令和4年4月8日 第43回 入学式 式辞

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。保護者のみなさま、お子さまのご入学、心よりお祝い申し上げます。

「風はすべて追い風 わたしがどこを向くかだ」

人生はよく航海や旅に例えられます。その海原に吹く風は、いつ、どこで、どこから吹くのか、わかりません。

先の言葉は、2015年に賞をとった広告コピーです。とてもしなやか。そして強い。潔い。良いなと思って頭の片隅にしまっておいたものです。

もう2年以上、私たちには「新型コロナ感染症」という強い風が吹き付けています。みなさんも部活動の練習がままならなかったり、試合ができなくなったり。楽しみにしていた学校行事が延期や中止になったりしたことがあったでしょう。

誰が悪いわけでもない、何かに腹を立てても仕方がない。そう分かっていても悔しい、悲しい。そんなときに思い出してほしいのです。

「風はすべて追い風 わたしがどこを向くかだ」

帆船は実は、向かい風でも進むことができるんです。ご存じでしたか?

どうやって? その秘密は「帆の張り方」にあります。帆をどんな向きに、どう張るかによって、向かい風でも、横風でも、ちゃんと目的地に向かって進むことができるのです。

きょうからの3年間、みなさんの周りにはいろいろな風が吹くことでしょう。努力が成績アップにつながったり、部活動での勝利につながったり。順風満帆であれば、自信もやる気もでるでしょう。一方で学業が振るわなかったり、プレッシャーやストレスに耐えられないと感じたりすることがあるかもしれません。

あきらめてしまう前に、投げ出してしまう前に、帆の張り方を調整してみませんか。自分の気持ちの持ちよう、物の見方を変えてみるのです。

向かい風は悪いことばかりではありません。凧、空に揚げる凧ですね、これは向かい風の時によく揚がります。が、追い風になると、急に力を失ってしまうのです。

目的地まで最短距離を行く必要はないのです。漂流したり、難破したり、したくはないでしょうが、避けられない時があるかもしれない。でも、大きく外れてしまっても、地球を逆から回ってたどり着くことができるかもしれません。

大事なのは「どんな風も自分の味方にしてしまう強い気持ち」「目的地をめざし続ける、あきらめない心」です。そうすれば、必ず前が開けてきます。進む力が生まれてきます。

ここ香里丘高校、そして私たち教職員は、みなさんの港であり、伴走船です。つねにみなさんのそばにあり、支え、共に目的地をめざしていきます。

みなさんがここ香里丘での高校生活を実り多い豊かなものとできますように。

もう一度この言葉を贈って、わたくしの式辞といたします。

「風はすべて追い風 わたしがどこを向くかだ」

令和4年4月8日

大阪府立香里丘高等学校 校長 宮内 順