2021年度第45回卒業式式辞

春の息吹が感じられる今日この佳き日、

大阪府立長吉高等学校

令和3年度卒業証書授与式を

挙行できますことは、

私たち教職員にとって

大きな喜びであります。

保護者の皆様におかれましては、

本日のお子様の成長された姿に

感慨もひとしおのことと存じます。

ご卒業を心からお慶び申し上げますとともに、

これまで私どもが賜りましたご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

ただいま卒業証書を授与した

171名の卒業生の皆さん、

ご卒業おめでとう。

今日の卒業の日を 迎えるまでには、

皆さん自身の頑張りがあったことは

もとより、保護者の方々をはじめ、

多くの人たちの支えがあったことを

忘れてはなりません。

改めてこれまでの自分を振り返り、

そうした多くの方々への感謝の気持ちを

しっかりとかみしめてほしいと思います。

みなさんが過ごした学校生活は、新型コロナウイルス感染症により、

教育活動が大きく制限された3年間でした。

修学旅行の中止、体育祭、文化祭の縮小実施など、

悔しい思い、悲しい思いをした人も多くいたに違いありません。

しかし、みなさんはその逆境に負けませんでした。

修学旅行の代わりに行った球技大会やレクレーション大会、

3年の夏の臨時休業による厳しいスケジュールの下で懸命に頑張った就職試験。

その他、コロナ禍で多くの制限・制約がある中、

みなさんは仲間と支え合いながら、試練を乗り越えました。

今後、社会は世界規模で大きな変動に見まわれます。

地震や感染症などの災害や環境破壊、

現に今起きている戦争や核爆弾の脅威、格差や貧困の問題など、

こうした問題は直接的・間接的に、みなさんの人生に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

しかし、恐れることはありません。

ここで私から、これからそれぞれの道で社会に旅立つ、あなた方にはなむけの言葉を贈ります。

ロシアの文豪ドストエフスキーの最後の作品に「カラマーゾフの兄弟」があります。世界文学の最高傑作です。その最後の場面で、三男のアレクセイが、町を離れるにあたって、集まった中学生に向かって次のように演説します。

○ここにこうしてみんなが心を通わせた「美しく貴い思い出」が                 「一つでも私たちの心に残っておれば、その思い出はいつか私たちを救うでしょう。」

○「この町でお互いに善良な感情で結ばれた」美しく貴い思い出を「永遠に変わることなく」    「憶えていましょう」

○「人生を恐れてはなりません!「正直ないいことをした時には、人生がなんとも美しいものに思われることでしょう!」

○「さあ、行きましょう!これから私たちはお互いに手を取り合って行くんですよ。」

長吉高校は、

かけがえのない人格として人をとことん大切にすること、

違いを持つ仲間とつながること、

仲間と協力し合いながら困難を乗り越えることを大切にしてきました。

みなさんがこの長吉で積み重ねた経験、

心を通わせた美しい思い出は、

この先、どんな苦難があっても、あなた方を救います。

だから人生を恐れることなく、心を真っ直ぐに、最善の行いをしてください。

そうすれば人生が美しいものなります。

みなさんは、長吉高校で積み重ねた経験、美しい思い出を「宝物」として、

それぞれの道で果敢に人生に挑戦してください。

美しい人生、豊かな関係、よき社会は、みなさん一人ひとりが作り上げるのです。

これを私からの式辞とします。

令和4年3月9日

大阪府立長吉高等学校長

上本 雅也