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学校長の式辞集詳細

2016年度 2学期終業式

 おはようございます。寒いのですぐに本題に入ります。
 あるテレビドキュメンタリーのお話をします。この話を聞いて、君たちも自分たちの周りに少し目を向けて、いろいろと考えてほしいと思っています。
 先週NHKのドキュメンタリー「君が教えてくれたこと」を観ました。自閉症の青年が意思表示するすべを獲得し、今まで伝わっていなかった彼の思いが周囲の人たちにも伝わるようになりました。周囲は自閉症の人の心の内を知ることができて理解が広がったのです。そしてそれが世界中に伝わり自閉症に関わる人々に希望と勇気を与えたというお話です。自閉症の症状にもいろいろありますが、彼は今考えていること、判断したことをすぐにことばや行動でうまく表現できないのです。それが文字盤、アルファベットを表にしたものですが、それを指で押さえていくと自分が考えていることを表現できるようになったのです。すると彼は実に深いところでいろいろと感じ、考え、判断していたのです。ただ表現したり伝えたりすることが苦手だっただけなのです。周囲の人々は外側から彼を見ていただけで、本人が何も考えることができないと思っていたのかもしれません。彼の意思表示はそれを覆すとても大きな出来事だったのでした。しかし、同時に、なぜ周囲の人々はもっと深く彼を理解しようとしてあげなかったのかと残念に感じました。
 さあ、君たちはどう感じましたか?
私は人間の人格を尊重する姿勢を忘れてはならない教訓として受け止めました。皆さんは友人のこと、家族のこととかを理解しようとしていますか?私は生徒の皆さんの言動のことでこんなことが起きたとか、こんな様子でしたとかを報告を受けたときにその生徒はどういう心境だったのだろうか?なぜそういう言動をしたのだろうか?家族はどう感じるだろうか?こういうことを思いめぐらせます。ドキュメンタリーを観て、表面的なことばかりを見るだけではだめなのだと強く感じました。
 さて今日は何が言いたいのかというと、「知ることの大切さ」「知ろうとすることの大切さ」です。世の中のできごとや歴史や自然科学を知ろうとしたり、他者のことを理解しようとしたりしてください。そして疑問を持ってその中身に一歩踏み込んで解決を試みたり、他者の立場に立って思いやりを持って接することの大切さを考えてほしいと願っています。皆さんは日々の学校生活や日常生活でそういう機会に出くわすことがきっとあるはずです。どうでしょうか、ぜひそのようなときに今日の話を思い出してください。
 知ることによっていろいろなことが納得できるようになるし、その過程で自分を成長させることができると思います。そこには喜びも伴います。たとえば私が授業見学に行って、生徒の皆さんと一緒に問題を解いたとき、だれもがうれしそうな顔をしていましたね。私もうれしかったです。知ること、わかることって楽しいという証明ですよ。難しいと思うこともあるかもしれないけど、知ろうとすること、わかろうとすることを放棄してはだめです。絶対に知ろうとする意欲を失わないでいてください。
 この冬休みにはそんな姿勢で過ごしてみるのも悪くないです。そういう姿勢が大事だと思えたら、人の話を聞こうと思えるし、居眠りなんてもったいないし、ネットでの不用意な書き込みなんてできないはずです。家族のお互いの気持ちの理解も進みます。 「知ろうとすること」を心がけてみてください。

 最後に。冬休み中は健康に気を付けてください。1月9日の始業式には必ず元気な姿で、健全な姿で登校してくださいね。それではよいお年を。

(2016年12月22日 2学期終業式にて)

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