震災ボランティアレポート in 大槌町 その2

2日目。朝は土砂降りの雨。作業や活動を始め出したら小降りになり、やがて曇り空へ。

今日も肌寒い一日でした。朝食の当番は昨日に続き、金剛高校のメンバー。

 

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当初は3班に仮設商店街の復興夏祭りイベントのお手伝い、ベースの隣の全壊した化粧

品店の基礎の泥かき掃除、そして山間部の個人宅の草取りの3班に分かれて活動をする

予定でしたが、雨で急遽予定を変更。復興夏祭りイベントのお手伝いと化粧品店の跡地の

泥かき清掃の2班になりました。私は山本先生とともに化粧品店跡地の清掃班といっしょに

行動しました。

 

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仮設商店街の復興夏祭りイベントには放送部の2名とヒューマンネットワーク部の3年生2

名そして出雲先生の5名が行きました。岩間商店さんは昨日焼いていた焼きトウモロコシを

売ったり、ブースのお手伝いするかたわら、たくさんの地元の方々の他、各地からボランティ

アに来ている人、海外から来ている人などさまざまなところから来ているみなさんとお話が

できてすごくよかったそうです。

準備段階からずっと取材カメラを回している放送部もこの日は張り切ってかなりたくさんの方

に突撃インターヴューを試み、いろんな話が聞けたようです。

 

 

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化粧品店跡地は決して広いエリアではありませんしたが、たまった泥を掻き出すと大変な量

の泥が出てきました。津波と大火事で完全に消失してしまった化粧品店ですが、泥の中から

はお店とご家族の生活用品やらお店の商品のかけらがたくさん出てきて、そこで人が暮らし

ていた実感が伝わってきました。1年4カ月前に事態が一変し、化粧品店の時間はそこで止

まったままになっていました。誰もが同じような思いを抱きながら、一つひとつそんな今は瓦礫

となってしまったものをどけて、また泥をかき、黙々と作業に取り組みました。当初の予定より

大人数で作業したこと、そして一生懸命効率よく作業したこともあって、化粧品店の跡地の清

掃は3時間ほどですっかりきれいになりました。裏の小さな畑も草を抜いて、畑らしくきれいに

なりました。また、いつかここに生活の場が築かれることを願わずにはおれません。

清掃班は、作業を終えた後、一休みして昼食で隣町の食堂に古木神父にマイクロバスで連れ

て行ってもらう途中、海岸線の瓦礫の山や切断されてしまった線路、そして魚港や他の地区

の被害の生々しいようすを案内してくださいました。

 

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仮設商店街の復興夏祭りイベント班が早めに仕事を切り上げて戻ってくるのを待って、全員で

大槌町の北の山田町の町営共同浴場にマイクロバスで行きました。昨年12月に復興対策の

一環でできたきれいなお風呂で2日間の疲れを癒しました。お風呂では「どこから来たんだ。」

と何人ものおじいさんやおばあさんから声をかけられ、「大阪からボランティアに来た。」というと、

「よくそんな遠いところからと驚くとともによく来てくれたな、ありがとうな。」と労いの言葉をかけ

てくれました。被災後は、「満足に風呂にも入れなかったけど人が寄れるこういう大きな共同浴

場がありがたいありがたい。」とも言っていました。

東北、岩手の人々の人情の厚さを感じました。

 

大槌ベースに戻ると、当初当番予定ではなかった夕食準備の仕事が、仕事の割り振りの手違

いで急遽金剛高校に回ってきましたが、何人もの有志が自発的にさっと動いてくれてあっとい

間に夕食ができました。午前中の作業にしても、こういう夕食の準備にしても、この2日間で、

16人が補い合い、助け合って見事に一つのチームとして成長していることを実感しました。

 

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夕食後、大阪への出発前の振り返りでは、この2日間を振り返って全員が一言ずつ感想、気づ

きを話しました。一人ひとりの話を聞きながら、生徒たちの顔つきや姿勢が大阪を出発する時と

質的にずいぶん違ってきているのがわかりました。

 

別れに際し、古木神父は「ボランティアとは、自分のしたいことではなく、人から頼まれたこと、

分の望まない、したくないことに対し、自分の精一杯で応えること。相手の望むことのために

喜んで自分自身を差し出すことです。」はおっしゃいました。今回、礼儀正しさ、明確な目的意

識や意欲の高さ、機敏で自発的な行動力、協力性など金剛高校のボランティアメンバーを褒

て下さったのは、そのことをこの2日間彼らが文字通り体現していたからではないかと思い

ます。

でも古木神父のお話を聞きながら、彼らだけが特別な存在で偉いのではないと私は思いまし

た。今回のボランティア募集の呼びかけにあたって最初40人を超える生徒が手を上げてくれ

たこと、またそれ以上にたくさんの人が「本当は行きたいんだけど...。」と先生や友だちと話し

合ってくれたこと、受け入れ規模の関係でボランティアの人数を20人以下に絞らざるを得なく

なり、やむなく辞退してもらったうちの何人かがそれでも何か協力できることをしたいと募金活

動に協力してくれたとなどなど、他人のために何かしたい、自分に今できることは何かと考

え、行動できる生徒が金剛高校生がたくさんいることを私は知っています。大槌町に来たメン

バーはこの地に実際に来て、現地の人と出会ったことでボランティアでスイッチが入りました

が、彼らの中で動き出した希望の種と同じ種類の希望の種が、今あげた金剛高校生の一

ひとりの内にも確実にあり、いつか輝き、動き出すきっかけを待っているのだと思います。

「ボランティアは目的ではありません、あくまで手段です。最終目的地は日常の生活の場。日

々の生活の場で、どう生きるか、自分に何ができるのか、今何をなすべきかを問い続けること、

それがボランティアの目的です。」とも古木神父はおっしゃいました。

 

大阪に戻ってからが本番、これからの行動が問われているんだ、みんなそんな思いで一路大

阪に向け、夜7時30分大槌町を出発しました。