45期生のみなさん、ようこそ(入学式式辞)

45期生のみなさん、ご入学おめでとうございます。保護者のみなさま、お子さまのご入学、心よりお祝い申し上げます。

さて、みなさんにはそれぞれ夢や目標があると思います。まだ、はっきりとした形になっていない人もいるでしょう。本校にはみなさんの「得意を見つけ、伸ばす教育環境」や優れた先生方がいますが、これからみなさんが夢に向かって進むためにはもう一つ、決定的な要素が必要です。それは、みなさんの「心の力」です。

私たちは素晴らしい成果をあげている人を見ると、並外れた才能に恵まれているからだ、と考えがちです。

例えば、iPhoneで有名なApple社を創ったスティーブ・ジョブズ。常識を覆す商品を次々と開発し、世界を変えた男と言われました。彼は天才だったのでしょうか? 野球の大谷翔平選手。生まれ持ったものすごい才能があったから、ビッグになれたのでしょうか?

実のところ、ジョブズの高校の成績は平凡なものでした。また、大谷選手について日本ハムファイターズのスカウト部長は、「ここまでになるとは全く思ってもいなかった」と話しています。

では、彼らはどのようにして飛躍をつかみとったのか。彼らには「GRIT(グリット)」があったからだ、と言われています。

GRITは、アメリカの大学教授が提唱した「やり抜く力」を意味する造語です。

① Guts(ガッツ)困難なことに立ち向かう度胸

② Resilience(レジリエンス)失敗から立ち直る力

③ Initiative(イニシアチブ)目標を見つけて挑む力

④ Tenacity(テナシティ)途中で投げ出さない執念

これらの頭文字をつなげてつくられました。

「『やり抜く力』なんて根拠のない精神論だ」と思う人もいるでしょう。が、科学的な調査結果に基づいて論理的にその重要性が語られているため、いま世界的に注目されているのです。

きょう、みなさんにこの言葉を紹介したのは、理由があります。この「やり抜く力」は成長してからでも身につけることができる「技術」、とされているのです。三日坊主だった人も、きょうからこの力を育てることができます。決して難しいものではありません。ここでは3つに絞ってお話します。

一つ目は、好きなことから始めるということです。最初は小さめの目標が良いでしょう。自分が成し遂げる姿を鮮明にイメージしてください。やり抜く過程では、投げ出したくなる瞬間が必ずあります。そんな時、好きなことなら「できるようになりたい」「上手くなりたい」と、やる気を維持することができるでしょう。失敗や成功の積み重ねが、あなたの力になっていくのです。

二つ目は、計画的に目標の達成をめざすことです。私たちは、練習や課題をできるだけ多く、長くやれば、より成長できると考えがちです。しかし、一流のスポーツ選手の練習時間が他の選手より長いのかといえば、そうではありません。彼らは、数日から数年の単位で目標を設定し、達成するための具体的なメニューを持っています。今するべきことをはっきりさせることが大事です。

ただ、計画は上手くいかないことも実は多かったりします。そんな時は、過去にこだわったり、迷ったりせず、前を向いて軌道修正を図りましょう。大切なのは、取り組み続けることです。

三つ目は、苦しい瞬間が必ずあることを理解しておくことです。

練習や課題を続けても、すぐに効果がでるわけではありません。特に、初めのうちは結果が見えず、つらいことの方が多いと思います。人間の能力は練習量や練習時間に比例して右肩上がりに上がっていくわけではありません。あきらめずに続けていれば、一気に花開く瞬間が訪れます。つらかった練習や課題は、その飛躍のための助走なのです。

ここ香里丘高校、そして私たち教職員は、みなさんの伴走者です。常にみなさんのそばにあり、支え、共に目的地をめざしていきます。

今日からの学校生活が、みなさん一人ひとりの成長と、夢への大きなステップとなることを心から願い、校長の式辞といたします。

令和6年4月8日

大阪府立香里丘高等学校

校長 宮内順