硬式野球部~快打洗心~秋季大会4回戦

硬式野球部ブログ~快打洗心~ 2021.9.25(土)vs上宮太子高校

秋季近畿地区大会大阪府予選4回戦(ベスト16進出をかけて)

佐野   200 001 000   3

上宮太子 002 100 01×   4

(P)大沢、檀上 ー(C)久田

安打  松田2 梅田1 奥田1 土山2

二塁打 川原1 檀上1

三塁打 なし

本塁打 なし

いつも野球部のクラブログを読んでいただきありがとうございます。今回はいつもにもまして長文ですので、お時間のある時にお読みいただけると幸いです。

2012年以来の4回戦(ベスト32)進出から中1日。疲労の色もそれほどなく、南港中央球場に到着した。佐野高校の試合は3試合目。1試合目は興国vs大阪産業大学付属、2試合目は大阪桐蔭vs東大阪大柏原。有料試合となり公開となったことから多くの観客が球場には詰めかけていた。多くの学校が休校による棄権や不参加を強いられる中、このような環境にいられること、このステージに立てることへの感謝と充実感をかみしめながら試合を待つ。

バスの中ではいつも通りの佐野高生。寝ている者もいれば、スマホを眺めている者もいる。一昔前ならスマホ禁止、試合前の移動は寝てはだめということもあったが、本校はいたって"自由"だ。本人たちにまかせてある。試合直前のスマホは「眼の動き」を阻害するため触らないようになっているが、それまではいつも通りだ。

■試合まえ

新チーム3回目の公式戦ということで試合までのルーティーンを含め、部員たちの動きは万全だ。一人ひとりが当事者意識を持ち、道具の運搬や会場入りの時間などを意識して自立して動く。終始リラックスした雰囲気でベンチ裏で待機していたが、前の試合が終わり、選手が出てきたときに若干空気が変わる。敗退したチームの選手が涙ながらに退場するのを目にする。公式戦は負ければ終わり。トーナメントでおこなわれるため、独特の雰囲気がある。しかも選抜甲子園につながる大会。優勝をねらおうとするチームでさえ、その緊張感から思うようなプレーができないこともある。

■試合かいし

さあ、試合開始だ。3戦目で変な緊張感は皆無。これまでの試合は攻撃力で圧倒して流れを掴んできた。ゲームプランとしては守備からリズムを作るではあったが、夏に並行して取り組んだ打撃強化が実を結んだ。4回戦でもそれは変わらず、持ち味の集中力と観察力で初回から佐野が仕掛ける。1番川原の2塁打から連打を重ね、2点先制。走塁意識、観察力、そしてフィジカルも良い水準で動いている。初戦である2回戦では「我々はできるのか?」という慎重な意識が、4回戦になれば「我々はできる」という積極性やおもいきりに変わっていた。ずっとくすぶっていた「できるんだろうか」という意識が明らかに変化していた。1回の裏を0点で切り抜け、上々の立ち上がり。チームは勢いづいた。ベンチも懸命に動き、情報を発信し、選手を鼓舞した。

■3回裏

この試合はある程度の失点は覚悟したゲームプランを考えていた。「傷を負いながら、最後に立っていよう」、「最後に攻撃的に出る心の強さを忘れるな」というものだった。先頭が安打で出塁、その後、犠打で走者を2塁に送られ、次の打者が安打。1死23塁のピンチだ。このケースは、夏休みの期間徹底して練習をしてきた。そのかいあってポジショニングや守備の狙いの意識統一もよくできていた。打球はセンター前に抜けようかというあたりだった。ショートが手を伸ばし捕球。選択は一塁への送球。1点は取られるが一塁をアウトにする。ギリギリのせめぎ合いが続く。続く打者にボールが先行してしまい2ボール0ストライク。次のボールをセンター前にはじき返され同点とされる。相手にもプライドがる。上宮太子高校は過去に甲子園に出場している。ここで負けるわけにはいかないという感情がぶつかる。

■中盤

4回裏にヒットと送りバントで1死2塁となり、打球は三遊間へ。必死にショートが食らいつき捕球。選択は三塁への送球。悪くない。タイミングもアウトであった。しかし、捕球体勢が膝つき状態であったこと、送球が走者と3塁手が重なってしまったことなどが関連し、3塁手が捕球できない。ボールが転々とし、失点。

6回表、佐野高校の攻撃。5番土山がショート内野安打で出塁。6番檀上の2-2から5球目。パスボールだ。土山は2塁へ進む。相手捕手がボールを見失っている間をついて一気に3塁へ進む。実行→判断→実行。OODAがまわった瞬間であった。このシーンが佐野高校のストロングポイントである。1死3塁から檀上の放った打球はライトの頭上へ。捕球されても犠飛には充分の距離で合ったが、グラブをかすめた打球はフェンスまで転がる。タイムリー2塁打、3-3同点だ。

■終盤

大沢の後を受けた檀上は、持ち前のコントロールと緩い変化球を織り交ぜ、相手打者を翻弄する。キャッチャー久田も勇気の配球で良くリードした。緩いボールを使うことは勇気がいる。いつ捉えられるかという恐怖と隣り合わせだからだ。しかし、勝てる投手は必ず緩いボールを持っている。ダルビッシュ投手、前田健太投手、森下投手、昭和平成で言えば桑田投手、江夏投手。勿論素晴らしいストレートがあってだが、緩いボールを操れる者こそ、良い投手の条件であり、公立高校である佐野高校が勝ち上がるために必要な技術である。

しかし、8回裏。先頭打者をセンター前ヒットで出塁させると、次打者が犠打。1死2塁でここまで3試合で見られなかったバッテリーエラーが出る。厳しい内容にはなるが野球は投手が最もボールを触る回数が多い。次に捕手。そして一塁手。ポジションはこのように決めていく。それだけ、ボールを触り、エラーをする機会の多いポジションということになる。それがここまで皆無だったことは、佐野が勝ち上がれた大きな要因であったことは間違いない。檀上の投じた投球がワンバウンドとなり、捕手久田が少しはじく。スキを逃さない相手は3塁へ進塁。1死3塁だ。この回の失点は致命傷となりかねない。次の8番打者の放った打球はレフト定位置当たりの飛球となる。走者は、タッチアップ体勢から、本塁へ突入。捕球後懸命にホームへ送球する。セーフ。上宮太子に1点が入り、3-4に。

■結果

敗け。

8月に大会日程が決まってから1カ月。初戦からはわずか1週間という短い期間ではあったが、試合後選手の表情はそれぞれの"悔しい"があった。そこにはそれぞれの意味があったと思うが、一人ひとりが感じた"悔しい"は、間違いなく我々を成長させてくれると確信した。これまで体験できなかった勝つことで得たもの、勝った後で負けたことでさらに気づいたこと。9年ぶりのベスト32のステージで見た佐野高生の姿は、我々の可能性を感じさせるものであった。

■春の経験から

硬式野球部は春季大会を棄権せざるを得なかった。唯一あった臨時休校が公式戦にぴったりと合った。自分達だけではなかったが、他クラブが活動している中で、試合に負けたのなら心のやり場もあったであろうが、ステージに立てず、活動の機会を奪われたことから、もどかしさやマイナスの感情がどうしても沸いてきた。今回の結果にはその時の経験が活きたと感じる。あの辛さを知り経験したことで、取り組みに変化もあった。

佐野高生がこのブログを目にすることがあれば幸いである。今、思うように活動がままならないクラブ員たちも、いずれ来る再開の日に向け、前に進んでほしい。続けていれば、常に目の前にチャンスが来る。それを強く感じた大会であった。

変化することを恐れず、硬式野球部は前に進んでいく。

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                                文責 硬式野球部顧問 藤井