げることです。自分固有の物語は「好む」「楽しむ」段階から織りなされ、みなさん一人ひとりの人生の方向性を指し示してくれます。どうかみなさんは、まずは「知る」ところから始め、日々の「学び」と「経験」の中で「好き」になり「楽しむ」ものを見つけ出して下さい。それがあなた方の固有の物語となるのです。

私たち金剛高校教職員は、あなた方の「学び」と「経験」による物語作りをチーム一丸となって全力で支援します。

 最後になりましたが、保護者の皆様には、今日まで、ご苦労を重ねつつ、慈しんでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。私たちが大切に考えるのは、かけがえのないお子様の人間的成長です。教職員一同、保護者のみなさまと心をあわせ、真の愛情を持って、きびしく取り組んでまいりたいと思います。このことにつきまして、何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。また、お子様について少しでもご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談下さい。

金剛高校教職員は、教え、導き、援助する専門家として、チーム一丸となって、お子様に向き合い関わり続けます。

新入生の皆さんには、今日の気持ちを忘れず、どうか、自分を信じ、仲間を信じ、先生方を信じ、固有の物語を紡いで下さい。

これを私からの式辞といたします。

平成31年4月8日    

金剛高等学校校長    上本 雅也

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