第41回卒業式

うららかな春の陽光が降り注ぐ佳き日に、41期生が旅立ちのときを迎えました。

本校で得た経験をもとに、それぞれが歩む世界で大きくはばたいてほしいと願い、心から「おめでとう」の言葉を贈ります。

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以下、本日の校長式辞です。

淀川の春風に乗って梅の香りが漂い、遠く生駒の山並みからも春の息吹が感じられる今日の佳き日に、保護者の皆さまのご臨席を多数賜り、第四十一回大阪府立西寝屋川高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生・教職員にとりましても大きな喜びでございます。ご多用のなか、ご出席いただきました保護者の皆さまには、心よりお礼を申しあげます。

ただ今卒業証書を授与しました百九十名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、この日をどれだけ待ち望んだことでしょう。思い返すこと今から三年前、新型コロナウイルス感染症対策の措置として、全国の学校が一斉に休業となり、初めての緊急事態宣言が発令されるなか、多くの皆さんの高校生活は自宅待機の日々からスタートしました。いったいいつになったら学校へ通えるのか、不安でたまらなかったことと思います。六月に入り、長かった休業期間がようやく明け、待ちに待った学校生活が始まりました。感染症対策で敏感になっている世のなかの状況は、学校においても例外ではなく、授業や行事はこれまでに比べて大きく制限を受け、友だちと話したり、笑いあったりすることさえも、気を遣うような日々でした。しかし皆さんは、そのような苦労を一つひとつ乗り越えてきました。日々の授業はもちろん、体育祭や文化祭などの行事においても、多くの制限がありましたが、我慢をするだけで高校生活を終えてよいわけがありません。授業で取り組むべきことは何か。みんなが楽しめる行事にするにはどんな工夫をすればよいのか。進路実現に向けて、大切な心がけとは何か。あらゆる場面において、皆さんそれぞれが考え、お互いを思いやり、ルールを守り、実行する。そのような小さな積み重ねが、やがて大きな成果となり、充実した高校生活につながったのだと確信しています。このように、苦労を乗り越えた結果としてあるのが、今の皆さんの晴れ姿です。皆さんのこれまでの経験すべてが、これから生きるうえでの財産となります。どうか今の自分自身の姿に、自信を持ってください。

これから未来へとはばたく皆さんに向けて、伝えたいことはたくさんありますが、今日はひとつに絞ってお話をします。それは、「失敗を恐れずにチャレンジしてほしい」ということです。歌人斎藤茂吉の息子で、「モタさん」の愛称でも親しまれた精神科医の斎藤茂太さんは、次のような言葉を遺しています。「人生に失敗がないと、人生を失敗する。」つまり、人生に失敗はつきものだということです。取り返しがつかないほどの失敗でない限り、失敗をすることで、人間は成長します。進学する人も、就職する人も、期待と希望を胸に、これから新たな世界へと一歩を踏み出しますが、うまくいかないことがあったり、失敗したりすることが必ずあると思います。しかし、失敗は「人生の終わり」ではありません。むしろ、失敗は「チャンス」だといえます。失敗したときに、次はどうすれば失敗しないのか、まずは自分自身が考え、それでもわからなければ、人生の先輩や友だちに相談し、自分なりの答えを見つけ出して、チャレンジすることです。単に「成功か失敗か」ではなく、「どのようにチャレンジするか」にこそ、人間の価値の本質が潜んでいるような気がしてなりません。どうか失敗を恐れずに、チャレンジを続けてください。

さて、本日ご臨席を賜りました保護者の皆さま、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。お子さまの晴れ姿をご覧になられ、感慨もひとしおのことと存じます。多感な青春時代を過ごすお子さまに寄り添い、ときには叱咤激励しながら成長を見守っていただきましたことに、心から敬意を表します。また、本校の教育活動に多大なるご理解とご支援をいただきましたことに、教職員一同、深く感謝を申しあげます。

結びになりますが、これから旅立つ卒業生の皆さんにとって前途が明るいものでありますよう、健康と活躍を心から願い、式辞といたします。

令和五年二月二十八日

大阪府立西寝屋川高等学校長 谷廣 進一