第31回卒業証書授与式・閉校式

 平成23年2月26日に挙行しました最後の卒業証書授与式・閉校式には、600名を超える方々のご臨席を賜り、印象深く心に残る式となりました。このページでは、その感動的な場面を映像や画像で紹介し、永く「西浦」を語り継ぐために制作しました。

第31回卒業証書授与式 映像

閉校式 映像

卒業証書授与式・閉校式 画像

卒業証書授与式 式辞

 正門から入って来られた皆さんはお気づきだと思いますが、前庭ではスイセンの花が咲き揃って来ました。今日の日のためにと、昨年秋PTA役員のみなさんが中心となって植えつけたものです。玄関脇の白梅も開花が少し遅れましたが、馥郁と咲いています。この佳き日、本校第31回卒業式がこのように賑々しくかつ厳かに挙行されますことは、慶びに堪えません。と同時に、本校最後の卒業式であり、寂しさを禁じ得ないのは関係者共通の思いでありましょう。

 ご多用の中、ご臨席賜りました大阪府教育委員会 中西教育長 様、大阪府議会議員 阪倉久晴 様、羽曳野市長 北川嗣雄 様をはじめご来賓の皆様方、並びにご臨席のすべての皆様に対しまして、厚く御礼申し上げます。
送る側の在校生の居ない式ということで、同窓会はじめ皆様にご出席を広く呼びかけましたところ、このように5百名を優に超える大勢の皆様にご臨席賜りました。ありがとうございます。

 31期生諸君、卒業おめでとう。今私の手で君らの代表に卒業証書を渡したが、君たちは、西浦高校の栄えある卒業生となったわけだ。多くの試練を乗り越えてここまで漕ぎ着けたことに対し、心から賛辞を送りたい。
諸君らを含めて、西浦高校の卒業生は1万1千8百6名になった。

 保護者の皆様、お子さんのご卒業、まことにおめでとうございます。心から祝福申し上げます。お子さんの高等学校卒業は、保護者にとりまして大きな節目、言葉では言い尽くせぬ大きな喜びでありましょう。今夜はぜひ、ご家族お揃いでお祝いをしてください。 

 さて、卒業生諸君は、これからそれぞれの人生を歩むわけだが、人生行路はいつも順風満帆とは限らない。人生は、恵まれたことばかりではないのだ。どちらかというと、うまくいかないときの方が多いのかもしれない。だが、そのようなときもけっして腐らず、諦めず、まじめにコツコツと努力を継続することが大事だ。そうすれば、必ず春は訪れる。そう信じる。

 私は「飽くこと無く 可能性を求めて」という言葉が好きで、30年も前から座右の銘として来た。「飽くこと無く 可能性を求めて」とは、途中で投げることなく、可能性を求めて努力しようという意味である。
人間の可能性は無限だ。私は山歩きをするが、高い山に登り自分の歩いて来た道を振り返ったとき、「あんなにも遠いところから歩いて来たのか」と自分自身の歩みに驚くことがある。一歩一歩の積み重ねが、いかに大事かを強く感じる瞬間だ。人間の一歩はとても小さいが、粘り強く積み重ねていくとそれは大きなものになる。一歩一歩の積み重ねが大きな力となるのだ。
君たちの卒業アルバムにも、私の拙い字だがこの「飽くこと無く 可能性を求めて」を載せて貰った。折々に、君たちが「可能性を求めて 努力しなければ・・・・・・」と思ってくれるならこの上ない喜びである。
「飽くこと無く 可能性を求めて」お互いに努力を積み重ねていこう。

 最後に、とにかく健康が第一である。健康に留意し、生涯を通して学び続けること、努力することを忘れないで、自らの人生を愚直に生き抜いて欲しい。
 諸君がさまざまな困難を乗り越えて自己実現を図っていくことを切に望む。

 31期生諸君の人生行路における健闘を祈って式辞とします。

平成23年2月26日
大阪府立西浦高等学校
校長 谷口 利広

卒業の言葉

 この制服を着て、こうしてみんなで座っているのがもう最後かと思うと、とても寂しくなってきます。西浦高校で過ごした三年間はとても楽しく、あっという間でした。この制服がまだ新しかった新入生のころがつい最近のことのようです。ドキドキしながら教室に入り、入学式を終え、だんだんみんなとも仲良くなっていきました。

 一年生ではまだ三学年そろっていて、縦割りの体育大会では応援合戦も盛り上がり、文化の集いではいろんなクラス企画を考え、垂れ幕を作ったりもしました。いちばん記憶に残っているのが、二上山への耐寒訓練です。初めは全然行きたくなかったのですが、みんなと一緒に汗を流しながら何時間も歩いて、普段しない会話などもしてすごく楽しかったです。一年生の終わりにはクラスのみんなと仲良しになっていたので、クラス替えがとてもいやでした。

 二年生になってやっぱり一年の初めと同じで仲良くなれるのか心配でした。でも遠足で川でバーベキューをしたり、クラス対抗の体育大会に参加したり、文化の集いのために舞台の練習をしたりしているうちに、少しずつ仲良くなっていきました。球技大会ではドッヂボールをしました。普段学校行事には参加しないような友だちもムキになってボールを投げ合ったりして、とても楽しかったです。

 三年生になってすぐに北海道へ修学旅行に行きました。空港からみんな楽しそうで、飛行機の中でも盛り上がっていました。二日目のラフティングが大雨で中止になり少し残念でしたが、牧場に行ったり、ラベンダー畑にいったり、動物園に行ったり、全員でレクリエーションをしたり楽しかったです。

 そういう大きな行事でなくても、普通に授業を受ける何でもない毎日、学校で友達と会って、どうでもいいことをしゃべっていっぱい笑った時間が本当に懐かしいです。

 この三年間で友達の大切さがすごく分かりました。私が落ち込んでいるとき、みんなといるとすごく元気になりました。入学した頃、私は人と接することがとても嫌いでした。別に友だちなんかちょっとでいいとか、友だちに自分のこと話しても分かってくれへんとか思っていました。でも西浦高校のみんなは今まで出会った人たちとは少し違っていました。こんな私でも快く受け入れてくれて、閉ざしていた私の心も自然と開けました。どんなときでも学校に来てみんなに会えば元気になりました。

 先生がた、反抗したり言うことを聞かなかったりした私たちに優しく、時にはきびしく叱って下さってありがとうございました。今まで素直にいえなかったけど、とても感謝しています。

 今日まで育ててくれた両親や家族。話を聞いてくれたこと、励ましてくれたこと、黙って見守ってくれたこともケンカするぐらい本気で叱ってくれたことも全部感謝しています。心配ばっかりかけてごめんなさい。これからも迷惑かけるかもしれへんけど、いっぱい親孝行していきたい。西浦高校へ行かせてくれてありがとう。いつも味方になってくれてありがとう。

 私は人の気持ちを一番に考えることができて、人に優しくできて、中身のとても強い人になりたいです。今までまわりのみんなにとても助けられたから、これからは私が周りの人を支え、助けたいです。

 ここまでこれたのは自分の頑張りだけじゃない、周りの助けがあったからです。感謝の気持ちを忘れずにもっともっと成長していきたい。そんな気持ちを持って、今日私たちは西浦高校を卒業します。西浦高校に通っているあいだに私たちに関わってくれた全ての人たち本当にありがとうございました。西浦高校ですごした三年間は私の宝物です。ほんとはずっとこのまま西浦高校で過ごしたいです。楽しい三年間をありがとう。みんなのことが大好きです。
 西浦サイコーです。 

平成23年2月26日
卒業生代表 山田奈穂

閉校式 式辞

 ご来賓をはじめ皆様には、長時間に亘って引き続きのご臨席、まことにありがとうございます。心から御礼申し上げます。

 さて、本校は地元の皆様の熱い期待を背に、昭和53年4月に開校しました。以来、33年に亘って営々と教育活動を展開し、本日の卒業生を含め1万1千8百6名の優秀な人材を輩出してきました。そのような中、府立高校再編の対象となり、今ここに閉校式を行わなければならないという残念な事態になりました。

 歴代校長をはじめ本校関係者の献身的な多大の労苦、並びに地元の皆様からのご支援・ご協力を思うとき、断腸の思いを禁じ得ません。

 今、断腸の思いと申し上げました。「断腸の思い」の意味や由来はよくご存知だと思いますが、31期生諸君もおりますので皆様への失礼を省みず、簡単に説明しておきます。
 中国の春秋時代、晋の武将、桓温が長江三峡、揚子江を旅したとき、家来の一人が捕まえた子猿を追って、母猿が百里余りを岸伝いについて来たそうです。船が岸に近づいたとき母猿はやっと船に飛び移りましたが、そのまま息絶えてしまったようです。母猿の腹を切り裂いてみると、その腸はずたずたに断ち切れていたとのことです。「断腸の思い」は、子猿のことを思ってその悲しみと辛さで、母猿の腸がずたずたに切れてしまったという故事からきています。
 まさに、西浦高校関係者の偽らざる心境です。

 西浦高校は、3月31日をもって閉校しますが、西浦がこの33年間に営々脈脈と築いて来た歴史と伝統は絶えさせることなく、新しい学校、懐風館高校が継承してくれることと思います。懐風館高校の校長先生も、本日ご臨席いただいておりますが、改めてよろしくお願いする次第です。

 西浦高校の歴史と伝統は、そして西浦高校の魂は、永遠に不滅です。西浦高校に係わったすべての人々が校歌を高らかに歌い、西浦高校のことを子々孫々まで語り継いでいきましょう。西浦高校に係わったみなさんすべてが、その先頭に立ってください。もちろん、私もその一人になります。
 最後の校長として、西浦高校に勤められたことを私の誇りとします。

 北海道大学の前身、札幌農学校の初代教頭クラーク博士が離任しアメリカへ帰られる際、あの有名な「少年よ 大志を抱け Boys be ambicious like the oldman.」の言葉を遺されました。私も、この3月末で定年退職です。クラーク博士の偉業には遠く及びませんが、校長として最後の三年間、西浦高校のために微力ながら全力を傾注しました。
 退職に当たり、一言遺したいと思います。

 「That’s why it’s important to keep challenging yourself , and creates new values. Impossibility is nothing. 」  飽くことなく可能性を求めてチャレンジを

 最後になりましたが、西浦高校を支えていただいた多くの皆様からの格別のご厚誼に対しまして、改めて厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。
 これにて、式辞といたします。

平成23年2月26日
大阪府立西浦高等学校
校長 谷口 利広