3学期始業式式辞(要旨)

新年おめでとうございます。今年のお正月は、穏やかな天気に恵まれた暖かな日となりました。皆さんは、この冬休みどう過ごしたでしょうか。

 「一年の計は元旦にあり」という言葉もありますが、今年の目標や計画を立てられたでしょうか。進路や学習、クラブなどで具体的な目標を持っている人も多いと思います。そこで、目標に向けてスタートするにあたり、ひとつ考えて意識してもらいたいことがあります。

ここまで到達しようという目標の前に、そもそもそれは、なんにため(目的)のものかということです。例えば、部活の大会で勝つことを目標にした場合、勝つことがすべてかというとそうではありません。目標達成に向けたプロセスが大事な場合もありますし、目標は一つの通過点でその先に大事なことがある場合もあります。ひとつ一つの目標は、あくまで目的に対する手段であって、その活動の本質を見失わないようにしてもらいたいと思います。皆さんにとって、試験の合格や試合での勝利は、ひとつの目標であり、それは何のためのものかを考えてもらいたい。

例えば、今年はオリンピック、パラリンピックが東京で開催されます。このオリンピックは何のための開催されるのでしょうか。国別のメダル獲得数を競うための大会でしょうか。オリンピック憲章では、主催者の国別メダル獲得数の公表を禁止しています。これは、オリンピックの目的が、選手を尊重しスポーツにおける友情、連帯による平和への貢献にあるからです。しかし、今、オリンピックは、開催規模の拡大に伴う巨額の経費や放映権を持つ放送ビジネス企業の影響による開催時期(真夏)問題、国家規模のドーピングなど、オリンピックの本質を危うくする課題や状況が山積しています。こうした難しい風が吹いている時だからこそ、大切にしなければならないことを意識することが大事になります。今回、国家規模でのドーピング事案への対応で、個人としての参加を認めるのもこのためです。

学習や部活動など、私たちが物事に取り組むときには、スムースにいくことより、様々な難しい状況に陥ることのほうが多いと思います。そのとき目標を達成することだけに目を奪われるのではなく、そのプロセスも含めて大切にしなければならないことは何か、目的や本質をしっかり押さえてもらいたいと思います。

一年のスタートにあたって、今一度、なぜ、それを行うのか、自分がやろうとしていることの本質、大事にしなければならないことはなにかを考えて意識し、ブレのない活動に繋げてもらいたいと思います。

今日からの3学期は、大変短い期間となります。また、3学期は、進級や卒業を迎えた重要な学期でもあります。これまでやってきた1学期、2学期の活動が、3学期の締めくくり方によって、一年間の成果が良くもなれば悪くもなります。短距離走でスタートが大事なように、今日からスタートダッシュをかけるつもりで、気持ちを新たにして取り組んでもらいたいと思います。

最後に、皆さんにとって今年1年が充実したものとなるとともに、この年度末をそれぞれがいい形で迎えられることを願って式辞とします。