6期生修学旅行結団式

 いよいよ待ちに待った修学旅行です。 あなた方には、しおりにも書いたように一生の思い出に残るかけがえのない時を刻んで欲しいと願っています。

 その上で、敢えて3つ、最も基本的で大切なことを、この結団式でみんなに言います。

 修学旅行で最も基本的で大切なこととは、何でしょう。一人ひとり頭の中で答えを考えて見て下さい。

 「自分勝手な行動はしない」「ルールを守る」「自分の役割を果たす」など、それぞれ思い浮かべたことと思います。

 それも大切ですが、私の答えは違います。

 それは「命」と「安全」です。

 旅行先は、慣れた日常の世界ではありません。初めて経験する未知の世界です。その世界で安全に過ごすため、私たち教職員は、様々な準備や打ち合わせをして来ました。

 それゆえに、私たち教職員をはじめ、添乗員さん、インストラクターの人たちなど、周りの大人は様々な指示を出します。「危険な場所には立ち入らない」「この行動は危険だから、してはいけない」「もし、こんな時には、こうしなさい」など、細かな指示を出します。

 その指示は絶対に守ること。「ちょっとぐらいなら」「これくらいならいいだろう」などと勝手な判断は許しません。

 私たちは本気です。もし指示に従わなければ真剣に叱ります。その指示はあなた方の「命」と「安全」を守るためのものだからです。

 次に、この中で自分だけ、自分たちだけ楽しかったらいい、後は知らん、周りに迷惑をかけようが気にしない、関係ない、と思っている人はいますか?

 きっと、そんな人は誰一人いないと思います。なのでそれを行動で表すこと。具体的には「時間を守ること」です。遅れれば、周りの人の大切な時間をムダにします。必ず、時間を守ること。それが仲間を大切にする行動の基本の基本です。

 加えて、もう一点強調しておきます。私はこの中の誰一人いやな思いをしない、一人ひとりが行ってよかったと心の底から思える修学旅行になることを願っています。

 そのために、是非、実行して欲しいことがあります。それはみんなの中の長や係の役割の仲間に進んで協力することです。班長や室長、レクレーション係など、みんなの仲間がみんなのために、いろんな役割を担い、お願いをします。たとえば、集合時の点呼では「早く並んで」、室内の点検では「片付けよう」など、長や係の人は気を遣いながらも勇気を持ってやってくれているのです。そんな仲間がいやな思いをしないために、「ありがとう」の気持ちを持って協力してください。

繰り返します。「命」と「安全」、「時間厳守」、そして「感謝の気持ち」で協力し合うことです。

最後に、念のために、一点、付け加えます。私は、担任として3回、副担として1回、教頭として1回、校長として3回、計8回修学旅行に行きました。今でも覚えている最も悲しいエピソードを話します。

 私の教師2年目、初めての担任の修学旅行の時です。信州へのスキー修学旅行でした。行も帰りもバスです。初日、長い時間をかけてやっと宿舎に着きました。さあ、これから、と言う時に、バス会社からFAXが届きました。見ると「窃盗」とあります。さすがに「ぎょっ」としました。よく読むと、バスの天井のシャンデリアのピースが欠けているとのことです。すぐに生徒を集めて聞きました。すると、何人かが、ヒマだから、ガラス玉を投げて遊んでいたとのことでした。その生徒たちは「窃盗」だと思っていませんでした。しかし、バス会社とすれば「窃盗」もしくは「器物破損」です。管理職が謝罪し、警察沙汰にはなりませんでしたが、その生徒たちは停学です。宿舎で申し渡しを行い、その生徒たちは修学旅行中、謹慎で、他の生徒たちと別行動となりました。生徒たちも私も悔しく腹立たしい思いでいっぱいでした。これが私の一番いやな思い出です。みなさんには絶対にこんな悲しい経験はして欲しくありません。

 誰一人としてこんな悲しい経験をすることなく、ここにいる全員一人ひとりが「やりきった」と、心から思える、そんな修学旅行にしましょう。期待しています。

20211012

校長 上本 雅也