卒業式式辞

昼間、春の気配が香る中、『第70回 卒業証書授与式』を催すことが出来ました。

卒業生の堂々とした姿を誇らしく感じながら
無事に、終えることが出来ました。
ご参列いただいたご来賓、保護者の皆様と
心温まるメッセージ(中学校、大学・短期大学・専門学校
、企業等より)や綺麗なお花(同窓会より)を頂戴した
皆様には、あらためて感謝申し上げます。

以下に、「卒業式式辞」を掲載します。

冬の寒さに耐えた正門の桜の蕾も、大きく膨らみだした、今日のこの佳き日に、大阪府立泉大津高等学校 第七十回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、公私何かとご多用中にもかかわりませず、多数のご来賓ならびに保護者の皆様方にご臨席を賜り、厚く御礼申しあげます。 また、保護者の皆様には、ここまで大切に育んでこられたお子様のご卒業を迎えられましたことを心よりお喜び申し上げます。 さて、只今、卒業証書を授与された七十期三一八名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 今日で泉大津高校での3年間の生活も完結します。 皆さんの脳裏には、どのような思いが去来しているでしょうか。仲間と一緒にやり遂げた体育祭・文化祭、北の地で幾晩も語り合った修学旅行。あるいは、晴れの日も雨の日も練習に励んだクラブ活動でしょうか。何気なく交わした仲間との会話の日々かもしれませんね。 しかし、この3年間の全てが順風満帆だったわけではないでしょう、時には勉強や進路のことに頭を痛めたり、友人との関係に悩んだこともあったでしょう。 それら一つ一つの経験や学びが、今の皆さんの成長につながっていることは間違いありません。改めて、仲間への感謝の気持ち、日々の生活を陰日向になって支えてくれた家族の方への思いを言葉にして伝えてみてください。 さて私は、この一年間、授業やクラブ活動の様子を眺めたり、学校行事に早朝から、放課後まで熱心に取り組む皆さんの姿を見て、誇らしく感じてきました。また、何気ない朝晩の普通の挨拶のやりとりや地域やOBの方から頂く本校への期待や感謝の言葉に、その思いを強く抱いてきました。 皆さんは、「自分の置かれた状況をきちんと理解して、正しい判断を下し、とるべき行動を着実に実行できる。」そういう生徒でした。 それはこれから急激な変化を迎える日本の社会を生きていく為に、とても大切な資質だと考えています。 3年前、野村総合研究所(これは国に将来政策提案をするシンクタンクと呼ばれる会社です)ここが英オックスフォード大学の2人の学者と共同研究し、10~20年後には、日本にある601種類の職業の49%、つまり半数が人工知能(AI)やロボット等で代替することが可能という結論を出しました。確かに、大手銀行で1万人規模のリストラが発表されたのもついこの間の話です。 この話しをそのまま鵜呑みにすると、なぁんだ、10年後には半数は失業するのか、お先真っ暗~と悲観する人も多いと思います。特に日本は高齢化が進み、労働人口の急激な減少は確実です。その労働力を補う必要があります。その主力となるのがAIやロボットになりうるということでしょう。 加えて、介護職や製造業を中心に外国人の方の労働人口も急増しています。泉大津市で調べたみました。現在の人口七万五千人の内、外国人の方が千二百以上居住されています。人口比では1.6%になり、大阪では平均的な町となります。 少し話が拡がったので、人工知能の話に戻すと将棋や囲碁の名人を打ち負かす彼ら(?)AIは、万能なのかということです。実は、彼らには苦手なことがあります。例えば新しいものを考えたり、創りだすこと、人を説得して引っ張ったりすること、決まったことを早く正確にすることは得意でも、マニュアルにない突発的なことへの対応などは大変苦手です。 これは、裏返すと、豊かな発想力や創造力、どんな人とでもうまくやっていける協調性、突発的な出来事にも対応できる力、つまり人間らしい、この優れた能力こそが、AIやロボットには代替できない仕事ということになります。

明日から皆さんは、泉大津高校という港から、大海原に出航します。是非、この3つの力(新しい事を考えたり創造する力、様々なタイプの人とコミュニケーションとって協調する力、イレギュラーな事にも対応出来る力)。このいずれか一つでも、磨き続けて、皆さんのこれからの航海に、役立ててほしいと願っています。 そして、その航海を続ける為に最も大切なことは、我慢し、耐える強いハートと上手くいかない時には、立ち止まったり戻ったりすることをいとわない柔らかいハートです。 この相反(あいはん)する2つのハートを巧みに操って、めざす目的の地に到着されることを祈っています。もちろん、泉大津高校は、君たちの母なる港です。いつでも、立ち寄って一服して行って下さい。大歓迎します。

最後になりましたが、保護者の皆様には、これからもお子様の良き理解者・支援者として、つかず離れず、見守っていただきますよう、お願いいたします。 また、この晴れの旅立ちの日に、ご臨席賜りましたご来賓の皆様方には、この間の本校に対する多大なるご支援とご協力を心より感謝申しあげるとともに、引き続き、本校卒業生と泉大津高校発展のためにお力添えくださいますようお願い申しあげます。

卒業生318名の皆さんが、輝かしく、充実した人生を歩まれることを、心から祈念いたしまして私の式辞といたします。

平成三十年二月二十八日 大阪府立泉大津高等学校長 濵本 泰治

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