第15回入学式

 平成29年4月8日(土)午前10時より本校体育館で第15回入学式を挙行しました。新入生も規律正しく式典に臨んでくれました。早く本校に慣れてもらいたいと思います。校長式辞は下記の通りです。

 春爛漫の桜の下、本日ここに大阪府立槻の木高等学校 第十五回入学式を挙行しましたところ、大阪府教育庁ご代表をはじめ。多くのご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。今年も、この佳き日に入学生を迎えることができました。入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。晴れて十五期生になられた皆さんを、教職員一同、心よりお祝い歓迎いたします。

 さて、本校は大阪府ではじめて進学を重視した全日制普通科単位制として開校して以来、槻の木生の高い倫理観と何事にも真摯に取組む姿勢に高い評価を受けてまいりました。槻の木高校では、「知・徳・体」の調和のとれた人格の陶冶を目的として、基本を重視し、規範を守り、継続を旨としてきました。また、他者からの信頼を勝ち取るための気骨と品格をもち、他者のために貢献し人間愛に結晶できる人材の育成をめざしてまいりました。これからも、皆さんとともに、そのような理想への道を歩んでいきたいと思っております。今、義務教育を終えられた皆さんの状況を例えるならば、広い海を前にひとり波打ち際に立っていると言ってもいいのではないでしょうか。眼前には世界に広がる大きな海がありますが、どのように漕ぎ出していいのか迷っているのかもしれません。本校での三年間で、その解答を見つけてください。また、そのために皆さんにやってもらいたい事があります。

 その一つが日常の学びを大切にする事です。本校では、朝八時十分始業の五十分七限授業が基本、チャイムと共に始まる完全五〇分の授業、集中された授業に週末課題や土曜講習などを行います。大変そうに思われますが、特別な事も、特別な能力も要りません。本校では、地道な勉学を行う日常の継続こそ、変革へのプロセスと思っています。学びの習慣化と言ってもいいでしょう。また、学びは勉学だけではありません。部活動や学校行事も大事な学びです。「二兎を得る者は一兎をも得ず」ではなく、最低でも三兎(勉学、部活動、学校行事)を求めてください。そのためにも、時間がコントロールされた日常の学びを大切にしてください。

 二つ目は、「つながり」の力を養ってください。二十一世紀は多様な「つながり」の時代です。日本国内でも多国籍の人々と同じ目標に向かって仕事をする事など当たり前になっています。ただ、これからの時代は、知識獲得や能力開発のための支援やサポートは期待できません。これからは、自らその機会を作り、自ら積極的に情報源に働きかけ、学び続ける事が重要となります。そのため、本校も校内で真摯に学び続けるとともに、「槻の木NEXT STAGE]として海外研修、大学研究室訪問、企業訪問など自ら校外に出て、自ら学ぶ取組みをしています。外への窓を開き、積極的に参加してください。

 三つ目は、生涯の友を作ってください。私が言う友とは、仲が良いだけではありません。ある時には、ライバルであり、的確で辛口な助言者であり、寝食を共にする生活者であり、気持ちに寄り添う事のできる共鳴者でもあります。友とは、皆さんを揺り動かす存在であり、安心させる存在でもあります。自分自身の問題や大人への壁は、なかなか一人では解決できないものです。そのような時でも、後ろから支え、本当の気持ちを隠さず話し、解決のための補助線を引く事のできる「頼れる友」になってください。以上、日常の学びを大切にする。「つながり」の力を養う。生涯の友を作る。三点を忘れないでください。

 その上で、自己のためだけではなく、他者や社会のための「責任」ある大人への道を歩んでください。思想家の鷲田清一氏は「責任とは、英語でリスポンシビリティと言います。文字通り訳せば、リスポンドできる能力、つまり人に応える能力、さらには他者からの求めや訴えに応じる用意がある事」と言っています。責任とは強いられるものではなく、周りに何かあれば、それに応える誠意ある姿勢です。そんな気骨と品格ある人材になってください。

 眼前の世界につながる広い海は、穏やかな時は少なく、暴風が吹き漆黒の不気味な海になる事もあるでしょう。しかし、「穏やかな海では、良い航海士は育たない。」と言われています。厳しい海にこそ、知恵と勇気をもって挑戦してください。そして、三年後には平然と自信をもって大海原に出航できる事を期待しております。

 最後になりましたが、保護者の皆様には、今日まで大事にしてこられた、お子様のご入学心よりお祝い申し上げます。本校の教育は学校だけでは成立しません。今後とも、本校の教育活動に対して、ご理解とご支援をお願い致します。新入生の皆さん、皆さんとの出会いを待っていました。共に、夢の実現に向かって頑張る事を誓い、私からの式辞と致します。

       平成二十九年四月八日   大阪府立槻の木高等学校長   竹下 健治