皆さん、お久しぶりです。もう随分皆さんの顔を見ていませんね。この間、クラスの生徒には電話をかけましたが、久々に話が出来て私はなんだか嬉しかったです。皆さんいつもは「学校だるいなぁ」と思うこともあるのかもしれませんが、「流石にそろそろ学校行きたいわ」とか「みんなに会いたい」という声を聞きました。当たり前に学校に行けて、同じ教室で過ごせる日々が実は尊いものだったのかも、と私も最近思いながら生きています。
とはいえ、学校に行こうが家に居ようが時は過ぎていきます。学年通信にも載せた言葉ですが、成長する人はこういう時間の使い方が上手なんだと思います。課題ももちろん出ていますし、今やらないといけないことや今だから出来ることはきっとたくさんあります。後からでは取り戻すことが出来ない、貴重な時間を生きているんだと気付くことが大切です。
そんな貴重な時間だからこそ、勉強の休憩時間でも構いません、読書と向き合ってみて欲しいと思います。書店や図書館へ行くことは厳しいかもしれませんが、青空文庫で読むことが出来る作品も多いです。そこで、いつもは皆さんにマイメモリーを課している立場の私ですが、私もこの期間で読んだ本でマイメモリーを書いてみました。皆さんそれぞれが良い読書体験ができますように。
『友だち幻想』菅野仁(筑摩書房)
【あらすじ】一人でも生きられる社会になってしまったからこそ、人と繋がることは難しい。現代人が距離感覚を磨くための本。
【気に入った言葉】言葉のストックを増やしていくことで、それまで漠然としていた自分の問題になんとなく輪郭をつけてとらえられる
【感想・書評】友達のいる人生か、いない人生かを選べるとすればやはり友達はいた方が良いと思う人の方が多いのではないでしょうか。でも誰とでも友達にはなれない、優しくて趣味が合う、気も合う、価値観が似ている子を友達にしたい。そんな友達が多ければきっと学校生活も楽しいはず!
しかしこんな友達に対する考え方は、実は幻想なのかもしれません。「人は一人では生きられない」という言葉をよく耳にします。この本は、そういった考え方を否定するところから始まります。人は一人でも生きられる社会になっている。それでも誰かと繋がりたいと思ってしまうのが人間で、だからこそ今、人との関わり方が難しい。
私自身、友達は好きなんだけどなんか疲れてしまう。一人になるとほっとする。自分は人付き合いが苦手なんだろうかとよく悩みます。しかしこの本を読むと、ずっと一緒にいられる、価値観がぴたりと合う友達なんて出会えればすごくラッキーで、基本他者とは分かり合えないのではないか、という私の後ろ向きとも思われる気持ちに前向きな言葉を与えてくれました。なんだ、みんなと仲良くしなくても良いんだ、距離をとっても良いんだ。
私はこうして、この本を読んだことで漠然と抱いていた自分の気持ちに輪郭を与えることが出来ました。これで悩みの全てが解決となるわけじゃないけれど、少し肩の力を抜いて人と向き合っていける気がします。
国語科 片山