校長より

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平成28年度 卒業証書授与式式辞  

例年にも増して厳しく感じられた冬の寒さもようやく和らぎ、春の便りが届き始めたこの佳き日に、栄えある卒業証書を授与いたしました357人の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

ご列席いただきました保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

入学式の日に皆様からお預かりしたお子様たちは、ご覧のとおり立派に成長し、晴れの日を迎えました。

思い返せば、誕生から今日まで、時にご苦労もあったものと拝察いたします。深い愛情を持ち、お子様を育んでこられましたことに、あらためて敬意を表しますとともに、本校教職員を代表して心からお祝い申しあげます。

 

また本日は、公私ともご多用の中、多数のご来賓にご臨席を賜りました。日頃から本校の教育にご理解とご協力を賜りますとともに、卒業生の門出に花を添え、ご祝福いただき、誠にありがとうございます。高いところからではございますが衷心より御礼申しあげます。  

 

さて、卒業生の皆さん、3年前、期待に胸を膨らませて本校に入学した皆さんも、高校生活を立派に終え、本日、卒業の日を迎えました。

 「自由と創造」「日進日新」の校風・校是を胸に、皆さんは、本校の輝かしい歴史と伝統を受け継ぎ、グローバルリーダーズハイスクールならびにスーパーサイエンスハイスクールの生徒として、「高い志」と「夢」を持って様々な取組みに積極的に参加し、成果を出して、後輩たちに範を示してくれました。

一方で、進学校ゆえに日々の勉強の重圧や自分の進路先の決定に、最後まで悩み続けた人も多かったことでしょう。このような日々の学習活動や部活動、学校行事での楽しかったこと、苦しかったこと、つらかったことなど様々な出来事が、高校時代の貴重な思い出として、きっといつまでも心に深く刻まれるに違いありません。

 

そんな皆さんへの感謝の気持ちとはなむけの思いを込めて、大きく2点、話したいと思います。

1つめは、「自覚と覚悟」です。

いきなりですが、皆さんは多分間違いなく大きな変革の中、厳しい時代を生きていくことになります。

私から見た高津の生徒は、明るく前向きで、楽しそうに高校生活を送っているように見受けられました。もちろん個々にはそうではない時もあったと思いますが、伸びのびと学校生活を楽しんでいる生徒の姿を見ることは、教育に携わる者にとって、何よりも嬉しいことです。

しかし、これからの人生では、穏やかに仲良くだけでは通らないこともあるでしょう。たとえ孤独を感じる時でも、常に自分の頭で考え、行動できる人になって欲しいと思い

ます。

温暖化や貧困、格差や民族紛争、テロリズム、SNSによるフィルターバブル等々の問題が私たちの前に立ちはだかっています。これらの問題は、現代を生きているすべての人々に突きつけられた課題ですが、これらを解決することが容易でないことは、残念ながら、まさに歴史が示すところです。

しかし、これを看過していては人類の幸福は遠のくばかりです。申し訳ありませんが、これらの問題の解決を図るためには皆さんのような有為な、若者の叡智こそが必要です。

今、これが世界だと思って眺めている景色は、変わってしまう前の最後の景色なのかも知れない。そんな時代の転換点に自分が立っているという自覚と覚悟を、ぜひ、皆さんには持ってもらいたいと思います。

ただもちろん、人はそれぞれ、様々な苦難を抱えて生きていきます。必ずしも順風満帆な時だけではないと思います。うまくいかない時、思い通りにならない時、挫折したり、劣等感を感じる時、生きていてもいいことがないとすら思うことがあるかもしれません。

でも、「大丈夫」です。

高津高校で共に学んだ仲間が、先輩や後輩が皆さんを励ましてくれます。

「大丈夫」です。

皆さんを支えてくれたお家の人が、そっと背中を押してくれます。

「大丈夫」です。

高津で出会った先生方も、いつまでも皆さんを見守っています。

 

約3年前、皆さんの入学式の式辞の中で、私は「受援力」という言葉を伝えました。

覚えていますか。しんどい時は素直に助けを求めてください。そしていつか、逆に誰かの支えになってください。

「大丈夫」です。

 

明るいニュースもたくさんあります。例えば、本校にもゆかりのある京都大学の山中教授が開発されたiPS細胞に関わって、2014年には、網膜の加齢黄斑変性の患者さんに対して世界初の移植手術が既に行われ、その患者さんは、合併症を起こすことなく無事に退院し、順調に経緯しているそうです。そして、先月には、理化学研究所が、目の難病「滲出型加齢黄斑変性」の患者に対して、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞を移植する臨床研究を始めると発表し、患者の募集もスタートしたそうです。

 2014年は、患者本人の細胞から作ったiPS細胞を移植する手術だったそうですが、今回は、他人の細胞を使うことで、本人の細胞を使うより治療期間やコストを抑えられるといいます。

パーキンソン病治療においても、京都大学が、iPS細胞を使った移植手術の計画を明らかにしています。さらに「未来年表」というサイトには、「東京大学が2017年~2018年にiPS細胞を使った糖尿病治療の臨床研究を開始する」とあります。まさに、医学の進歩は日進月歩です。

また、天文学の分野でも、つい先日、宇宙全体から見れば比較的近い、地球から約39光年先に、「地球の妹」と称される、生命を育む可能性がある7個の惑星を見つけたというニュースがありました。

すべての惑星の表面に液体の水が存在する可能性があり、一部には海があるかもしれない。「トラピスト1」という恒星に近い側から6個の惑星は岩石でできていて「宇宙には、生命が存在しうる惑星が予想以上に多く存在することを示すもの」だそうです。

もしかすると、皆さんが、地球外の生命とともに、新しい宇宙社会を創造していく初めての人類になるかもしれません。

 

そこで、2つめは「失意泰然・得意淡然」

 世界の人口はまもなく約75億人と言われます。その中で皆さんのように大学等の高等教育を受ける者はわずか3パーセントにすぎないとも言われています。自己の幸福を追求することは大切なことです。しかし同時に皆さんが、その3パーセントの機会を与えられる人間である限り、「失意泰然・得意淡然」。

 物事がうまくいかなくなっても、あせらず、落ち着いて、時節の到来を持ち、うまくいく得意の時代には、おごらず、慎ましい態度で当たる。他者とのコミュニケーション力を高め、うまくいかない時機を、うまく乗り切る術を身に付ける必要性が高まっており、スランプすら有効に活用する、強かさとしなやかさが求められています。

そして、そんな繰り返しの中で、皆さんには、高津の卒業生として、皆さんが持っている素晴らしい能力を、自分のために活用するとともに、広く全世界、全人類のために、最大限活用してもらうことを大いに期待したいと思います。

 

さて、最後になりましたが、本日、ご多用中にも関わりませず、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、並びに保護者の皆様、今後とも卒業生に対するご支援をいただきますよう、また併せて、本校が社会的存在として、その役割を全うし、末永く一層の発展を遂げられますよう、重ねてご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。

結びに、卒業生の皆さんの幸多き前途を、あらためて祈念して、式辞といたします。

 

平成29年2月28日 

大阪府立高津高等学校 校長 村田 徹

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