明けましておめでとうございます。今年も池田高校化学部をよろしくお願いします。
去る12/25(木)に、大阪大学会館講堂にて、研究発表会に参加しました。
以下、顧問(化学科教員)による研究の概要です。
研究テーマのタイトルは、「計算化学を用いた水溶液中におけるグルコースのアノマー比再現の試み」です。

計算化学とは、コンピューターを用いて化合物の構造や性質を研究する分野のことを言います。研究対象のグルコース(ブドウ糖)は、すべての生物にとってエネルギー源となる分子です。グルコースはヒドロキシ(OH)基を沢山持っており、立体異性体(OH基の向きが違う化合物)は他に7種類存在します。

これら8種類の中で、グルコースのみが突出して自然界に多く存在することが知られています。(一般には食物繊維と呼ばれるセルロースや、炭水化物と呼ばれるデンプンの形で存在しています)何故進化の過程でグルコースは選ばれたのか。構造的にグルコースが他の7つよりも安定であると言われていますが、定量的な計算は難しく、現在でもグルコースの計算化学研究は続いています。
高校の化学においては、一般的には3年生の2学期頃に糖を学習します。しかし単純にOH基の向きの違いと化合物名の丸暗記になりがちであり、問題意識を持っていました。
そこで、
〇自然界(生物)は何故グルコースを選んだのか、という化学進化の歴史を追うこと
〇糖の形とエネルギーについて、視覚化・定量化した教材を作成すること
を目的に、パソコンと量子化学計算ソフトORCAを用いて、シミュレーションをする研究を始めました。今回は、まずは糖の計算に適する(実験値と良い一致を示す)条件を探索しました。
当日、担当生徒は緊張しながらも、一生懸命に発表していました。
この研究は背景に大学レベルの量子化学や物理化学、数学の内容を含み、原理が難しいです。これまでは発表会に向けて急いでデータを取ることを優先していましたが、今後は部員全員で研究背景を理解して、聞いている人にわかりやすい説明を作っていくことが必要であると感じました。
会場の大学の先生からは、今後の活動に繋がる有益なアドバイスをいただきました。3月には化学工学会の学生発表会に参加する予定です。今回の発表の経験を活かしていきたいです。"甘いけど甘くはない"糖の研究、これからも続いていくと良いです。

