人と交わり相手のことを考えながら
昨年後半から先月まで校外で販売する機会が多くありました。
1 第15回共に生きる障がい者展(通称「ともいき」)(11月18日)
堺市の国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)で喫茶コーナーを初めて担当しました。
日ごろ学校で接客や販売について学習する1年生から3年生18名と先生たちがセンターの一角で「なにわカフェ」を運営。早い時間から準備を始め11時の開店前には「いらっしゃいませ」と大きな声で言い合うなど気合を入れてスタート、3時の閉店までに260人以上の来場がありました。初めて一般の方を相手にした接客でしたが各テーブルの表示やメニューなどの準備、来場者に接する生徒の態度が好評で「みんな落ち着いて初めてとは思えない」と言われるほどでした。センター内に出かけて行って注文を取るデリバリーサービスにも熱心に取り組みました。
2 難波支援学校と合同の文化祭「なんば・なにわ祭」(12月1日・2日)
難波支援学校の児童・生徒は講堂の舞台で劇の発表、本校は各コースや授業単位の模擬店を開きました。初めて3学年が揃っての文化祭、各店舗が商品の見栄えをよくする並べ方や店の飾りつけ、BGMまでアイデアを競い、準備の段階から大いに盛り上がりました。
それぞれの店では野菜やクリスマス用のリース、ケーキやクッキー、パンやスープなど授業の製品を販売するほか、来場者の自転車を点検・掃除したり、注文を受けて即座にオリジナルの名刺や下敷きを作ったりとサービスを提供するところもあり、趣向を凝らし両校保護者に来店を呼びかけました。
3 初めて地域の方に販売(12月15日)
日ごろ登下校時の見守りなどお世話になっている浪速地域ネットワーク事務所をお借りし、3年生が野菜やケーキやクッキー、プリンなどを地域の方に販売しました。
事前に町会の皆さんを通じて販売があることを知らせてもらったこともあり、近所の方が開始前から会場に集まるほどの盛況で、特に野菜はあっという間に売り切れてしまいました。お客さんから「きれいな野菜が安く買えてうれしい。お正月準備にちょうどいい」「このお菓子は安心してうちの子に食べさせられる」と言われ専門のコースで学んできた生徒がうれしそうでした。
4 「なにわマルシェ」(1月20日)
難波支援学校の高等部生徒が作業学習の製品を販売する「ハンドメイドモールなんば」と合同で、昨年から2回目となる「なにわマルシェ」を開催し、両校保護者に加え前述したサッカー部への寄附に協力いただいた方など地域からもたくさんの来場がありました。
模擬店の内容は「なんば・なにわ祭」とほぼ同じですが、それぞれ前回の反省のもと少しずつ改良し、より洗練されて(言い過ぎかな?)いました。
くり返し模擬店を開くことで生徒も先生たちも見通しを持ちやすくなり、準備から片付けまで店内の分担もスムーズにできるようになっていたように思います。
これらの販売は、もちろん授業の一環ですので利益を得ることはありませんが、目に見えない、形に現れない大変多くのものを得ることができます。
製品を見たり購入してもらったりすることを通し、生徒の様子や本校の教育活動について、より多くの方に知ってもらう機会になること、生徒にとっては自分が作ったものが売れて「おいしい」「きれい」「安い(お得)」「使える(便利)」などと言ってもらえる、あるいは提供したサービスに対し「楽しい」「うれしい」「気持ちいい」などと言ってもらえることが何にも代えがたい喜びになります。初めて会って「どんな人だろう」と内心どきどきしながら接客していればなおさらです。
「できるかな」と思いながら「やってみたらできた」と自信を持つことの積み重ねを私たちも自己肯定感を高める指導として日々の授業で大切にしています。そのため接客や販売について学ぶ授業では、まず校内のカウンターやテーブルのある接客スペースを使い、先生たちを客に見立てコーヒーや紅茶を出すことから始めます。接客後にマナーや態度について評価を受け徐々に上手になっていきます。初めは恥ずかしがって小さな声でしか言えなかったりぶっきらぼうだったりする「いらっしゃいませ」「注文が決まりましたらお知らせください」がはっきりと心を込めて笑顔で言えるようになります。
先生たちは、学習の過程で生徒と話をします。「お客さんに喜んでもらうにはどうしたらいいだろう」「自分ができること、やりやすいことは何か、自分だからできることは何だろう」などについて、その生徒の思いや考えを聞くことができるまで話し合ったうえで仕事内容や分担と目標を決めます。それらが集まり、接客の経験が積み重なって一つの店として全員がいきいきと動き、来場者に喜んでもらうことをめざします。
人と交わり、相手がどう思うか、相手にどう感じてほしいかなど人のことを考えることを通して自分のことを考え、できたことで自信を深める機会として接客や販売を大切にしています。