協働

写真の作品は本校芸術科(書道)教諭、萩原智子先生に書いていただいたものです。校長室にこの春から飾っています。すごく立派な作品でとても気に入っています。萩原先生、本当にありがとうございました。

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「協働」という言葉を選んだ理由

「協働」という言葉は私が本校に着任以来様々なところで言い続けている言葉です。この言葉を本校のキーワードに選んだ理由は文部科学省が次の国の教育方針を示す第2期教育振興基本計画の中にあります。

教育振興基本計画では3つのキーワードが出てきます。

自立・・・一人一人が多様な個性・能力を伸ばし,充実した人生を主体的に切り開いていくこと

協働・・・個人や社会の多様性を尊重し,それぞれの強みを生かして,ともに支え合い,高め合い,社会に参画すること

創造・・・自立・協働を通じて更なる新たな価値を創造していくこと

 

 以上の「自立」「協働」「創造」の3つですがこれはOECDが未来を担う人材に求められる資質・能力として提唱しているキーコンピテンシー(「社会的に異質な集団で共に活動・交流する力」「自律的に活動する力」「対話の方法として相互作用的に道具を活用する力」)に繋がるものですし、経済産業省が同様に提唱する社会人基礎力(「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」)とも重なるものです。

簡単に言えば文部科学省はOECDや経済産業省の提唱するものを教育の現場でわかりやすく具現化するために「自立」「協働」「創造」の3つの言葉を提示しているといえるでしょう。

 奇しくも本校の校訓は「創造」「自律」「誠実」(少し見にくいですが下の写真)で2つが重なりますが、これに加えるにふさわしい言葉として「協働」を掲げることにしたのです。校訓.jpeg

 

 

 

 「協働」をもう少し説明すると日本でよく使われる単語として「コラボレーション」という言葉が当てはまると思います。考え方や立場などの様々な違いを越えて、目標を共有し、協力し合って活動することを意味します。考え方や立場、利害が一致する人々が協力しあうことは簡単です。しかし、そうでない場合も互いに敵対することなくリスペクトしあえる関係をつくって共通目標を見出し、それに向かって協力しあえることができる力。これこそがこれからの社会の発展のためにはとても大切だということなのです。この力は国際社会の外交の面でも大切ですが、グローバル化した経済社会でももちろん、地域を基盤としたコミュニティの中でも重要になってきます。私たちが生徒に身につけさせようとしているいわゆる「PISA型学力」修得の狙いは、一つは社会をリードし人類の幸福を考えるグローバルリーダーの育成と、それ以上にもっと大切なのはそれを支える市民の育成なのです。知識を詰め込んで有名大学に入れば有名企業で働くことができて一生安泰という時代は終わりです。一人一人が社会の一員として自分がその時その時に何をなすべきかを考え、判断し行動する時代になったのです。

高校でも今年から実施されている学習指導要領の狙いは「主体的な学びの育成」です。おとなしく座って静かに授業を聞くだけでなく、自分から積極的に活動し学ぶ姿勢を身に着けることが求められ、その育成が必要とされているのです。「協働」というのはその力の大きな要素の一つとなるのです。

 話は少し飛んでしまいましたが、戻って「協働」の意味をかみ砕いて話をまとめておきます。仲の良い者同士が協力するのは簡単ですが、いろんな考え方や意見を調整して一つの目標に向かうのは簡単ではありません。しかしそれができないと利害関係の対立だけで社会は前に進むことはできません。だからこそ他人の話すことを真剣に受け取り、賛同はしなくても理解はする力が必要になってきます。私は生徒にそういった力を身に着けて欲しい。そういう思いで「協働」というキーワードを掲げました。生徒の皆さんが少しでもそれを理解して実践し社会を支え、社会に貢献できる人材になってくれることを願ってやみません。

 

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