2023年度入学式式辞

新緑が輝きを増し、すがすがしい春の風が吹き抜けていく今日の佳き日に、来賓の皆様、さらに保護者の皆様にご臨席をいただき、ここに大阪府立長吉高等学校 第49回 入学式を挙行できますことは、誠に喜ばしいことです。

 保護者の皆様には、今日まで、ご苦労を重ねつつ、育んでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申しあげます。

 ただ今、入学を許可しました202名の新入生のみなさま、入学おめでとう。入学に至るまでの努力を称えるとともに、みなさんを心から歓迎いたします。

 本校は、規律と自主性を重んじ、いじめを許さない、安心して過ごせる学校・居場所作りを進めています。また、エンパワメントスクールとして、「わかる喜び」・「学ぶ意欲」を呼びおこし、三年後に実社会に巣立つ際、社会に適応できる資質・能力を身につけるための授業や教育活動を行うことを使命とした総合学科高校です。

 私からみなさんに伝えたいこと。それは、

「未来の自分、三年後の自分を想像(イメージ)して欲しい」ということです。

 三年前の生活、新型コロナウィルス感染症に翻弄された日々を思い返してみてください。全国一斉休校。マスクの着用。人との距離や会話を制限された日々。制約の中での学校行事。みなさんはその中で、日常生活の有り難さ、例えば「友達とあって話をすること」、「学校に通い授業をうけること」、当たり前のことがどれ程有り難く、ちょっとしたことでの喜びを沢山感じたのではないでしょうか。感染症への不安が解消されつつある今、「有り難い」、「ありがとう」、この素敵な言葉を忘れず、周りの人々にどんどん使ってください。

 コロナと向き合った日々は、プラスの力もつけてくれました。例えば「制約のある中で工夫すること」、「相手の立場を思いやること」、「我慢する力」。これから先、予測できない「答えのない社会」を生きていくみなさんにとって、与えられた環境のなか、喜びや楽しみを見つけ、対応する力を身につけたと言えます。ポストコロナ社会となり、制限なく行動できる日常が戻ってきました。高校生活は、自分が自分なりに考え、授業・部活動・体育祭・文化祭など、自主性が尊重されます。やる、やらないは自分次第。いろんなことに「挑戦」して、あなたの可能性を存分に発揮してください。いろんな人々と関わり、繋がりを深めてください。

 また、世界は思ったより狭く、常に繋がっているということを感染症やSNSを通じて実感したのではないでしょうか。そんな中、長吉高校はリアルに世界と繋がる機会をもつ高校です。10カ国以上の国にルーツをもつ、たくさんの仲間と共に学ぶことができます。これからの日本社会は、益々国際化が進み、多様な人々と共に生活し、多様な価値観が認められる時代を迎えていきます。

今年2023年、野球のWBC、日本代表チームには、日系アメリカ人のヌートバー選手が大活躍し、チームリーダーはダルビッシュ有選手でした。二人の存在なくして日本の優勝はありえませんでした。

2024年は長吉高校50周年節目の年です。中心となるのは、2年生になったあなた達です。

2025年には、大阪・関西万博が開かれます。世界中から多くの人が訪れ、触れ合う機会があるでしょう。テーマは「いのち輝く未来のデザイン」です。最上級生になる頃、日本社会は多様な個性や価値観がさらに混ざり合う、まさに長吉高校の日常が、日本社会の縮図となっていると想像します。三年後、様々な経験を通じて人間性を高め、人との繋がりを深め、成長したみなさんの姿が今から楽しみです。三年間、それは約1000日の高校生活。このドラマの主人公はあなた自身です。

 もう一度、私が伝えたいこと、

「未来の自分、三年後の自分を想像(イメージ)してください。」

 そのために、私たち長吉高校教職員は、教え、導き、援助する専門家として、チーム一丸となってあなた方を応援します。我々も共に成長していきます。この長吉高校で、一人ひとりが「自分らしさ」を輝かせ、持続可能な社会の担い手として成長することを心の底から願っています。

以上を私の式辞といたします。

令和5年4月7日

大阪府立長吉高等学校 校長  原田 のぶひさ

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