桜が咲き誇り、すがすがしい春の風が吹き抜けていく今日の佳き日に、大阪府立長吉高等学校 第50回 入学式を挙行いたしましたところ、ご多用の中、ご臨席を賜りました来賓のみなさまには、高いところからではございますが、厚くお礼申しあげます。
保護者のみなさまには、今日まで、ご苦労を重ねつつ、育んでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申しあげます。
ただ今、入学を許可しました210名の新入生のみなさん、入学おめでとう。入学に至るまでの努力を称えるとともに、みなさんを心から歓迎いたします。
本校は、規律と自主性を重んじ、いじめを許さない、安心して過ごせる学校・居場所作りを進めています。また、エンパワメントスクールとして、「わかる喜び」・「学ぶ意欲」を呼びおこし、三年後に実社会に巣立つ際、社会に適応できる資質・能力を身につけるための授業や教育活動を行うことを使命とした総合学科高校です。
また、今年は長吉高校50周年となる 節目の年です。ですからみなさんは、長吉高校50期生、またエンパワメントスクール10期生という「縁」の基、総勢554名の在校生徒、その中に日本以外に14カ国、86名の様々な国々にルーツをもつ仲間や、100名を越える教職員とこの学び舎で過ごすことになります。
多文化共生社会の縮図のような恵まれた環境の中、私がみなさんにお願いしたいこと、それは「人を知り」「世界を知り」「自分を知る」ということを実践し、その為の「縁」を大切にしようと、心がけて欲しいと願います。
昨年5月、およそ3年間に及ぶ新型コロナウイルス感染症の恐怖との闘いにおいて、各国で協力しながら知恵を出し合い 対応してきました。行動制限で感染拡大を阻止したり、薬やワクチンを開発して、安全・安心を保障できる日常を取り戻したと言えます。しかし、マスクを着用することが日常になったことで 人間関係において少し距離を生じてはいないでしょうか。表情を読み取る大切さ、口元で描く喜怒哀楽、大切な言葉を伝える機会が少なくなってしまったマスク生活により、人間同士の心の交流が少し希薄になったように感じます。未来をより幸せに過ごすために、高校生としての新たな環境の中、ぜひ「人との関わり」や、「縁」の大切さを考え直したいと思うところです。
哲学者の森信三の有名な言葉に、「人間は一生のうち 会うべき人には必ず逢える。 しかも 一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に。」があります。人は人生の中で必要な人とは必ず、絶妙なタイミングで出会うことができるという言葉です。
ただし、これに続く言葉がより大切で、少し難しい日本語ですが、「縁は求めざるには生ぜず。内に求める心なくんば、たとえ その人の面前にありとも、ついに縁を生ずるに至らず と知るべし」というものです。すなわち、「自分の求める心がなければ、たとえ会うべき人が目の前に現れていても、その人との「縁」をつくることができない」ということです。私たちは、人生の中で多くの人々と出会い、その人々に支えられて生きていることを知ります。
そして 出会いの数々は「新しい自分の創造」であり、意味のない出会いなど一つもなかったことを後に振り返ります。新しい価値観との出会いによって、人生の選択の幅が広がることも心にとめ、すべての出会いをチャンスととらえ、これから始まる本校での学校生活を充実させてほしい と心から期待しています。
改めて、私からのお願いです。「人を知り」「世界を知り」「自分を知る」ことを実践してください。その為の「縁」を大切にしようと、心がけてください。
今、現在も 紛争や災害などで多くの人々が苦しんでいる状態が続いています。世界で起きている事実からも目をそらさず、 皆さんがこれから出会うであろうたくさんの人との「縁」や、高校生活での「学び」や「知る」ことで、自身の生きる方向を見出し、未来へと羽ばたける力を育める三年間を過ごして欲しいと願います。そのために、私たち長吉高校教職員は、教え、導き、支援する専門家として、チーム一丸となってみなさんを応援します。我々も共に成長していきます。この長吉高校で、一人ひとりが「自分らしさ」を輝かせ、多文化共生が当たり前になる社会の担い手として 成長することを心の底から願っています。
以上を私の式辞といたします。
令和6年4月8日
大阪府立長吉高等学校
校長 原田信尚
桜が新入生、そして保護者のみなさんを祝福してくれていました!!感謝