(5)ユリ亜綱


ユリ目とラン目からなる、ユリ目は独立した自然群に細分されるようになり、アロエ科・リュウゼツラン科・シオデ科・ビャクブ科などがユリ科・アヤメ科とともに認識されている。ラン目は2万種を含むラン科と少数種をもつ3科からなる。


ヒガンバナ科 Amaryllidaceae

ハマオモト

多年草で、多くは鱗茎(りんけい、食用のユリ根の形)をもつ、葉は根生して線形。花は放射相称から左右相称、花被片は6で2列に配列される。雄しべは6、子房は下位で3室がある。 ユリ科と近縁で花の構造は良く似るが、子房が花被片の基部より下部にある(子房下位)ことで科を分ける。




ユリ科 Liliaceae

カノコユリ

花被片6は内外2列に並ぶ、雄しべ6、雌しべ1,子房は多くは上位で3室まれに1室。単子葉植物の進化の中心となる科で、この科から風媒花のカヤツリグサ科やイネ科、虫媒花ではショウガ科やラン科への分化が考えられる。 地下茎がよく発達し、しばしば鱗茎や球茎を形成するので、食用として利用される植物が多い。例:ニンニク、ラッキョウ、ニラ、タマネギ、ネギ、ワケギ。




アヤメ科 Iridaceae

シャガ

花の基部に2個の苞(ほう)がある、花被片6は内外2列に並んでいずれも花弁状、雄しべ3、花柱は3裂してときに花弁状になる、子房は下位で3室。サフランはアヤメ科バンコウカの雄しべを低温で乾燥した香辛料。




ラン科 Orchidaceae

ネジバナ

花の基部に苞がある、外花被片(がく片)3、内花被片(花弁)3のうち中央の1個は唇弁(しんべん、唇状の花弁)となって形が異なる。雄しべ1~2、雌しべ1,子房1室根は菌と共生し、地上に生えるか樹状に着生する。虫媒花で単子葉植物では最も進化したものと考えられる。直接食用にされないが、バニラの実からバニラエッセンスを抽出し香料として使う。