2022年度第46回卒業式式辞

春の息吹が感じられる今日この佳き日、

大阪府立長吉高等学校

令和4年度卒業証書授与式を

挙行できますことは、

私たち教職員にとって

大きな喜びであります。

保護者の皆様におかれましては、

本日のお子様の成長された姿に

感慨もひとしおのことと存じます。

ご卒業を心からお慶び申し上げますとともに、

これまで私どもが賜りましたご理解とご協力に

深く感謝申し上げます。

ただいま卒業証書を授与した

154名の卒業生の皆さん、

ご卒業おめでとう。

 

今日の卒業の日を 迎えるまでには、

皆さん自身の頑張りがあったことは

もとより、保護者の方々をはじめ、

多くの人たちの支えがあったことを

忘れてはなりません。

改めてこれまでの自分を振り返り、

そうした多くの方々への感謝の気持ちを

しっかりとかみしめてほしいと思います。

みなさんが過ごした高校生活は、コロナ禍真っ最中の、これまでになかった3年間でした。全国一斉の臨時休業による6月はじまりの高校生活。それゆえ入学式ができませんでした。学校行事も何度も変更を余儀なくされ、生徒も教職員も非常に「きつい」日々を過ごしました。まずはこの途轍もなく「きつい」日々を乗り越えたことを誇りに思って下さい。

 みなさんはそんな「きつい」日々に負けず、長吉高校らしい共感性と想像力を身につけました。それが最も如実に表れたのが修学旅行です。コロナ禍の波の合間を縫うように行った修学旅行。みなさんは全く問題行動もなく、みごとな修学旅行をやりきりました。1日目の真珠づくりなどの体験活動、渡鹿野島での歓迎会、マスコットキャラクターの「しまこさん」に手を振るみなさん、高齢の仲居さんに「かわいい、孫みたいや」の声に、はにかみながら温かく応える姿、2日目の長島スパーランド、3日目の伊勢神宮めぐりと、みなさんは、事情で参加できなかった仲間のためにも「よい」修学旅行にしようと懸命でした。

 3年生になり、最終学年として、体育祭や文化祭も前年度よりも内容の濃いものに仕上げ、先輩としての実力を後輩たちに示しました。進路についても、先生方の指導に従い、それぞれの進路実現に向けて、懸命に取り組みました。

 昨年10月に実施した講演会を覚えていますか。みなさんは事前に、様々な質問を出してくれました。私は、みなさんが出してくれた質問に、どう答えようか、一生懸命考えながら、うれしかったです。みなさんの質問には、これからの人生どう生きればいいのか、思い悩む、みなさんの真剣な姿があったからです。

今後、社会は世界規模で大きな変動に見まわれます。地震や感染症などの災害や環境破壊、現に今起きている戦争や核爆弾の脅威、格差や貧困の問題など、こうした問題は直接的・間接的に、みなさんの人生に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

しかし、恐れることはありません。大丈夫です。みなさんには乗り越える力があります。

ここで私から、これからそれぞれの道で社会に旅立つ、あなた方にはなむけの言葉を贈ります。

ロシアの文豪ドストエフスキーの最後の作品に「カラマーゾフの兄弟」があります。世界文学の最高傑作です。その最後の場面で、三男のアレクセイが、町を離れるにあたって、集まった中学生に向かって次のように演説します。

○ここにこうしてみんなが心を通わせた「美しく貴い思い出」が「一つでも私たちの心に残っておれば、その思い出はいつか私たちを救うでしょう。」

○「この町でお互いに善良な感情で結ばれた」美しく貴い思い出を「永遠に変わることなく」「憶えていましょう」

○「人生を恐れてはなりません!「正直ないいことをした時には、人生がなんとも美しいものに思われることでしょう!」

○「さあ、行きましょう!これから私たちはお互いに手を取り合って行くんですよ。」

みなさんがこの長吉で積み重ねた経験、心を通わせた美しい思い出は、この先、どんな苦難があっても、あなた方を救います。

だから人生を恐れることなく、心を真っ直ぐに、最善の行いをしてください。

そうすれば人生が美しいものなります。

美しい人生、豊かな関係、よき社会は、みなさん一人ひとりが仲間とともに作り上げるのです。

これを私からの式辞とします。

令和5年3月8日