8月29日 全校集会

 

  長かったようで短い夏休み。3年生は既に授業が始まっていますが、1年・2年は今日から2学期です。全校集会のみんなの気持ちは30年前私も高校生でしたから、昨日のことのように思い出します。2文字形容詞で「アツ」「ダル」「ウザ」・・etcみんなと同じでした。しかし2学期のケジメなので少しお話を致します。2学期始まればすぐに文化祭があります。各クラス趣向を凝らした発表を期待しています。何かを作り上げるときに大事なことは「ストーリー」です。人は「ストーリー」に共感し、感動を呼び、称賛され結果として表彰に繋がります。文化祭の出し物も同じです。いいものを作り上げてください。

  さて「ストーリー」についてですが、モノづくりでも同じです。私のメーカーとしての経験を少しお話いたします。炊飯器の開発にサラリーマン生活のすべてをかけたS部長という人がいました。1988年にN社がIH加熱方式の炊飯器開発しました。従来と違う電磁誘導で金属を加熱する方式で、美味しいご飯が炊けるという事で、画期的でした。私の会社も1992年にIH方式に加え、本当においしいご飯を炊くのには圧力方式を採用しなければだめとのS部長の信念のもと、業界初の圧力IHを世に出しました。しかしヒット商品とはなりませんでした。その後も炊飯器事業は苦戦します。蒸気の出ない「出ないでシュー」「家族会議」といった圧力IH炊飯器をリリースするのですが、空振りです。  日本の食文化を守るには、お米を食べてもらいたい。美味しく炊ける炊飯器ができれば、もっと日本人はお米を食べてくれるはず。そうすればお米を作る日本の農業文化を守ることになる。・・・ このS部長の「ストーリー」のもと開発されたのが2002年発売された「おどり炊き」という炊飯器です。圧力を加えたり抜いたりすることで、炊飯中にもかかわらず、自動でお米をかき混ぜる画期的な技術を搭載し、とても美味しく炊ける炊飯器ができたのです。結局この商品は5年で100万台を突破するヒット商品となりました。

  是非 皆さんも2学期始まるに当たり、もう一度自分の「ストーリー」考えてほしいのです。3年生は目標に向けて自分たちの「ストーリー」を実現すべく、ハードルを突破していってください。1年生2年生でまだ自分の人生の「ストーリー」を描けていない人は自分自身で考えてみてください。他人や保護者が描いた「ストーリー」ではない、自分のための自分の「ストーリー」を描くのです。そのストーリーに自分が納得し、困難に立ち向かい、突き進んでいく姿に、周りの人たちから必ず理解と応援をしてくれるはずです。  2学期は文化祭や修学旅行など、全員で大いに盛り上げ、高校生活最高の「ストーリー」を演じきってください。それが終われば ケジメはしっかり付ける事。行事の余韻に浸っていないで、やるべきことはきっちりとこなしてください。  

                                                                 以上