平成29年度 2学期始業式あいさつ

みなさん、おはようございます。

 いよいよ、今日から二学期です。3年生は一足早く23日から二学期がスタートしています。 幸い、命に関わる大きな事故もなく、まずは、ここにこうしてみなさん一人ひとりとお会いすることができて、うれしく思います。

 その上で、二学期を迎えるにあたり、3つお話します。

 まずは、振り返りです。みなさん一人ひとりの夏休みは充実していましたか。一学期の終業式に、夏休み、日ごろではできないことにチャレンジして欲しいと言いました。どうでしたか振り返ってください。

一人ひとり答えは違うと思います。まずは自分の答えを考えて下さい。次に身近な仲間とその答えを交流して下さい。そしてその中で自分が気づいたことや感じたこと、考えたことを確認してください。それを二学期からの自分の行動に役立てて下さい。

 人の行為や行動は言葉にすることを通して経験となります。主体性は自らの行為や行動を自らの言葉で意味づけする中で育まれます。この行為の振り返りによる思考と言語化は省察ともいいます。自らの人格を成長させる上で、今後にも役立てて下さい。

 さて、振り返りの次は、行為です。二学期は、気候も過ごしやすくなり、肉体的にも精神的にも最も、活力を発揮できる時期です。

 学校行事では、この後すぐに文化祭です。体育祭とは違い、クラス単位、クラブ単位の取り組みです。この文化祭という機会を通じて、あなた方一人ひとりが、願いを具体的な形にする構想力、その形を現実のものとする企画力、自分たちの取り組みがどのような影響を与えるかに思いをはせる想像力、仲間とともに企画・運営する協働性などを鍛えて欲しい。

 また、生活文化エリアでは「秋祭り」があります。多様な人たちとどのようにすれば、楽しく豊かな時間が持てるのかを中心に考え行動することで、共感性や想像力をはじめ、コミュニケーション力や表現力など、今後の共生社会の担い手に必要な様々な力を育んで欲しい。

 そして進路実現に向けた取り組みです。今年度の進路の冊子にも書きましたが、「進路は一人で切り開くものだが、一人だけで切り開くものでは」ありません。一人ひとりの個人的な努力は必要です。しかし、努力が結果に結びつくとは限りません。予期せぬ出来事が襲うこともあります。図書官報『あづさ』にも書きましたが、その時に必要なのは、どんなことがあっても、あなたのことを大切に思う人間の存在です。あなた方は、そうした人間になれると私は確信しています。だからこそ一人ひとりが果敢に進路にチャレンジして欲しい。

 最後に、これだけは言っておきたいことを一つ話します。一学期の終業式には、共感性と正しい知識の話をしました。今日は正しい行いの話をします。キーワードは「道徳律」です。

 私はあまりテレビを見ない方ですが、ニュース番組は見ます。やはり社会的な問題には関心があるからです。

 私はここ最近大いに心配していることがあります。「目的のためには、どんな手段をとってもいい」「人をモノ扱いしてもかまわない」「バレなければ、何をしてもいい」「たとえ不正や不祥事がバレてもしらをきればいい」。こんな不正や不祥事が、当たり前の人間の姿であると若者が思わされ、まねをしてしまうのではないかと。

 みなさん、どうですか。そう思わされていませんか?

 ドイツの哲学者カントは、人間には「内なる道徳律」があると提起しました。彼は人間には人間として生まれただけでかけがえのない存在としての「尊厳」があり、その「尊厳」の根拠には人間には「理性」が備わっていること、そしてその理性的存在である人間には、「道徳律」が内在していることを説きました。私はこの「尊厳」「理性」「道徳律」を信じます。

 先ほどの不正や不祥事に関しては、それは人間性が歪められた結果なのであり、人間に一般的なものではないことをみなさんに強調しておきたい。

 正しい行いはあります。それは人間一人ひとりを「尊厳」を有するかけがえのない存在として尊重することです。そして一人ひとりが自己の資質や能力を発揮して、多様な他者と共に生きる社会の実現に向けて行動することです。

 私の身近には、金剛高校の先生方をはじめ、こうした社会の実現に向け、日々努力されている人間が多くいます。正しい行為によって、先の社会は実現します。

 どうか、社会に失望せず、希望を持って、これからの社会の形成者として金剛高校での学びを深めて欲しい。

 私からは以上です。

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