挨拶と祝辞

Greetings and congratulatory addresses

創立三十周年記念式典 挨拶

第8代校長 岸野 圭吾

 日根野高校の美しさの根本には、木々の緑と水面の輝きに恵まれた周辺環境の豊かさ、校舎設計そのものの柔らかさ、なだらかな丘陵地の起伏をそのまま取り込んだ施設レイアウトの様式美、というものがあるように思います。見るものに「なんてきれいで落ち着いた学校なんだろう。」と思わせる本校の魅力のひとつです。関西国際空港を望むJR阪和線の快速電車停車駅からわずか800Mの距離に、このような学校が存在しているということは驚き以外の何ものでもありません。そして、そのような環境を支えてきた日根野高校の徹底した美化・清掃活動は良き伝統として今日にまで受け継がれています。

 ご参集の皆さま、本日は公私ご多用にもかかわらず、本校記念式典にご来席いただき誠にありがとうございます。おかげさまをもちまして、日根野高等学校は創立三十周年を迎えることができました。ひとくちに三十年とは申しますが、その歳月の重みを語り尽くすことは容易ではなく、これまで本校を育ててこられました全ての関係者の方々のご努力と情熱に対し敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げたいと思います。

 さて、我校の歴史を振り返りますと、昭和六十二年、大阪府で最後に作られた公立高校、大阪府立佐野高等学校日根野校としてスタートを切り、平成四年という早い時期に外国語コースを設置し、文部省の外国語教育多様化研究協力校になるなど、先進的な試みにいち早く取り組んできた実績があります。平成七年には、大阪府立日根野高等学校と改称し独立校として新たな旅立ちを向かえ、「自立・共生・友愛」という校訓・H一文字の校章・校歌・制服を定めました。その後、平成十二年には、外国語コースを廃すると同時に二学期制に移行、またその二年後には普通科総合選択制に改編。というように、やや短いタームでの制度変更を繰り返してきたという経緯があります。更に日根野高校の変容は続きます。平成二十一年、二学期制を三学期制に戻すとその四年後には大阪府の高等学校再編整備計画の実施対象校となり、普通科総合選択制から普通科専門コース設置校への移行が決定いたしました。そして、この専門性の質を高めるために、泉佐野市様と地域人材育成に関する協定書を締結させていただきましたのが昨年平成二十七年のことでございます。来し方を振り返り、このような大きな制度変更が続きましたことをどのように理解するかは簡単ではありませんが、その時その時を懸命に考え抜き行動してきた教職員とそれにしっかりと応えてきた生徒・保護者の皆様が築いてこられた日根野高校の歴史は、今を生きる私たちの大きな礎であり、また誇りとするところであります。
 「現在は過去のどっしりとした土台の上にある。」私の申し上げたいことはそういうことで、現在の日根野高校が世界をめざすグローバル人材の育成を進めつつ、その一方で、地元にしっかりと貢献する専門性の高いグローカル人材を育てる、というバランスの取れた学校をめざすことができている根底には、この三十年間の血のにじむような努力と挑戦の積み重ねがあったからに他なりません。私たちはそのことを十分胸に刻み、明日を構想していく必要があります。

 三十年を経て辿りついた日根野高校のミッションは、明解です。それは、地域に支えられた中堅公立高校として、国際化基準・地域社会貢献基準・専門性基準など、多様な価値基準に適合する人材のバランスの取れた輩出です。これこそが様々な生徒の参集する中堅公立高校の醍醐味であると申し上げて差し支えないでしょう。結びになりますが、私たちは、このような日根野高校が誇りであるとともに、新設校のハンディキャップをものともせず、ここまで力強く駆け抜けてこられた全ての関係者のご努力に対し、改めまして最大の敬意を表し創立三十周年のご挨拶とさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。