同窓会長の嬉しいエール「笑顔と真顔」

八尾高校は府立高校の中で2番目に古い学校です。創立から125年、私が校長をつとめさせていただく数年間など一瞬ですが、これも八尾高校の歴史の1ページなら、同窓生のみなさんに、「そんなこともあったよなぁ...」と懐かしんでもらえるような何かを残したいと思っていました。

その一つが本校のキャッチフレーズ「笑顔がエエやん、真顔もエエやん」。「質実剛健」(校歌の歌詞には「剛健質実」)、「文武両道」という校訓はしっかり守りつつ、伝統校故か?本校に対する何となく固いイメージを払拭し、親しみやすいイメージを持ってもらうために、生徒と一緒に考え、辿り着いたのがこのキャッチフレーズです。

この「笑顔」と「真顔」というキーワードをタイトルにして、本校同窓会長 藤田博久氏(池田泉州銀行特別顧問)が執筆されたエッセイが、雑誌「経済人」2020年6・7月号(公益財団法人関西経済連合会刊)に掲載されました。1冊ご寄贈いただきましたので、全文を原文のまま転載させていただきます。

文末にあるメッセージのように、今はONE TEAMで困難を乗り越えなければいけないときだと思います。その先にある Withコロナの時代、八尾高校は、同窓会やPTAと力を合わせて「笑顔」と「真顔」を忘れずに頑張っていきたいと、あらためて、そう思いました。

「経済人」2020年6・7月号 "ちょっとひといき" から抜粋

 笑顔と真顔

 昨年、女子プロゴルフでは「しぶこスマイル」が、ラグビーでは「笑わない男」が大変注目され、話題になりました。渋野日向子選手の "エエ笑顔" と稲垣啓太選手の "エエ真顔" です。たまたま、わが母校、大阪府立八尾高等学校が2年前に掲げたスローガンが『笑顔がエエやん、真顔もエエやん』。伝統の教育目標『質実剛健・文武両道』を、新しい世代にもっとわかりやすくということで、大阪弁でそのように表現されたのです。

 アスリートの笑顔と真顔に、多くの国民が「にわかファン」となりました。私のそのひとりです。特に、女子プロゴルファーの渋野選手の魅力に取りつかれました。ほとんど注目されていなかったルーキーが、国内ツアーで初優勝した後、「全英女子オープン」という伝統ある海外メジャーに初出場で勝ってしまいました。しかもその時の彼女のプレースタイルと笑顔に世界中のゴルフファンが魅了されました。地元メディアは「スマイリングシンデレラ」の愛称をつけ、国内では彼女の笑顔を「しぶこスマイル」と呼びました。ディズニー映画のシンデレラは、つらいことがあっても勇気と優しさを忘れませんでしたが、 "しぶこ" は初めての世界の大舞台で、攻める勇気とギャラリーへの優しさに加え、笑顔を忘れなかったのです。そして、最後まで集中力を切らさず、 "しぶこ流" で駆け抜けました。私は "しぶこ流" を見て、一打一打の、ホールごとの、ボギーのあとの、前半と後半の、そのすべての切り替えが笑顔によってスイッチオンされることを感じ、時々見せる真顔にも虜になりました。

 笑顔には、間違いなく人を引きつける力があります。他人の笑顔を見ると思わず自分も笑顔になり、自然とポジティブ思考になります。少なくとも笑顔でいる時はストレスを忘れることができますから、ストレスの軽減にもつながります。

 「しぶこスマイル」を早く見たいと、待ちに待った今年のJLPGAツアーでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、開幕戦から連続しての中止が続きました。すべてのスポーツや歌劇・新喜劇など、感動と元気と笑顔を届けてくれるさまざまなイベントが休止・中止されました。センバツに続き夏の甲子園も中止が発表されました。世の中から多くの笑顔が消え、それによって健康の大切さ、家族や仲間と笑顔で過ごせる当たり前の毎日のありがたさを再認識しました。

 そしてようやく、無観客ではありますがプロ野球が開幕、Jリーグも再開しました。女子プロゴルフの国内ツアーも変則的にせよ何とか開幕を迎えました。8月の「全英女子オープン」が予定どおり開催され、今年も「スマイリングシンデレラ」を見られることを期待します。気持ち的にはまだまだ "満面" の笑顔を感じることはできませんが・・・・・。

 今を大切にするから、笑顔も真顔も生まれます。今は、満面の笑顔あふれる平常時を取り戻すために、オール関西での「DNAワクチン」の開発に期待し、それぞれの立場で "ONE TEAM" となり、真顔で頑張りましょう。

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