あの高速道路の橋を

最後のスポーツ大会。快晴。 歓声と笑い声が空へ溶けていく中で、それぞれの時間を惜しむように走り、声を張り上げた。 勝ち負けを超えた先にあるのは、もう戻らない日々への微かな哀しみだった。 結果発表がおわり、夕暮れが校舎を染めるころ、 ふと風が吹き抜けた。 その瞬間、香りがふわりと漂ってきた。 花言葉は「謙虚」。 笑い合い、ぶつかり、励まし合いながら過ごした日々が、 この香りとともに静かに心に刻まれていく。 「本日は、定時一斉退庁日です。」校舎内に毎週お決まりの放送が鳴り響く。帰り際、振り返った校庭にはもう人影はなく、 強い香りとは裏腹に、つつましい印象のその花の香りが、秋の空に優しく残っていた。 IMG_4128.jpegIMG_4127.jpeg