第46回卒業式 式辞

令和2年度 卒業式 式辞

 ただいま卒業証書を授与いたしました、第46期生・208名の皆さん、卒業おめでとうございます。

そして、本日ご列席いただきました保護者の皆様、立派に成長されたお子様のご卒業、本当におめでとうございます。これまでお子様の成長を暖かく見守ってこられたなかで、時にはご心配やご苦労もあったかと存じます。本日、卒業を迎えたお子様の姿をご覧になり、喜びもひとしおかと拝察いたしますと共に、今までのご努力に心から敬意を表し、お祝い申し上げます。

 私たち長尾高校の教職員にとりましても、お預かりしておりました大切なお子さまを、このようにお返しすることができ、これに勝る喜びはございません。改めまして、これまで本校の教育活動に対して、深いご理解とたくさんのご支援ご協力をいただきましたことへ、厚く御礼を申しあげます。

  また、本来はご来賓としてご臨席いただく予定でした方々からをはじめとして、卒業生へのお祝いのメッセージをたくさんいただいております。高いところからではございますが、本校教職員を代表いたしまして、深く御礼を申しあげます。

 今日ここに、長尾高校を旅立ち、それぞれの道を歩んで行かれる卒業生の皆さんへ、卒業を祝福し、さらに今後の人生において幸せが訪れることを願い、私から一つの言葉を贈ります。

「変えることができないものは受け入れる落ち着きを、変えることができるものは変えていく勇気を、そして、その二つのものを見分ける賢さを、どうか私に与えてください」

 これは、教会で使う祈りの言葉です。私自身はある本の中で知り、心を打たれました。そこに込められた、落ち着きと、勇気と、賢さを、何とか身につけたいと強く思い続けています。

 皆さんは長尾高校で、平成と令和という、2つの時代を過ごしました。平成の時代の日本は、人間の力を超えたや地震や水害などの自然災害、さらに経済的な不況や大きな事故に何度も見舞われました。しかし、その中から、災害復旧のボランティア活動が広まり、社会的に弱い立場にある人々やハンディキャップを持った人々を支援する法律や社会制度が生まれた時代でもあると、私は思っています。

 そして、令和の時代に入り、世界を新型コロナウイルスが襲いました。皆さんは、今年1年間、長尾高校の最上級生として、様々な困難な状況の中で、日々の授業、部活動、進学や就職の受験など、何事にも精一杯立ち向かってくれました。

 とりわけ、大きな学校行事である文化祭と体育祭では、前例のない状況の中で力を合わせて知恵を振り絞り、行事の実現に向けて工夫を重ね、後輩の前に立ってリーダーシップを発揮してくれました。まさに、変えられないものは受け入れ、変えられるものは勇気をもって変えてくれました。その結果、他の高校で中止が相次いだ行事を、両方とも立派にやり遂げてくれました。

 いつの時でも、新しい時代を創り出していくのは、様々な厳しい現実から逃げないで正面から受け止め、苦しむ人々に共感し、寄り添い、自分ができることを見つけて地道に続けていく、そんな努力を積み重ねる人々だと、私は思います。

 どうか皆さん、これからの人生でも、この長尾高校で過ごした最後の1年間のように、自分の周りにいるそんな一生懸命生きている人々を見つけて、大切にしてください。

 皆さんが、勉強や、仕事や、人間関係や、そのほかの様々なことで、自分ひとりの力ではどうにもできないと思うような壁にぶつかった時に、自分の置かれた状況から逃げ出さないで、しっかりと受け止める覚悟を持つことができるのは、きっとそんな人たちの支えがあるからだと私は思います。

 そして、「変えられないものを受け入れる落ち着き、変えられるものを変える勇気、その二つを見分ける賢さ」を、皆さん自身の努力で手にされることを願っています。

 結びにあたり、第四十六期卒業生と、そのご家族の皆様方の、今後の人生におけるご幸運を、心からお祈りいたします。

 どうか、いつも笑顔を忘れずに。ご卒業、本当におめでとう。

                                    令和3年2月25日

大阪府立長尾高等学校

校 長  石井 研吉