123回目の入学式!

桜舞い散る中123回目の入学式を挙行しました。入学した73期生は321名、これから始まる高校生活に胸を膨らませる新入生に次のとおりメッセージを送りました。入学式終了後、在校生を代表して硬式野球部員が新入生に校歌を紹介しました。画像を載せていますので併せてご覧ください。

ただいま入学を許可した321名の新入生諸君、入学おめでとう。まず君たちがすべきことは「感謝」です。今日まで支えてくれた多くの方々に心から感謝し、それを言葉にすることです。まだできていない人はすぐに実行してください。本当の意味で八尾高校生になるのはその後の話です。

本校は120年を越える歴史を持つ伝統校です。「八尾高校百年誌」には、明治28年5月1日に大信寺の建物の一部を借りて最初の入学式を行ったとの記述があります。この時の新入生の数は161名、君たちのおよそ半数です。今日君たちが「感謝」の次にすべきことは「自覚」です。「ほかでもない自分は明治28年に入学した161名から数えて123代目の後輩であること」これを自覚することです。この「自覚」はやがて「誇り」へと昇華し、困難に直面した時あなたを支え奮い立たせる力になります。

さて、本校の柔道場には嘉納治五郎師範直筆の書額が二つあります。絹布(けんぷ)、即ち絹製の布に大書された文字は「精力善用」と「自他共栄」。皆さんご存知かと思いますが嘉納治五郎師範は柔道の創始者であり東京高等師範学校(今の筑波大学)の校長を25年間勤め旧制灘中学校(今の灘高校)の創設にも寄与した教育者です。今日はこの二つの書額の内「精力善用」を手掛かりとして君たちがすべきもう一つの大事なことについて考えたいと思います。まず伝えておきたいのは「精力善用」の意味です。嘉納師範はその著作の中で「善良にして遠大なる目的に向かって全力を尽くすことが精力の善用であり、これを離れて意義ある人生はない」と語っています。

話は変わりますが、私は皆さんが出願に際して提出した「自己申告書」をすべて読みました。本校が大事にしている「文武両道」「質実剛健」の言葉を書いてくれた人もたくさんいました。「文武両道」とは読んで字のごとく「文」も「武」も両方頑張るということですので、これを本校にあてはめれば「勉強もクラブも行事も全力で頑張る」という意味になります。ここで皆さんに是非考えてほしいこと、それは「頑張る」ための準備です。「頑張る」と言う言葉は誰にでも言えます。しかし3年後に「頑張った」と言うことは難しい。

そこで思い出してほしいのが先ほど紹介した「精力善用」という言葉です。嘉納師範曰く「善良にして遠大なる目的に向かって全力を尽くすことが精力の善用」なのですから、まず君たちが最初にすべきことは「目的を定めること」です。もっと噛み砕いて言うと「自分は将来どんなことで世の中の役に立ちたいのか」ということを決めることです。もうお分かりでしょう。君たちが今日すべきことの最後は「決意」です。できるだけ早く「社会に貢献する将来の自画像」を具体的にイメージし、高校三年間を「文武両道」でやりきる「決意」を固めることです。

最後に、昭和十二年に刊行され今もなお読み継がれている、児童文学者吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」の中の一節を借りて新入生の皆さんへのメッセージを送ります。主人公である中学二年生の男の子コペル君が自分の将来について綴っている場面です。

「僕はすべての人がお互いに良い友だちであるような、そういう世の中が来なければいけないと思います。人類は今まで進歩してきたのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだろうと思います。そして僕は、それに役立つ人間になりたいと思います。」これは、様々な経験を通じてコペル君が辿り着いた答です。君たちもコペル君のように「どう生きるか」を考えてみてください。今伝えた「感謝」「自覚」そして「決意」のお話がヒントになれば幸いです。

これから始まる君たちの毎日が、君たちの人生に途轍もなく大きな意味を持つこの三年間が、何物にも代えがたい青春が、光り輝くことを祈念して式辞とします。

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