令和6年10月11日 創立110周年記念式典(② 記念講演)

記念式典に続き記念講演を行い、本校の卒業生である八木陽平さんからお話をいただきましたので、その様子をお伝えします。

講演に先立ち、プロフィールをご紹介しました。八木さんは1964年生まれで、1971年に大阪府立盲学校小学部に入学され、中学部を卒業しました。50年前の創立60周年記念の時にも在籍されていたそうです。そして、筑波大附属盲学校高等部普通科に進学され、卒業後は国際基督教大学教養学部理学科に、物理専攻で日本で初めての全盲学生として入学・卒業されました。その後、アメリカに渡り、英語の語学研修後、アメリカの大学で宇宙論を専攻され、帰国

後は、キャノン中央研究所勤務を経て、1999年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)で勤務し、現在は調査国際部に所属されています。趣味はマラソンと将棋で、日本ブラインドマラソン協会の常務理事や将棋クラブの役員も務められ、知力・体力を備えて、多岐にわたりご活躍されています。

ご講演では、本校の小中学部に在籍されていた頃のお話や、日本で初めて全盲の学生として大学で物理学を専攻した時の実験器具づくりのご苦労や、アメリカの大学院で宇宙論を学ばれていた時の教材づくりの難しさや、現在のお仕事ではアメリカで身に付けた英語力が役立っていることなど、ご自身の歩んでこられた道を、順をおって丁寧にお話くださいました。

八木さんが大学やアメリカで学ばれた当時は、障がいについての社会全体の理解が、今ほどではなかったと思います。そうした中で、前例のないことに、次々と挑んでこられ、何をするにも相当なご苦労があったと思いますが、自分が学びたいことに一生懸命取り組み、楽しみながら学んでこられた結果が今に繋がっていると感じました。

講演の冒頭で、八木さんから在校生に向けて、「勉強するのは何のためか、考えて欲しい」と、投げかけられました。そして、八木さんご自身は「勉強するのは、将来人生の岐路に立った時に自分の道を自分で決める力をつけるため」、「人生の岐路で、思うようにならないこともあるだろうけれど、自分の責任で自分の道を選ぶことで、悔いのない人生を歩めると思う」とおっしゃられました。また、講演の最後には、「努力さえすれば、行きたい道に進むことができる」、「頑張れば自信がつくので、頑張って、誇り高く人生を謳歌してほしい」と、在校生にエールを送ってくださいました。

八木さんの経験に基づく、これらのメッセージは、聞いていた在校生の心に、しっかり届いたと思います。そして、八木さんをはじめ、本校を卒業された多くの先輩方と同様に、立派な未来を築いていけるよう、これからも、様々なことにチャレンジして、自分の道を切り開き、10年後・20年後に、大阪南視覚支援学校で学んだ先輩として、後輩たちを励ましてくれる日が来ることを願っています。

八木さん、本当にありがとうございました。

(写真は、ステージで講演されている八木さんです)

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