長吉高等学校のみなさんへ
多くの人は、「働くこと」を通して他者や社会と関わり、様々な役割を担いながら生きています。その関わり方はそれぞれ違い、「自分らしさ」を形作る要因となります。その意味で「働くこと」は「自分らしく生きる」ための人として保障されるべき基本的な権利の一つです。
生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねを、「キャリア」と言います。
これからの変化の激しい社会の中で、自らの資質・能力を発揮し、「自分らしい」人生の主体、よりよい社会の形成者となるために、みなさんには、以下の能力を伸ばしてほしいと思います。
長吉高等学校で卒業までに身につけてほしい力とは
① 自分自身のことを理解し、自分で自分をコントロール(管理)できる力
「できる事・したい事」を肯定的にとらえ、自身の可能性を信じて主体的に行動する。
と同時に、自らの感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする。
⇒・自分を振り返り、長所・短所を把握して、良いところを伸ばし、悪いところを克服する。
・感情に流されず行動を適切に律し、不得意なことでも、自ら進んで、取り組もうとする。
② 他者と協力・協働することで、人や社会とつながる力
他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる。
⇒・相手の立場を考慮し、考えや気持ちを受け止め、相手が理解しやすいように伝えようとする。
・人と何かをするとき、自分の役割を考え、分担しながら、力を合わせて行動する。
③ 適切な計画を立てて課題を解決し、自らキャリアを形成していく力
⇒・失敗を繰り返さないよう、原因を調べ、課題を発見し、解決のための工夫ができる。
・見通しをもって計画し、評価・改善を加えながら行動ができる。
・学校での学びが、将来の働き方、生き方とつながることを考える。
・具体的な将来の目標をたて、現実を視野に入れ、具体的に行動することで実現方法を考える。
キャリア・パスポートを作成するねらい・期待すること
皆さんの知っている世界はまだまだ限られています。学校での学び、人との出会いを通じて、世界の広さ、豊かさを実感してください。
「進路」とは「自分らしい生き方」を考えることです。自分の進路を考える際に、自分自身を見つめ、自分を支えてくれた人たちの生きざまに思いをはせ、自分がこれまで歩んできた道を振り返ることで進むべき道が見えてくるのではないでしょうか?
自分を振り返り、得意なこと、苦手なこと、好きなこと、できたこと等を整理し、周囲の人にも相談しながら、自分がどんな職業に向いているのか、どのような人生を歩んでいくのかを考えてほしい。
様々な学校での活動を「やりっぱなし」で終わらせないことで、必ず気づきがあるはずです。そのためにこの「キャリア・パスポート」を活用してください。
「キャリア・パスポート」で、授業や学校行事、部活動等の高校生活を見通したり振り返ったりしながら、経験や学びの履歴を積み重ね、自分自身を見つめていくことが、みなさんの「進路」を切り拓くための「道しるべ」となることを願っています。
2021年4月
大阪府立長吉高等学校 校長 上本 雅也