クリーンピックに引き続き、防災安全啓蒙活動『レクチャー』と『帰宅困難シミュレーションウォーク』を開催しました。60名の方にご参加いただきました。
まずは、7月の教室安全点検の際にもご講義いただきました136期役員をなさっていらっしゃった防災士のNさんより、「北野高校における発災後の行動について」レクチャーをいただきました。
地震発生後、生徒はグラウンドに避難します。校舎・教室に異常がないことが確認できたら教室に戻ります。ここまでは、生徒たちも避難訓練を実施しており、想像できます。そして、北野高校の校舎はとても頑丈なので、倒壊する危険性は極めて低いとのことです。
北野高校の防災計画*1を見てみましょう。
所在地である大阪市淀川区では最大1~3mの津波が予想されています。教室棟の3F フロアは地面より高さ8mであるので、「教室が避難できる状況の場合は教室に避難する。」ことになっています。屋上については、屋上に上がる階段が非常に狭く、また多人数が立ち入ることが困難の為、避難場所としては不適とのことです。体育館2F ギャラリーの高さは約5mだそうです。
加えて、北野高校は災害時避難場所・津波避難ビルに指定されていますが、想定を超える津波が到来する場合、近隣の「避難ビル」としては、現在、ホテルプラザオーサカがあります。
また、北野高校は一時避難場所(グラウンド)および災害時避難場所(体育館)として指定されています。地域(新北野地区)の防災計画では、避難所は新北野中学校を優先し、北野高校体育館は予備的なスペースとして位置づけられ、要配慮者を優先して収容するとされています。
・・きわめて大きな地震だったら?
この北野高校の防災計画に則ると、3 F以上の教室に生徒たちは避難します。そのまま6時間以上は待機になります。
交通機関が止まっている状況の場合は、基本原則は「むやみに移動を開始しない」ことです。内閣府(防災担当)*2および大阪府・大阪市の災害時対応方針によれば、発災後3日間は救助・救急活動を優先させる応急対策活動の期間とされています。もちろん校長先生の判断になりますが、場合によっては、72時間待機することが想定されます(帰宅抑制)。
待機するということは、一時滞在施設の確保が重要になります。津波警報発令の場合は、津波避難ビルであるホテルプラザオーサカは19 F、屋上および4 F以上の各階の廊下・空き部屋を開放していただけ、そちらに生徒は避難することもあるそうです。並行して、災害時避難場所の開設も行われるかもしれません。
その後、下校準備(保護者との連絡、通学経路・交通機関の安全確認→下校方法の報告・確認)、下校開始、保護者への引き渡し、帰宅困難な場合は待機とされています。
生徒たちが72時間待機となった場合、災害時備蓄用食料として、入学時に飲料水500ml×4本とアルファ米1食を購入しています。その他に大阪市の備蓄品があり、こちらは北野高校の生徒も使用可能とされています。これらの備蓄品は、セミナーハウスに保管されています。7月にも指摘されておりますが、津波が到達してしまったら、2mの浸水が想定されるので取りにいけません。約1,000人の生徒の備蓄品を取り出すのにどのくらい時間がかかるのか、誰がどのタイミングでどのように運び出すのか等々、保管場所の再検討も含め、参加された方からも不安の声があがっていました。
一方で、基本は「自助」です。自分の命は自分で守ることが求められます。毎日、教科書などが入ったカバンは重いと思いますが、手の届くところに何か入れておけると安心だと思います。(ロッカールームは1Fにありますので、取りにいけない可能性があります。)
また登下校中に発災に遭遇した場合は、原則的には学校、通学路上の避難場所、家庭の3つの中で、距離的、時間的に最も近いところに避難することになります*3。
学校待機後の生徒の下校については、被害状況によるところで判断されるとは思いますが、防災計画*1では保護者引き渡しとされています。
また、公共交通機関の回復が見込めない、備蓄品も切れてくると言ったような状況であれば、帰宅抑制は必要であるかもしれませんが現実味が薄れ、徒歩による帰宅も想定されます。
それでは『帰宅困難』を想定した場合、事前に準備しておけることはどんなことがあるでしょうか。
まず、思いつくのは「自宅までのルート・地図」です。普段、通学で使う路線と、歩く場合のルートは異なっている場合があります。特に、北河内方面から通っている方は、梅田を経由することが多いかと思いますが、徒歩では、学校から北東方向に進むことになります。また、ほとんどの生徒は、どこかで川を渡らなくてはなりません。どの橋を使うのかも考えておいた方がよさそうです。
学校から自宅までのルートが調べられる『キタク支援ポータルサイト』*4、被害状況が提供されるサイト*5、オフラインでも「自宅」と「学校」付近の地図が利用できる機能*6など、さまざまご紹介をいただきました。
また、帰宅困難者支援として、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファストフード店、ファミリーレストラン店などが、店舗営業に支障がないと判断された場合に限り、可能な範囲で①トイレの提供、②水道水の提供、③情報の提供(ラジオ、地図等による道路等の情報)により支援してくれます。この協定を結んでいる店舗には『キタクちゃんマーク』のステッカーが入り口付近に貼られています。
また、公共施設(小中学校・高等学校など)は、一時避難場所、避難所になっています。津波や河川氾濫から身を守るためには少しでも早く「高い」場所(建物の各浸水想定の浸水深よりも高い位置の階)に避難する必要があります。避難できる場所として、自治体が民間企業の建築主と協定を結び、「津波避難ビル」や「水害時避難ビル」が確保されています。
加えて、家族で連絡手段を決めておくことも大切なことです。通信途絶時の家族との連絡手段として、『災害用伝言板(Web171)』*7についてもご紹介がありました。登録用と確認用があります。いざという時にまごつかないように、一度、ご家族全員で練習しておくとよいと思います。また、自宅からの避難場所(集合場所)を決めておくことなどもお話がありました。
このような説明を受け、いよいよ『帰宅困難シミュレーションウォーク』に出発します。
【参考】
*1 『防災計画抜粋』 https://www2.osaka-c.ed.jp/kitano/antidisaster.pdf
*2 『大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン』https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/pdf/kitakukonnan_guideline.pdf
*3 『学校における防災教育の⼿引き 改訂2版(補訂版)』https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/25744/00_zentai.pdf
*4 『キタク支援ポータルサイト』 https://kansai-kitaku.jp/index
*5 『大阪防災ネット』 http://www.osaka-bousai.net/
*6 Yahoo!マップアプリ『防災モード』
*7 災害用伝言板(Web171) https://group.ntt/jp/disaster/service/web171.html