昨日(8月4日)、八尾高校水泳部OBOG会主催の講演会が行われました。講師は1972年のミュンヘンオリンピック競泳男子100m平泳ぎで金メダル、同じく200m平泳ぎで銅メダルを獲得した田口信教氏。田口先生は2004年のアテネオリンピック競泳女子800m自由形で金メダルを獲った柴田亜衣選手を育てたことでも有名です。この日はご自身の経験をもとに水泳(スポーツ)の魅力やアスリートとしての哲学、さらには成長するための考え方やものの見方について大変興味深いお話をいただきました。いくつかご紹介させていただきます。
開口一番先生が仰ったのは「スポーツはカンニングしても怒られない」という言葉・・・ドキッとしました。世界一になりたかったら世界一の泳ぎを徹底的に分析し真似ること、それが唯一の道だというお話です。「自分が今置かれている位置すらわからない人はどこへも行けない」という一言が胸に突き刺さりました。漠然と夢を語り希望を口にすることはあってもそれが本気かどうかということは行動を見ればわかるということだと思いました。
私が感銘を受けたもう一つのお話は、理想を描くチカラのお話です。田口先生が私たちに投げかけた問いは「自由形で一方の手が水をキャッチした時にもう一方の手はどこにあるか?」というものでした。水泳選手やコーチでさえ自分のイメージで「だいたいこのあたり・・・」と答えるのが精いっぱいだそうですが、これでは理想に近づけないと教えていただきました。じゃぁどう答えれば良いのか・・・?目から鱗でした。世界一速い選手の場合、科学的に導き出した場合、そしてそれを自分に当て嵌めた場合・・・この3つを答えないとダメだというのです。細部にわたって自分が描く理想をハッキリと意識できていないと成長しないということだと理解しました。言われてみるとそのとおりなのですが、水泳に限らず、なりたい自分に近づくためのアプローチをちゃんと理解していないことは結構あるんじゃないでしょうか?妥協せず理想を描くチカラは夢を引き寄せる第一歩になると思いました。
最後にご紹介するのは運の話です。先生は「スポーツは大運動会」、運が動くのがスポーツと仰いました。スポーツをする人は運を作らないとダメ、そのためには神様の立場に立って考えることが必要!ということだそうです。先生は運を引き寄せるために一日一善では足りないと考え、一日十善のつもりでゴミ拾いをしたというエピソードを教えてくださいました。実は以前、他の種目の金メダリストの方が同じようなことを仰っていたのを聴いたことがあります。強烈なプレッシャーの中で運を味方につけることまで考えるのがトップアスリートなんだとあらためて感心しました。
講演会のあとは現役の水泳部員らからの質問に丁寧にお答えいただき、その上、色紙までプレゼントしてくださいました。この講演会を企画してくださった八尾高校水泳部OBOG会の西山会長様はじめ関係の皆様に心から感謝申しあげます。ありがとうございました!
講師:田口信教先生(医療創生大学副学長)
主催の八尾高校水泳部OBOG会会長
金メダルを持たせていただきました。ずっしりと重かったです!