清水谷高校での3年間、みなさんの高校生活はいかがでしたか。特にこの1年間、みなさんは大いに悩み、傷つき、そして考えたことでしょう。進路について大きな岐路にたち、早い段階で強く信念をもってがむしゃらにがんばった人、やりたいことがなかなか決まらず、遅くまで焦燥感を抱えていた人。
卒業式を迎える今日、進路の結果が希望通りであれ、今はまだ納得いかないものであれ、そして今まだこの瞬間にも先が見えない不安にかられているのであれ、この1年間はみなさんの人生にとって、大きな意味をもつはずです。そこに少しでも担任として関われたこと、心から感謝しています。担任としてはみなさんの気持ち、要望に添えなかった部分もあったかもしれません。でも、みなさんのことは一番応援してきました。それには自信があります。そしてこれからも応援し続けます。
一方、長い人生において、この1年間の出来事はほんの些細なものにもなるかもしれません。それはみなさんのこれからにかかっています。みなさんの将来にはそれくらいの可能性があるからです。私はこれまで多くの高校生との出会いと別れを繰り返し、そのつど多くを教えてもらいました。この仕事に誇りを持っています。でも今後のことはわかりません。退職後だって大学院に進むことは可能です。そう、私でさえ将来には可能性があります。18歳のみなさんには言わずもがなですね。
今日は卒業式。昨日も話しましたが、最後にみなさんにお願いがあります。帰ってから家族や一緒に生活する人に感謝の気持ちを伝えてください。毎朝みなさんを起こし、お弁当を作り、クラブの応援や学校での懇談、みなさんのことを心配し、支えてくれた方です。もしかするとぶつかることもあったかもしれません。でもみなさんのことを一番(ここでは私は負けてしまいます)大切に考えてくれた人です。きちんと感謝の気持ちを伝えましょう。気持ちは思っているだけでは伝わらないものです。言わなくてもわかる、ということもあるかもしれませんが、言葉にして伝えた方がいいのはみなさんもわかっていますよね。少し照れくさいかもしれませんが、今日は必ずその思いを伝えてください。
フランシス・ベーコンの言葉に、「知は力なり」とあります。人間の経験に基づく知識は人間の力に一致するという考えですね。「知」にはwisdom ― good sense and judgement, based especially on your experience of life と、knowledge ― the information, skills, and understanding that you have gained through leaning or experience があります。清水谷高校卒業後も引き続き、「知」をつけて、自らの力としてください。
改めて、卒業おめでとう。みなさんのこれからの人生、これからも応援しています。