「かけがえのない時を刻んで」

 6期生、生徒のみなさん、ついに、やっと、待ちに待った修学旅行です。コロナ禍により内容やスケジュールが大きく変更しました。また、様々な事情でこの修学旅行に参加できない生徒もいます。

 まずは、このことに深く思いいたして、実施できる喜びをかみしめ、実施を可能にしてくれた人たちへの感謝の念と、参加できない人たちの分まで、6期生としての有意義な修学旅行にしようと決意してください。

 私は今でも、自らの高校時代での修学旅行の数々のシーンを思い出すことができます。それ程、修学旅行で刻んだ時間は濃密で「かけがえのない時」でした。

 では、どうすればそうした「かけがえのない時」を刻むことができるのか。

 まずは「リアル」な体験を一人ひとりが「心」に刻みつけることです。思い出をSNSなどで記録に残すことも必要ですが、それ以上に、「この体験は二度と訪れることのない貴重なものである」ことを念頭に、濃密な「リアル」な体験を一人ひとりの「心」に刻みつけること、このことが最も大切です。

 しかし、これは個人旅行でもできることです。

 私の脳裡に思い浮かぶ修学旅行のシーンの一つひとつには、必ずクラスの仲間や学年の仲間、そして担任の先生や学年の先生がいます。修学旅行は、クラスや学年の仲間、担任や学年の先生と、寝食を共にし、交流や体験を分かち合うからこそ、個人旅行では味わえない「輝き」を持つのです。学校の仲間や先生と旅行で「かけがえのない時を刻む」、これが修学旅行の本質です。

具体的に一人ひとりがどう行動すればよいのか?

答えは明快です。

「自らの役割を十全に果たすこと」です。

 修学旅行中の時間は、自分個人のものではありません。6期生全員のものです。その全員の時間を内容の濃いものにするためには、一人ひとりが自分に与えられた役割を「十全」に果たそうとすること。その上で「仲間のために」さらに何ができるのかを考え、行動することです。時間を守る、指示に従うことはもちろんのこと、困っている仲間がいれば温かく助けてあげて下さい。

 このことによって修学旅行は、決して忘れることができない輝きを放つのです。

 みなさん、修学旅行中は、普段より背伸びをして、一人ひとりの「いいところ」を「仲間」に見せてください。一人ひとりが胸に手をあてて、『自分は今、自分の役割を十全に果たせているか。』『仲間のために何ができるか』を思い行動して下さい。

 答えは明快ですが、それが実現できたかどうかは、一人ひとりの「心」が決めるものです。

 この修学旅行で、生涯忘れることのできない「かけがえのない時を刻む」ことができたと、一人ひとりが「心の底から」思えることを、願っています。

                            

                                (6期生修学旅行しおりより)

2021年10月

校長 上本 雅也