平成28年度卒業証書授与式を挙行

【3月1日(水)】爽やかな晴天のもと、平成28年度卒業証書授与式を挙行

 肌寒い中にも、春の訪れの気配が感じられる日でした。天気は快晴。この日、卒業生の諸君は、誰もが晴れ晴れとした表情で卒業式に集ってきました。胸には白いコサージュ。荘重な本校吹奏楽部の伴奏のもと、担任の先生方の先導で堂々の入場です。呼名に元気な返事。厳粛な中にも、生徒と先生方の心が通う、とても心地よい卒業式となりました。代表の送辞、答辞も、自分の言葉で率直に伝えようとしていることが、さらに、生徒が主役の卒業式になって行ったと思います。大阪府教育庁から橋本教育振興室長はじめ、府議会、中学校長、企業ご代表、同窓会、PTAなど多く皆様に参加いただきお祝いの言葉を戴きましたこと感謝に堪えません。私も、個人的にこれが最後の卒業式になりました。最後校歌を歌い、卒業生を見送るころには、不覚にも自然と涙が出てしまいました。彼ら、彼女らの前途に幸多かれと願いつつ。

以下、当日の「式辞」です。

平成二十八年度卒業証書授与式 式辞

花の香りただよう、麗しい朝となりました。

本日、ここに挙行する大阪府立淀川工科高等学校平成二十八年度卒業証書授与式にあたり、公私ご多用にもかかわりませず、大阪府教育庁より教育振興室長橋本光能様、大阪府議会議員富田忠泰様、大阪実業教育協会専務理事長谷川耕三様はじめ、地元中学校長、企業ご代表様、淀川工業会、悠久会ご代表、PTA役員様など、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、本式に華を添えていただきましたこと、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。人生で最も多感で、しかも著しい成長期のお子様がこうして卒業の慶びの日を迎えられ、心身ともにたくましく、頼もしい青年に成長されましたことに、感慨もひとしおのこととご推察申しあげます。この間、本校の教育活動のために多大のご支援、ご協力を賜りましたこと、厚くお礼申しあげます。

さて、只今卒業証書を授与しました、三〇四名の卒業生諸君、卒業おめでとう!

今卒業式に臨み、皆さんの脳裏にはどんな思いが巡っているだろうか。青春のエネルギーを燃やした3年間には、それぞれが多くの出来事を経験し、また自己の限界に挑戦したことは、これからを生きる礎を築いたにちがいありません。多くの友や先生方との出会いと、そこで培った絆は、時とともにかけがえのない宝として輝いていくはずです。

いま、皆さんが手にした卒業証書は、一人一人の努力によって得られたことはもちろんですが、その陰には、深い愛情を持って見守って下さった家族の方々や、先生方、友人など多くの人たちの励ましや支えがあったことを忘れてはなりません。どうか、今日は言葉に出してその感謝の気持ちを伝えてほしいと思います。

本校は「生徒が主役、生徒の力を伸ばし、確かな進路を実現」する。をモットーとして教育活動に取り組んで来ました。これは、本校の教育の目的が、生徒の成長そのものにあるのであり、皆さんが伸ばした力をもって、自らの力で将来の道を切り開いて欲しい、そんな思いが込められています。皆さんも、そんな私たちの思いに応え、進路の実現や学校行事の成功、部活動、コンクールなど、輝かしい結果を示し、常に、一、二年生に範を示し学校をリードしてくれました。改めて、皆さんのこれまでの健闘を心より讃えたいと思います。

さて、これから皆さんを待ち受ける社会は、いわゆる「知識基盤社会」と言われ、新しい知識や情報,技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤として重要性が増す時代と言われています。ここでは、既成の概念にとらわれず、常に新しい未知の課題に試行錯誤しながらも挑戦することが求められる社会といえます。

このような時代こそ、新しい叡智と若いエネルギーが必要とされるのであり、次代の産業社会を担うリーダーとなる皆さんの今後の活躍への期待が高まります。そんな思いを込めて、次のお話を餞の言葉としたいと思います。

話は、世界の喜劇王として今も多くの人たちに愛され、二十世紀を代表する映画人として生きた、チャールズチャップリンについてです。

彼は、1889年、イギリス・ロンドンに生まれ貧しい幼少時代を送りましたが、兄のすすめで入った劇団で、アメリカ巡業中に才能を認められ映画界入りします。やがて、「街の灯」「ライムライト」「独裁者」など彼の作る作品は次々とヒットをします。幼少期の貧困、第二次世界大戦の勃発、得られた成功と名誉、さらには成功と名誉を得たアメリカからの国外追放と、激しい時代と人生の変化の渦中にあっても、彼は立ち止まらず、次々と名作を作り続けたのです。

そんなチャップリンに新聞記者が質問します。「あなたの最高傑作の作品は何か?」と。そのとき彼はこう答えました。「NEXT ONE」、すなわち、「次の作品である」と言ったのです。

映画界の頂点まで上り詰めたかれが、現状に甘んずることなく、さらに次の目標を持って生きようとする姿勢に周囲は驚いたといいます。

これで満足だと思えば人間の成長は止まります。常にこれからだとの気概、そして懲りない生き方ともいえるでしょう。変化の時代にあっては、失敗を恐れず挑戦を続けることが不可欠です。自分にとっての「NEXT ONE」とは何か、これを己に問うてほしいのです。そして、恐れず、勇気をもって一歩を踏む出すひとであってほしいと強く願っております。

最後に、卒業生の皆さんが、淀川工科高等学校の生徒であったことを誇りとし、それぞれの目標に向かって精進、努力され、やがて花を咲かせ、実を結ばれることをこころより念願しています。皆さんの前途が洋々たるものとなり、幸多かれと祈念して式辞とします。

  平成二十九年三月一日

  大阪府立淀川工科高等学校 校長 丸岡 俊之