続・読むこと聴くこと、そして観ること

始業されないまま、5月になってしまい、取り敢えず5月10日(日)まで延長とされた休校、
どうやら、更に延長されることになりそうな気配、9月始業の話も現実味を帯びて来た今日この頃、

目に見えぬウイルスという脅威に晒されながら、平穏な日常がいつになれば戻って来るのか、日常が戻ってきた時、そこはコロナ禍以前の世界と同じ世界なのか、それともかつてとは何かが違ってしまった世界なのか......、

とんでもない世界に身を置きながら、それでも、僕たちは日々を生きねばなりません。


高校1年の夏が来る前、僕は、貯えていた3万円で、文庫本を買いました。
元来、図書館で借りた本はどうにも読めない質だったのです。或いは、蒐集癖がそうさせたのかも知れません。
「国語便覧」に載っている、明治以降の本邦の小説作品で、手に入るもののリストを拵え、書店を営んでいる同級生の家に注文しました。

凡そ100冊ほどあったと思います。夏休みから、僕はそれを読むことに没頭しました。
夏が明けて2学期が始まっても、読み続けました。
同級生にひとり、文学好きの男がいて、読んだ作品について、しばしばヤツと語りました。
彼は今、大学で学生たちに中国文学を教え、研究しています。


人は、読んできたもの、聴いてきたもの、観てきたものでできています。
若き日に僕が読み、強く心を揺さぶられた作品の、ごくごく一部を挙げておきます。
今を生きる、皆の心をも、きっと揺さぶることと思います。


泉鏡花「歌行燈・高野聖」
伊藤左千夫「野菊の墓」
谷崎潤一郎「刺青・秘密」
夏目漱石「こゝろ」
森鷗外「山椒大夫・高瀬舟」
芥川龍之介「羅生門・鼻」
武者小路実篤「友情」
横光利一「機械・春は馬車に乗って」
梶井基次郎「檸檬」
江戸川乱歩「孤島の鬼」
小林多喜二「蟹工船」
織田作之助「夫婦善哉」
中島敦「李陵・山月記」
太宰治「晩年」
三島由紀夫「仮面の告白」
大江健三郎「死者の奢り・飼育」
安部公房「砂の女」
吉行淳之介「暗室」
福永武彦「草の花」
井上ひさし「四十一番目の少年」
筒井康隆「家族八景」
宮本輝「泥の河」
村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」
三浦哲郎「白夜を旅する人々」
村上春樹「ノルウェイの森」